こんにちは、GovTech東京 人材育成グループの阿部です。前回の「行政×人材育成」の記事で、GovTech東京における民間人材受け入れの考え方と「ナレッジシェア」施策をご紹介しました。今回は研修施策の取り組みで「GQ研修」をご紹介します。
※GQとはGovernment Intelligence Quotientの略で「行政の仕組みや法律知識、各種連絡・調整など行政職員として必要な知識やスキル」を指す造語です(東京都デジタル人材確保・育成基本方針を参照)
目次
GQ研修の背景と概要
GQ研修の特徴と工夫したポイント
■行政職員の行動原理に法がどのように関わっているのか
■政策において「公平性」はどう考えるべきなのか
参加者の声と今後の展望
GQ研修の背景と概要
人材育成グループは、民間人材が行政で働く上で必要なインプットについて、①行政の仕事内容 ②行政職員の考え方 ③行政のルール、大きく3つを定義し、施策を検討・実施しています。
民間人材が行政で働く上で必要なインプット
今年の2~3月に「②行政職員の考え方」を学ぶ施策として「GQ研修」を企画・実施しました。
令和6年度GQ研修の概要
GQ研修の特徴と工夫したポイント
行政職員の行動原理といっても、制度やルールを学ぶだけで理解するのは難しいため、実際の行政現場で起こった具体的な事例に基づいて「自分だったらどうするか」「何を判断基準とするか」について、グループで対話をしながら、自身と異なる考え方にも向き合って、行動原理を“体験”することを重視しました。
■行政職員の行動原理に法がどのように関わっているのか
本note記事用に生成AIにてイラスト作成
具体的な事例の一つとして「こども連れで投票所に行ったところ、投票が拒否された」ケースについて、ディスカッションしました。
・こども連れでの投票の是非
・当時の公職選挙法の文面に基づく是非
これらを確認し議論していく中で、「法律の文面だけみると認められない」「住民目線で考えると解釈によって認めるべき」と意見が分かれました。
事例としては、このケースをきっかけに公職選挙法が改正され、現在はこども連れでの投票が認められることは条文上で明記されていますが、「本来、法律は個別事例の詳細まで規定すべきなのか」についても議論を行い、「行政職員は法律を根拠に判断・行動するだけでなく、個別事例に応じて法律をどのように解釈していくか”という視点も求められる」ことを体験しました。
■政策において「公平性」はどう考えるべきなのか
研修中の議論の様子
行政の事業は公益性の高さから「公平性」が重視されます。ある公立高校での事例では、卒業生の進学先実績を示したパネルが作成されました。このパネルにおいて、いわゆる「有名校」だけが大きく表示されており、この是非についても議論しました。
教育政策上、進路を示すことは教育機関としての説明責任や透明性において必要であり、学校の実績アピールにつながるとも考えられます。一方、特定の学校を恣意的に強調して見せることは学校の評価をしているように見えてしまいます。そして、地域間・生徒間の”格差感”を生んでしまう可能性もあります。この議論では「そもそも全ての進路を掲載できないのであればパネルは掲載すべきではない」「あいうえお順に掲載すれば良いのではないか」などと、様々な意見が出ました。政策的にメリットがあるものでも、「公平性」の観点で十分な検討が必要であることを学びました。
参加者の声と今後の展望
参加者の方からは、ケーススタディを多く取り入れた研修設計が好評で、以下のような声が上がりました。
「具体的な事例を元に法令や住民との向き合い方について分かりやすく説明していただいた」
「4~5人のグループでいろいろ話しながら考える時間があって良かった」
「行政職員がどのようなことを考えているか、その一端が分かり、ためになった」
その他意見も踏まえて、研修の開催形式やカリキュラムをブラッシュアップして、継続的に開催していきたいと考えています。
行政機関で働くことに興味はあるものの、民間企業などとのギャップに不安を感じる、という方がいらっしゃるかと思いますが、GovTech東京では今回紹介したGQ研修を含め、様々なインプット施策を実施していきますので、ぜひ一緒に行政のデジタル活用推進にチャレンジしていきましょう!
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※このストーリー記事は2025年7月30日 11:32公開の一般財団法人GovTech東京の公式noteからの転載です。