GunosyにおけるDX推進の第一人者といえば、執行役員の澁川さんです。今回はその渋川さんにカメラを向け、LLMを活用したDXによって何がどう変わるのか語っていただきました。本記事は動画の内容を補足するテキストです。あわせてお読みいただくことで澁川さんが目指していること、実際の活用事例、Gunosyの未来の姿などがより解像度高くつかめるかと思います。ぜひご一読ください。
※動画はこちらから
【役員インタビュー】DXから未来を作るGunosy AI
LLMを活用するとDXはどうなるのか
いま私がGunosyで取り組んでいるのが、LLMの技術を用いたDX推進です。従来のDXは業務プロセスを可視化した上でそのプロセスを他のツールに代替えする、もしくはプロセスそのものを自動化するというもの。ここにLLMを活用することで、仮説を立てる、分析する、実行する、さらにその結果から新たな戦略を立案するところまで一貫して担えるようになります。拡張性が一気に高まるんですね。
LLMをDXに活用する動きは既に各社でもはじまっています。SaaS業界では自社のプロダクトにLLM技術を使った機能を実装し、より付加価値の高いサービスを提供する企業も増えつつある。ただ、我々は課題が顕在化している領域だけでなく、更にその先に起こるであろう変化を見据えて開発に取り組んでいます。
GPTと向き合っている中で感じるのは、今後GPTをはじめとするLLMを活用することで業務のあり方はもちろん産業構造そのものまで変わっていくだろう、ということ。人と人とのコミュニケーションの在り方や会社という存在そのものにも大きな変化が生まれると考えています。
DXが推進するのはあくまで効率化
DXが加速していくその先にあるのは組織全体の生産性向上。そして生産性が上がることでビジネスも変革・成長していきます。そこからさらに新しい産業やサービスが生まれ、それに伴い新しい雇用も生まれる。こうしたポジティブなサイクルがまわっていくのが今後の社会になるでしょう。
DXというとつい「コスト削減」や「人の仕事がなくなる」と考えられがちなのですが、決してそうではない。DXは効率化を実現する手段の1つであり、あくまで最終的な判断は人が担う部分も多く残ると思います。人じゃないとできないこともあるし、人がやったほうがいいこともあるんです。
そして効率化を図ることで手に入るものの1つは「時間」です。時間に余裕が生まれるんですね。余裕が生まれた時間で自分の成長のために勉強をするのもいい。あるいは家族と過ごす時間を増やすのもいい。その結果、家族の協力が得られて仕事に全力集中できる、というケースだって充分に考えられますよね。
ひとそれぞれいろんな事情があるように、いろんな時間の使い方があります。フレキシブルな時間の使い方がスタンダードになっていく中で、どうやって企業全体で生産性を上げていくか。ここが大きなターニングポイントになると思います。
GPTをただのツールではなく相棒に
LLM等の技術を使うことにより、自分の判断が正しいものかどうかの仮説検証を自身でもできるようになります。つまり意思決定のスピードが早くなる。意思決定が早くなればやれることが増えます。会社としてはよりアグレッシブなスタンスで新規事業にチャレンジしやすくなるんじゃないでしょうか。
また現場でメンバーに伝えたいことを100%伝えるのは難しいと感じているマネジメント層は少なくないと思います。でもLLMの技術を使えばより正しく、よりわかりやすい日本語で「あなたの言いたいことはこういうことですね」と補完してくれる。ふわっとしている考えを正しく伝わる言葉に翻訳してくれるわけです。
GPT4‐Vなら音声入力が可能ですから会議やミーティングの場に参加させ、参加者が喋っている内容を全部まとめてもらって議事録にする。あるいはレポートの数値の出処がわからなくなったときでもGPTがすかさず拾ってきて「ここの数値です」と教えてくれるようになる。
こうなるとGPTはただのツールというよりも、ビジネスパートナーといっていい。さらにGPTが出した回答をGPT自身で検証し、より正しい回答にブラッシュアップ。常に最新の正しい回答データにアップデートしていくようになれば、GPTそのものの成長も自動化できることになります。LLMを利活用することで常に倫理的な課題とも向き合う必要はあるものの、医療、ヘルスケア、金融、教育など複数の業界で残存している課題解決の一助を担うデジタル人材として人間と協働する未来がすぐそこまできていると感じています。
社内から社外へ、そして未来へ
ChatGPTの他、Bard,Claude,Anthropicなど大規模言語モデルのテクノロジーが続々と出現してきています。これらの革命的なテクノロジーが経済に与える影響はまだ明確にはなっていませんが、多くの起業家やビジネスパーソンにとって明るい未来を築く可能性を秘めているのではないでしょうか。
Gunosyの未来像にもDXは大きく関わります。いまGunosyという企業はメディアを主軸に投資と新規事業という3本柱で構成されています。しかしこの先Gunosyが世の中に当たり前に存在している状態をつくるには、もっと生活に溶け込む必要があります。さまざまなライフスタイルの中に、あるいはあらゆる産業にGunosyが入り込んでいる状態を作るには何が必要か。
私は、いまできること、またやるべきことはGunosyという会社を成長させることに尽きると考えています。そのためにLMMを活用したDX推進に取り組み、社内で検証し、上手くいったものをプロダクト化して外販する計画を立てているのです。
そうすることによって世の中のたくさんの人がGunosyブランドのもと、業務効率化や生産性向上を図ることになる。さまざまな業界や産業、ひいては人の暮らし中にGunosyがなくてはならないものになります。正に社会のインフラとしてGunosyが存在している未来像ですね。そしてGunosyで働くみなさんが自分たちの仕事が社会の役に立っている、という実感を今まで以上に実感できるようになる。
こうなるといいな、たぶんこうなるだろうなと想像する未来の姿から逆算して、日々のDX推進に取り組んでいます。まさにDXの本質であり醍醐味を存分に実感できます。
澁川 豊洋 執行役員
エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、株式会社ジーンクエストのCTOに就任後、RPAホールディングス株式会社のCXOとして参画。その他、複数社で組織設計、新規事業の立ち上げ、DX推進などを経て2022年4月よりGunosyに入社。執行役員に就任。