今回は、広告技術部で広告システムに携わるアドテクエンジニアの皆さんへインタビューをしました。
榎本さん(写真左)/広告技術部 Gunosy Adsチーム マネージャー 新卒で国内SI企業へ入社。その後留学し、カナダのWeb系スタートアップ企業に勤務。帰国後の2014年、Gunosy入社。現在Gunosy Adsチームのマネージャーを務める。使用言語はRuby,Go,Python。
鈴木さん(写真中央)/広告技術部 Network Adsチーム 新卒で株式会社サイバーエージェントへ入社し、広告計測システムのサーバサイドからフロントエンドまでを経験。2018年4月、Gunosy入社。Network Adsチームにて、主に配信周りのサーバサイドを担当。使用言語はGo,Python。
久保さん(写真右)/広告技術部 ロジックプラットフォームチーム マネージャー Gunosy設立から半年後の2013年8月に11人目のメンバーとして入社。入社以来、Gunosyが開発・運用するプロダクトのデータ分析を担当。2018年6月に広告技術部に異動し、広告データの分析及びロジック開発を担う。使用言語はPython,SQL。
- まずは、それぞれGunosyへ入社した経緯について教えてください。
榎本 :Gunosy入社前はバンクーバーに留学していて、1年ほど現地のIT企業で働いていました。帰国後、Gunosyへの入社を決めたのは、バンクーバー滞在中に現在Gunosyが展開するサービスの原型となる「マイニュース」というメルマガ配信を愛用していたことが大きかったですね。そこから日本の最新のIT情報を入手していたんです。また、当時僕は20代中盤で、福島さんや関さん等、Gunosyの創業メンバーや経営陣も同世代。会社をけん引する彼らをみて、若手に活躍の機会が多いのでは、という期待をもちました。
- アドテクに携わるのはGunosyが初めてですか?
榎本 :はい。Gunosyでも最初はWeb事業部に所属していて、2年ほど前、広告事業をより拡大させていこうというタイミングで異動しました。これまでのようにサービス画面を開発するのではなく、裏側の管理画面を開発するという違いはありましたが、広告の管理画面は、僕のコア言語であるRuby on Railsを使用した規模の大きいプロダクトだったので、自分の強みを活かせそうだなと。
- 鈴木さんは、研究室の先輩である久保さんからの紹介で入社されたと伺いました。
鈴木 :はい。新卒でサイバーエージェントに入社し、当初からずっとアドテクに携わってきました。社会人6年目にして初めての転職でしたが、Gunosyは技術発信にも積極的で、よく テックブログ 等を読んでいましたし、久保さんがいたというのはもちろん、知人がすでに何名かGunosyで活躍していたこともあって、あまり不安はありませんでした。まだ広告技術部の規模もそこまで大きくなかったので、これまでのアドテク分野での経験を活かして役に立てることがあるのではと、入社を決めました。
- 久保さんは、2013年8月、創業から約半年後には入社されています。何がきっかけとなったのでしょうか。
久保 :大学院卒業後、実は友人と起業しようとしていたんですよね。既にサービスもつくりはじめていました。ただ、色々とリーガル的な問題があったりして、やっぱり今ではないなという判断になって。そんなとき、サイバーエージェントでのアルバイト時代に出会ったせっきー*1に誘われて、Gunosyの勉強会に参加したんです。起業を中断したタイミングだったこともあり、何か手伝えることはないかと聞いたところ、「うちで働いたら?」と声をかけてもらいました。当時はまだPCも自前で、オフィスもマンションの一室を借りているという規模感でしたね。
- では、現在3名が所属する広告技術部のミッションを教えてください。
榎本 : Gunosyの広告の“長期的な”収益を最大化すること ですね。
久保 :短期的にみると、広告数を増やせばいくらでも収益を伸ばせるかもしれませんが、それだとユーザーが離れてしまってゆくゆくは伸びなくなってしまう。ですので、そうではなく「長期的に」ですね。
- 3つのチームは主にどんなことをしているのでしょうか?
榎本 :僕が所属するGunosy Adsチームでは、主に「 グノシー 」「 ニュースパス 」「 LUCRA(ルクラ) 」「 グノシースポーツ 」等、自社メディアの広告配信に関わる新機能の開発や保守を行っており、それらの広告収益を最大化するのがチームとしてのミッションです。
- Gunosy Adsチームには、榎本さん発祥の独自の取り組みがいくつかあるそうですね。
榎本 :代表的なものをあげると、 メンバーがマネージャーを評価する仕組み や コーディング規約の導入 、“メインタスクではないけれど日ごろ気になっている部分”の修正等を1sprint*2に1日行う Kaizen Day でしょうか。
- 「メンバーがマネージャーを評価する仕組み」とは?
榎本 :僕は基本的に、メンバーとマネージャーは役割が異なるだけで、その関係性はピラミッド構造ではなく、フラットであるべきだと考えています。ですので、マネージャーからのみの一方的な評価を行う関係は組織として不健全だと捉え、僕がマネージャーになったタイミングで、自ら評価アンケートを作成し、スタートさせました。現在、半期毎に実施しています。
※Gunosy Adsチームに関するインタビュー記事は こちら から
- 評価結果も全社公開されているので、全社員が参考にできる取り組みですよね。「Kaizen Day」に関しては、広告技術部全体でも取り入れているそうですね。
鈴木 :はい。Kaizen Dayでサブプロジェクトとして取り組んでいたものが、メインプロジェクトになったケースもあります。たとえば僕が行ったのは、社内のA/Bテストロジックの管理画面の開発です。これまではGit*3でのファイル管理だったので、ロジックチームが配信サーバにプルリクエスト*4を投げる必要があり、一言で言うとちょっと使いづらかったんです。そこで、Kaizen Dayを利用して管理画面をつくり始め、今ではメンバー全員でより利便的に使えるような仕様になりました。
- Network Adsチームは日々どんなことをされているんですか?
鈴木 :僕たちのミッションはアドネットワーク*5の広告収益最大化で、日々新機能の開発やリファクタリング等を行っています。あとは、これまで自前で実装していたものを、AWSのマネージドに移行したり。なるべく人力の運用は削減していきたいので、いかにそこを減らしていけるか?ということにはチームとして注力していますね。
鈴木さんと久保さんは、共に東京工業大学の現奥村・高村研究室出身。現在広告技術部には、もう1名同研究室出身者が在籍している。
- ロジックプラットフォームチームは、どのようなミッションを担うチームなのでしょうか?
久保 :ロジックとプラットフォーム、2つの開発を担うチームと捉えてもらえれば。ロジック担当のメンバーは、ユーザーと広告を最適にマッチングさせるためのデータ分析、アルゴリズムの開発を行っています。どういったアルゴリズムでどんな広告をユーザーに配信すれば最適にマッチングするのか、過去のデータから分析し、ロジックをつくります。単純なルールで済むこともあれば、機械学習手法を用いる場合もあります。
一方、広告配信用機械学習モデルの作成に必要なデータフローの整備及びデプロイフローの管理を一手に引き受けるのが、プラットフォームを担当しているメンバーです。配信チーム*6が集めてくれたユーザーの行動ログや広告情報を使って機械学習モデルをつくるのですが、一次情報のデータをそのまま使用するのではなく、機械で学習しやすいように整備する必要があります。仮に、重要な情報の欠損があるデータで機械学習モデルの作成を行った場合、ユーザーに対し意図しない広告を配信してしまうといった事態を招くことも考えられ、そうなるとユーザーはもちろん、広告主やGunosy、三方にとって好ましくありません。ミスなく安全に機械学習を行うために、コストを払ってでも徹底的にケアをすべき部分です。
- それぞれGunosyの広告事業において重要な責務を担っているんですね。また、チームが分かれているとは言え、連携することが多い印象を受けました。普段はどんな雰囲気なんですか?
鈴木 :Network Adsチームは、ほぼ毎日一緒にランチしてますね(笑)。
- 毎日?!すごい!仲が良いですね!
榎本 :チームをまたいで広告技術部内でランチすることも多いですよ。業務がクロスオーバーすることも多いし、普段からコミュニケーションの量は多い気がしますね。
鈴木 :広告技術部は全体的に転職組がほとんどで、出身企業もバラバラ。それぞれのノウハウが混ざって、新しい知見が生まれるのは良いですよね。ある程度流動性があって色んな情報が得られるほうが、自分たちのやり方が良いのか悪いのか、客観的に振り返る機会にもなります。
- 広告技術部のネクストチャレンジは?
榎本 :今後の広告技術部としても、やはり「Gunosyの広告収益を長期的に最大化する」ことが変わらないミッション。僕個人としては、マネージャーとして 自己組織化したチーム をつくっていきたいですね。
鈴木 :Gunosyはメディア事業も広告事業も、新しいことにどんどんチャレンジしているので、僕たち広告技術部としてもそれらを成功に導くために尽力していきたいです。
- 最後にずばり、アドテクエンジニアの魅力って何ですか?
榎本 : 自分の施策が収益に反映され、お金を生んでいる実感が湧く ことでしょうか。逆に言うと、良いと思ってつくったものの、効果が期待通りでなかった場合もわかるので、そこからの学びや成長も感じられます。
鈴木 :施策と会社の売上が直結するというのは、裏を返せば、仮に 障害等でシステムを止めてしまえば、会社の売上に影響を与えてしまう ということです。 その責任感と、動き続けるシステムをつくるんだという使命感 、それは広告システムに携わるエンジニアとしてのやりがいかなと。
久保 :広告システムでは、KPIの一つとして、例えばeCPM*7の伸び率を注視していますが、その伸び率というのは売上という形で会社の業績に直結するものなので、価値がわかりやすい。 シンプルに会社への寄与度が目に見えてわかる というのは面白いと思いますね。
また、インターネット企業における利益構造の根幹を支えている 広告収益 は、 昔から今に至るまで、インターネットビジネスの中心的な存在 です。広告システムに携わる アドテクエンジニアは、ビジネスのことを意識せざるを得ない と言えるでしょう。 エンジニアの中には、将来自分でビジネスを興したいと考えている人もいる と思いますが、そういったことに少しでも興味がある人にとっては、 またとないポジション だと思いますね。
*1:創業者の一人である関喜史
*2:広告技術部の場合は2週間
*3:プログラムのソースコードなどの変更履歴を記録・追跡するための分散型バージョン管理システム
*4:ソースコードの変更を受け入れてもらうGitHub上での機能
*5:Gunosy Network Ads
*6:Gunosy Adsチーム、Network Adsチームを指す
*7:1,000インプレッションあたりの売上
Gunosyでは一緒に働く仲間を募集しています!少し話を聞いてみたい、という方も歓迎していますので、ご興味がある方、ぜひ下記リンクからのご連絡お待ちしております。