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こんにちは。映画を語るサロンのKKです。
先週はクリスマスでしたね。皆さんはどのように過ごされましたか?私は映画を見てたら一日が終わっていました!
今回は映画を語るサロンの活動として、12/24にテレビ東京で放送された『パディントン』を紹介したいと思います!
実写版『パディントン』は名作として名高く、特に続編の『パディントン2』は有名な映画批評サイト『ロッテントマト』で最高の評価である100%だった時がある超と言っても過言ではない名作です!
『パディントン』のあらすじですが、人の言葉を話せるクマ(物語冒頭ではパディントンという名前はまだついていないです)は故郷であるペルーで大地震に遭い、家を失います。一緒に暮らしていたおばの勧めでクマの彼らに人間の文化を教えた探検家を頼るため、彼だけが新たな家を求めてロンドンに向かいました。
ロンドンのパディントン駅に到着した彼は人々に助けを求めますが、誰も相手にしません。困り果てているとブラウン一家が通りがかり、ブラウン夫人が声をかけてうちに泊まらないかと誘ってくれます。そして彼は駅名にちなんでパディントンと名前をつけられ、ロンドンで波乱に満ちた生活を始めます。
子供向け絵本の映画化というだけあってほのぼのとしてるのもありますし、とにかくクマのパディントンが可愛いです!
クマが丁寧なイギリス英語を使いながら食べ物を容赦なくほおばったり、ブラウン一家の家を滅茶苦茶にしてしまう姿が可愛いうえに可笑しいのでコメディとしてよくできていているなと感じます。(やはり英語のアクセントは映画の演出の一つとしてとても重要な要素なので、断然洋画は字幕派です)
時々ピーターラビットの実写映画のような大人でも引いてしまうようなダークなコメディさを感じるところもあり、それがイギリス映画の特徴なのかもしれないと考えさせられました…。
パディントンとブラウン一家が家族として絆を深めていくのがこの映画の醍醐味です。善性の塊であるパディントンがブラウン一家と少しずつ距離を近づいていき、ブラウン家もパディントンがいることでお互いを改めて大切な家族だと認識していって家族として一つになっていくのはとても心温まります。
この作品の一番面白いところは誰もクマが人間の言葉を話すことに疑問を持たないところです。
他の作品であれば大騒ぎになってテレビや保健所が出てきたりする展開になるかと思いますが、この映画ではパディントンが普通に喋れることや服を着て歩いていてもブラウン一家をはじめ登場人物たちは全く気にしていません。
そのことがあまりにも気になってよくよく考えてみると、ペルーから来たというパディントンは移民の表象ではないかと思い付きました。パディントンがクマではなく、ペルーからやって来た人間の移民と考えれば納得がいきます。
イギリスとは文化が違うペルーから来たことでロンドンの習慣に分からずアタフタしてるPOC(非白人)が周りから冷遇される、というのは十分あり得る話ではないでしょうか。
パディントンが可愛いクマだからといって優しくされることはほとんどありません。ブラウン夫人と息子のジョナサンは優しい接してくれますが、夫のヘンリーと娘のジュディははじめパディントンの存在をあからさまに拒絶していました。
パディントンがスリを捕まえると、掌を返したかのように彼らは歓迎しますが、裏返すと役に立たない限り移民は歓迎されないのかと思わされます。
ブラウン一家のお隣のカリーさんはもっと酷いです。パディントンが何も迷惑をかけていないのに彼を一目見ると嫌がる素振りを見せて早く隣から出て行ってほしいことを露にしています。
パディントンが自分たち(白人)と見た目が違うだけで「よそ者」として彼の存在を嫌がるというのは、ゼノフォビア(外国人排斥主義)として捉えることができます。
カリーさんはパディントンが自分の隣の家からいなくなることだけを願っていますが、パディントンの故郷にあった家は大地震により壊れてしまい、ペルーに帰っても住む場所がありません。
これは彼がただの移民ではなく、元々住んでいた場所で暮らすことができなくなり国を出るしか選択肢がない難民という存在でもあります。
もちろんつらいだけの話ではなく、パディントンの何があっても誰にでも丁寧に接する態度が次第に周囲の人たちとの距離を縮めていきます。特に同じ外国からやって来た骨董品屋のグルーバーさんとは同じ境遇ということもあり、彼にとても親切にしてもらい、家探しを手伝ってくれます。
決してパディントンが報われないのではなく、彼の努力によって人々と絆を結んでいく姿はこの世は不寛容でいるべきでないことを学ばせてくれます。
自分たちと違う人たちを拒絶せずに理解していくことが大切だと感じました。
『パディントン』は子供向け映画ですが、ただそれだけでなくよく見ると大人も考えさせられる現代社会の問題をテーマに扱っており、深い意味を持った映画でした。
映画を一歩違う視点で見てみるというのは面白いですね。今後も新たな作品に出会っていきたいと思います!