ゲーム事業だけでなく、マンガ事業やメタバース事業など様々な領域で事業展開を行うグリー。そんなグリーグループのすべてのインフラ環境の構築や運用を担うのが、インフラストラクチャ部です。
そしてインフラストラクチャ部では、プロジェクトマネージャー(以下、PM)が事業側とインフラエンジニア側をブリッジするポジションを担っています。PMと聞くと、クライアントとの交渉なども仕事というイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし、「グリーのインフラストラクチャ部は売上予算がない部門で、相対するのはグリーグループの会社や関連するゲーム会社。そのため、クライアント折衝が求められるということはなく、本質的なインフラ構築に向き合える環境」とインフラストラクチャ部 インフラストラクチャオペレーショングループ(以下、運用グループ)シニアマネージャーを務める大本さんは語ります。
そこで今回は、インフラストラクチャ部のPMがどういったことを担っているのか、またPMとしてのやりがいや面白さについて、大本さん、そして同じくインフラストラクチャ部 サービスインストレーショングループ(以下、SIグループ)にてシニアマネージャーを務める舟橋さんにお話いただきました。
技術力がなければ務まらない。事業側とインフラエンジニア側をブリッジし、インフラ関連のプロジェクトを推進していくPMの役目
―― まずは、お二人がグリーに転職された経緯、またこれまでのキャリア遍歴を教えて下さい。
大本:前職では20人にも満たない規模の家電メーカーの子会社に勤めてまして、CRMサイトの運用やインフラまわりの開発、また提案業務など幅広く担当してきました。
そうした中で、あるとき大型キャンペーンを打つことになり、予想される大量のアクセスに対処しないといけない状況がありました。しかし、予算の都合上サーバー増設は厳しく、アクセス分散などで対応したものの、大量のアクセスをどう捌くべきか頭を抱えたことがあったんですね。
そんなタイミングで、知人から転職先として紹介されたのがグリーでした。グリーでは大量のアクセスを捌くナレッジが豊富だろうと期待していたため、自身のスキルを伸ばせる環境があると思い、2013年にグリーに入社します。
入社後は、インフラ構成・アーキテクチャ・開発レビューなどの技術支援を行うチームに配属され、SEとしてプロダクト側とインフラエンジニアをブリッジするようなポジションで新プロダクトのリリースに関わったり、オンプレ構成の最適化プロジェクトを担当したりしてきました。
そうした過程を経て、現在はグリー全事業のインフラ構築・監視・運用を担当する、インフラストラクチャ部の運用グループでシニアマネージャーを務めており、グリーのインフラ運用やクラウド化プロジェクトなどを担当しています。
舟橋:私はSIer企業に新卒で入社して、主にJavaでのコーディングをするエンジニアとして働いていました。そしてソーシャルゲームの大規模運用に興味を持っていたことから、グリーへの転職を考えるようになったのですが、入社の決め手となったのは採用面接でした。
面接では「データーベースサーバーを止めずに切り替えをするにはどうするか?」といった質問をされたのですが、実際にそういった業務を行っているんだろうなと思い、技術的にチャレンジできる環境があるのだと強く感じましたし、面接自体も非常に楽しかったことを記憶しています。
そして2012年5月グリーに入社しまして、オンプレ環境の画像サーバーまわりのメンテナンスやCDN関連の設定や構築、障害対応を担当。その後、オンプレからクラウドへ移行するプロジェクトでPMを担当することになり、現在は新規プロダクトのリリースに伴うインフラ構築を主に担当するSIグループのシニアマネージャーとして、新規リリースプロダクトの環境設計や構築なども担当しています。
インフラストラクチャ部 運用グループ 大本さん
―― インフラストラクチャ部がどういった部門なのか、またインフラストラクチャ部のPMの役割、必要性を教えて下さい。
大本:インフラストラクチャ部としては、「インフラ環境の最適化」「技術で事業に貢献する」「技能向上」「売上向上」と4つのミッションを掲げており、その中で私が所属する運用グループでは「インフラ環境の最適化」のミッションのもと、全事業のインフラに対して横断的にサーバー増減設などのオペレーションや、24/365での監視・運用を担当しています。
そして運用グループの主なメンバーとしては、インフラの安定運用を目的とした構築・監視・運用するオペレーターで、そうしたメンバーに対して計画立案して導き、部内外調整でサポートするのが運用グループのPMの役割となります。
サービス継続のためのOSやミドルウェアのバージョンアップ、また脆弱性対応などの通常業務と並行して、オンプレのクラウド移行といった大きなプロジェクトにも取り組んでいます。
舟橋:私が所属するSIグループでは、主に新規プロダクトのリリースに伴うインフラ構築を担っており、インフラの構築や新サービスの導入、IaC化の推進などをするエンジニアチーム(サービスインストレーションチーム)、サービスやインフラを支えるモニタリングシステムの開発保守を行うエンジニアチーム(サービスリライアビリティチーム)、そしてPMメンバーで構成されるチーム(サービスマネジメントチーム)の3つのチームが存在します。
インフラストラクチャ部が掲げる4つのミッションの中でも特に「技術で事業に貢献する」という部分が色濃い部門で、たとえばインフラエンジニアの言っていることが正しくても、事業側としては予算やスケジュールを鑑みた意思決定が求められます。そこで、ビジネスを理解した上で最適な落とし所を調整して見つけていくことが、SIグループのPMの役割です。
そしてこれまではゲーム事業が主であったため、リリースまでのプロセスは同じようなものでしたが、現在グリーでは様々な領域で事業を展開しており、コストやスケジュール面で様々な調整を行った上で、技術的な提案をしていくことが求められます。
そのため、技術を諦めたからPMをやりますといって務まるポジションではなく、むしろ常に技術を高めていかないと務まらないポジション。そこで外部の勉強会へ参加したり、自分たちで勉強会を開催したりと、技術力向上にも積極的に取り組んでいます。
世界同時リリースなど、グリーだからこその規模感で挑戦できることがやりがい。技術的な好奇心を満たせる環境がある
―― どのようなところに、グリーのインフラストラクチャ部のPMとしてのやりがいを感じていますか?
大本:インフラストラクチャ部のPMは受託開発のPMと同じように、事業側の予算に合わせた工数、そしてインフラ構成を決めていくわけですが、基本的には売上予算がない部門です。そして相対するのはグリーグループの会社や関連するゲーム会社になります。
そのため、受託開発のPMのようにクライアント折衝が求められるということはなく、本質的なインフラ構築に向き合える環境で、どうすれば事業全体の売上向上に貢献できるかを考えることにフォーカスできるんですね。
そして相手側もゲームなどを開発しているエンジニアたちですから、「ここに負荷がかかっています」とだけ伝えればすぐ理解してもらえたりと話がスムーズですし、非現実的なことを言われることがありません。
また、グリーのメンバーはみな “ユーザー” と呼ばずに “ユーザーさん” と呼んだりと、ユーザーさんの不利益になることはやらないというマインドセットでいます。あくまでもサービス、そしてユーザーさんの利益になることを目指して一緒に進めていける風土があるというのは、とても気持ちよく仕事ができますし、やりがいに繋がる部分だと感じています。
舟橋:最近ですと、世界同時リリースするタイトルがありました。以前からも大規模アクセスが想定されるリリースはありましたが、世界同時ということで過去最大のアクセス規模になると。
そうした規模感の案件に対して、コストやスケジュール、またどんな技術を取り入れてリリースに向けて動いていくかを考えていくのは、グリーだからこそできるチャレンジですし、インフラのPMとして大きなやりがいです。
私はシニアマネージャーという役職ですが、いまでもPMとして現場に戻って、自分の担当プロダクトを持ちたいと思うくらいです。
また、企業によっては事業やプロダクト側にインフラ担当がいるケースも多いと思うのですが、グリーの場合はインフラストラクチャ部として独立した組織となっています。そして100名近い体制のため、その道のプロが必ず部内にいるんですね。
そのため新しいことにチャレンジするときも、誰かに相談すれば解決できるといった環境ですから、担当するプロジェクトの課題や解決策をまわりにヒアリングしながら、プロダクトのリリースに繋げていくというのはとても面白さを感じられる部分です。
―― その他、おふたりが思うインフラストラクチャ部のPMだからこその面白さ、またグリーだからこその面白さは何かありますか?
大本:PMとしてインフラ全体に関われますし、インフラエンジニア側も挑戦したいことがあったりしますから、常に新しい技術に触れられるというのは、やっていて飽きない仕事ですし、技術的な好奇心を満たせて、自らの技術を伸ばしていける環境があるのがグリーのインフラストラクチャ部の良さだと感じています。
そしてグリーは常に新しいことにチャレンジしていっているため、メタバースを含めた幅広い事業やサービスに関われるのはグリーのPMだからこその面白さだと思っています。
舟橋:動いて当たり前だと思われているのがインフラで、僕らは絶対落とさないというところを常に努力しているわけです。そして先ほど「技術で事業に貢献する」というのをミッションのひとつとして掲げているとお話しましたが、当然コストをかければより落ちにくいインフラを構築することは可能です。
しかし事業である以上、かけられるコストというのは限られているわけですから、コストを最適化させ、どこに落とし所があるかを見つけていくのは、インフラストラクチャ部のPMというポジションだからこその面白さだと感じています。
そして大本さんからもあった通り、様々な領域で事業展開するグリーだからこそ、ゲームに特化した技術知識が得られるわけではなく、様々なシステムを横断的に見ていけるのは他の会社にはあまりない面白さだと思います。
PM職を選んだからといってエンジニアを諦める必要はない。グリーには幅広い技術に携わって活躍、成長できる場がある
―― おふたりはパパ社員だと伺っていますが、インフラストラクチャ部は子育てとの両立はしやすい環境だと感じられていますか?
大本:現在はほぼリモートワークで働いていますが、コロナ禍以前からも在宅勤務できる制度があり、また業務ツールも整備されていたため、自宅からでもリモートで業務を行える環境がありました。そのため、2013年の入社したばかりの頃でも、子どもが熱を出したら保育園にお迎えに行ったりと、とても子育てと両立しやすい会社です。
また福利厚生面でもファミリー休暇というものがあり、家族の病院の付き添いなどで使える特別休暇があります。私は集中して仕事をやりたいタイプなため、子どもが熱を出したときは割り切って休んだりしていました。
そしてインフラの仕事というと、緊急対応が求められるイメージがあるかもしれませんが、グリーではオンサイトの作業はデータセンター事業者が担当しています。そのため、私たちが緊急対応でデーターセンターに駆けつけるといったことはなく、安心して子育てとの両立ができる環境です。
舟橋:また、私たち以外にもグリーにはパパママ社員が多く、みんなが子育てについて理解がある会社です。だからこそ、子どもに何かあったときは安心して仕事から離れて、休むことができます。
しかも、子育ての理解があるから休めるのではなく、その分をみんながサポートしていくというマインドセット、そして仕組みがあります。グリーでは業務が属人化しないようドキュメント文化があったりするため、たとえば何かしらの障害が発生したときに、私がいなくてもまわりがフォローアップできる環境があるのはグリーの良さのひとつだと思っています。
―― 現在、インフラストラクチャ部ではPMポジションの人材を募集されているとのことですが、どのような方が向いていると思いますか?
大本:エンジニアはサービスやプロダクトに直接関われるため、目立ちやすいポジションであるのに対して、インフラのPMと聞くと、地味でつまらさなそうな仕事だと思う方もいるかもしれません。
しかし、グリーのインフラストラクチャ部のPMは上流から下流まで、そしてグリーが様々な事業を展開しているからこそ、幅広くインターネットのすべての技術に携わり、活躍できる場があります。
そのため、技術に興味があることはもちろん、いろいろなことに興味を持って取り組める方は、インフラストラクチャ部のPMに向いていると思います。
舟橋:求職者の中には、エンジニア職を選ぶかPM職を選ぶかで悩んでいる方もいると思います。しかし、グリーは早いスピードでいろいろなことが変化し、インフラストラクチャ部のPMはインフラ環境に対してどうアプローチしていくかを常に考えていくことが求められる仕事です。
PMであっても技術を追い求めていく必要があるため、PM職を選んだからと言ってエンジニアとしてのキャリアを辞める必要はないんですね。むしろ、エンジニアリングのプラスになるキャリアだと思っているため、エンジニアかPMかといった枝分かれで考える必要はありません。
そしてグリーのインフラストラクチャ部は、オンプレからクラウドまで全般的に関われれる環境です。
今後も新しい技術に関わっていくことになりますし、過去のシステムは資産としていまでも見ることができますから、10年前のシステムから最新のシステムまで、順を追って身につけていける環境で、新しいことにチャレンジしていきたいと思っている方が向いていると思っています。
―― 最後に求職者の方へメッセージをお願いいたします。
大本:私はマネージャーとしてメンバーをアサインするときに、個々が挑戦できる余白を設けたアサインを心がけています。実際に自ら手を上げて新しいことに挑戦するメンバーがいたり、業務範囲外のことを自主的に取り組むメンバーがいたりと、みな自主性を持って働いています。
そしてスペシャリストたちが集まっているからこそ、何かわからないことがあったときも、自然とみんなが集まり、解決策を出し合ったりするんですね。そうしたサポートし合う風土があるため、孤独になることはありませんし、学ぶ姿勢があれば、どんどん成長していける環境があります。
長くインターネットに携われる良い環境ですから、ぜひ安心して飛び込んできていただければと思います。
舟橋:頻繁にメンバーとは1on1を行っていて、メンバーのやりたいことを吸い上げ、そこから業務に落とし込むというのを私は意識しています。こうした考えは私だけでなく、マネージャー陣はみな意識していて、メンバーの成長ややりたいことをリスペクトする風土があります。
だからこそ、なにかひとつだけでも構いません。自分のやりたいことを突き詰めて、ぜひチャレンジしていってください。