先週アップしたストーリー記事「よろかパーク」とその軌跡では、浜甲子園団地とのご縁と社会実験の仕掛けについてお話ししました。今回は、場所をデザインすることと向き合えた、印象に残ったエピソードを紹介します。
社会実験では、普段は土足厳禁の集会所に、養生シートを敷き、その上に人工芝を広げ、土足で立ち寄れる場所をつくりました。意外にも親子に好評で、多くの方にご利用いただけました。
私がご紹介したいエピソードは、ここに立ち寄ってくださった1組の親子とのお話です。
1歳半くらいのこどもを連れたママが遊びに来てくれました。オープン直後から、お昼過ぎまで2時間ほど過ごしてくれたと思います。お昼時になっても「まだ遊びたい」というこどもに寄り添い、近くで軽食を買って付き合っているママに、私は声をかけてみました。
初めてお会いした方でしたが、私も3歳の育児中なので、こども自身や子育てについて話が盛り上がりました。そんな時、ママから些細なお願いをされたのです。
「お手洗いに行きたくて、子どもを少しお願いしてもいいですか?」
改修されていない昔ながらの集会所です。小さなこどもには使いづらいし、ママと一緒に入るスペースもないため、「そりゃ困るな」と思いました。
同時に、このお願いが私はとても嬉しかったんです。このママのお人柄かもしれませんが、些細な声掛けをきっかけに、誰かに頼れる空間づくりや関わりができたと感じられたからです。
日常の些細なことで、どこにでもありそうな一コマを大げさに書いてると思われるかもしれません。ただ、「ちょっと」したことを言えて、支え合える場所って、なんか素敵かもと思える出来事でした。
小さなコミュニケーションですが、時々に合う形を考え動く。コミュニティマネージャーやコーディネーターの役割は、場所のコンセプトや状況によって様々だと思いますが、一瞬一瞬の振る舞いが、場所のデザインに繋がっていくのではないでしょうか。
よろかパークを通じて、大事にしたいことを再認識することができました。現在、どのように人との関わり・交わりをデザインするかも、改修に向けた検討事項の一つとして考えている段階です。これからの浜甲子園団地エリアを楽しみにしててください。