リレー形式で様々なメンバーから、おすすめ本を3冊選書してもらうシリーズ企画「みんなの本棚」。9人目の選者は、渡辺さんからバトンを渡されたコンテンツデザイン局 小野寺(おのでら)さんです!
ぜひ、みなさんのインプットにお役立てください。
<プロフィール紹介>
2023年11月よりDI(デジタル・インテグレーション)チームにジョイン。いままでP/CD/TD全部一人でやってたので、自由な守備とチャンスのときには積極的に攻撃参加するリベロのような動きで、Hakutenでも幅広い領域のプロジェクトで空いてるスペースへ走り込み、ゴールをアシストするような動きをしてゆきます。知的運動量豊富ですが、最近すぐに疲労がくるようになりまして寄る年には勝てませんね。
サウンドアーティストして、海外のAudio/Visualフェスティバルで、展示/演奏したり、アートコレクティブnorとして自然/物理化学現象を応用した、建築空間/映像/音など、様々な表現領域における手法と技術の混交によるメディアインスタレーションを国内外で発表してます。
ときどき大学の先生。
渡辺さんからバトンが回ってきました。広義のメディアアート廻りの選書だったようなので、わたしは人文的建築路線で攻めてみようと思います。
目次
- 1.ボクの生き方を変えた一冊
- 2.越境者(あるいは調停者)としての建築家という生き方
- 3.クリエイティビティを加速させる”仲間と考え、育てる場”としてのオフィス
- 4.次の選者について
1.ボクの生き方を変えた一冊
「宇宙船地球号 操縦マニュアル」(バックミンスター・フラー 【著】)
なんだか難しそうなタイトルに見えるかもしれませんが、テーマも簡潔で140ページ足らずと決して長くないので一気に読めます。初めて読んだのは確か18歳くらいの頃だったか。
かのマーシャル・マクルーハンに「20世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称され、思想家、デザイナー、エンジニア、建築家、発明家、詩人など様々な領域を横断しながら自身の能力を一つの肩書きに限定しない自由な生き方を実践することの重要性を教えてくれました。
海賊を例に、行き過ぎた専門分化が種の進化を阻み、富の独占を増長するという、よく考えてみれば当たり前のことなのですが、Hakutenにもプロデューサー、プランナー、デザイナー、プロダクトマネージャーなど様々な専門家としての肩書きがありますが、フラーはふと立ち止まってものごとを包括的な視点で捉え、一つの職能に自らを閉じ込めることなく大局的に道筋を考える大切さを思い出させてくれます。
星を船に例え、地球号という船の中の限定的な資源を、乗組員である我々が平等に享受し発展してゆけるデザインとはどんなものなのか?を考えていた人で、サスティナビリティやSDGsなんて言葉がもてはやされる60年も前からサーキュラーデザインを実践していたわたしの心の師匠です。
フラーの「ミクロな視点でマクロに動け!」という名言がわたしの座右の銘。
2.越境者(あるいは調停者)としての建築家という生き方
「行動主義 レム・コールハース ドキュメント」(瀧口範子【著】)
行動主義 レム・コールハース ドキュメント|著者=瀧口範子|TOTO出版jp.toto.com
OMA/AMOを主宰するジャーナリスト出身の異才の建築家レム・コールハース。パートナーやクライアントとの打ち合わせから現調、大学での講義まで忙しく世界中を移動しながら考え続けるレムを追っかけ回したドキュメンタリー。彼もまた従来の建築家の職能を越境し実践するユニークな存在でわたしの大好きな建築家の一人。後にザハ・ハディッドやビャルケ・インゲルス(BIG)、MVRDVなど彼の事務所出身者が活躍してきたことからも建築界内外に与えた影響は計り知れません。
ジャーナリスティックなダイアグラムがそのままカタチを与えられたかのように建ち上がる彼の建築。洗練された鋭い知性と判断力、スピード感を伴ったエネルギーが次々と作品へと昇華されてゆく様を追体験できます。
後半はレムと仕事をしてきた構造エンジニアや経営コンサルタント、美術批評家や模型制作者などのインタビューも載っていてそんなバラエティ豊かなパートナーの顔ぶれからもレムの多面性を知ることができます。
3.クリエイティビティを加速させる”仲間と考え、育てる場”としてのオフィス
「名建築が生まれた現場 世界のトップ設計事務所」(日経アーキテクチュア【著】)
最後は色々と迷ったのですが、ちょうど京橋に新オフィス誕生ということで、ホットなトピックだったのでこれを選んでみました。
建築について見聞きすることはあっても、それを作った設計事務所の経営について知る機会はなかなかありません。この本では、世界をまたにかけて活躍する海外建築家の建築やコンペ案が生まれた「仕事場」にフォーカスし、仕事の進め方やオフィスのレイアウト、リクルート戦略から若手育成など多種多様な経営スタイルを豊富な写真やイラストで楽しく伝えてくれます。
同じ業種でも時代や場所によって様々なスタイルがあり、組織としてのフェーズによってもまた変わってくるのだと思いますが、それぞれ大切にしているものが違っていて面白いです。
京橋オフィスも”完成”というのではなく、常に”進化”させてゆきたいですね!
4.次の選者について
次のバトンは、U2プランニングルームの成川 就一さんに渡します!!いつも個性的なファッションで独特の存在感を放つ彼のファッション哲学など深掘りしてみたい。"纏う"に関する本を色々ご紹介してもらいたいなーと勝手に思っています。よろしくお願いしますー!
>>それでは、次回もお楽しみに!