こんにちは!技術広報のちはっぴーです。
今日はGMOリサーチの上海拠点(中国合弁会社GMO E-Lab)の仲間であるエリンさんに、新型コロナウイルスに関する中国での実体験をブログ記事にまとめていただきました。
エリンさんは現在、GMOリサーチの上海拠点で弊社中国向けサービスのシステム開発を担当してくださっています。
新型コロナウイルスにより中国国内がどのように変わっていったか(外出、教育面など)について気になる方は、是非ご一読くださいませ。
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2020年新春の初め、人類の大きな災難は中国湖北から始まり、今は全世界の隅々まで拡散していきました。
私たち中国の住民は、その波に巻き込まれ、自らドアを閉ざし、困難を共に克服しながら、人類が置かれている地球環境への影響、そして人類、国民、親、子供として負うべき様々な責任を見直し始めました。
コロナウイルスが話題になり始めた頃のお話です。
SARSを経験したことがない私は不慣れで、無防備でしたが、日本で10年間生活した経験に基づいて、春節休み(※中国の旧正月)に入る前にネットで数少ないマスクを買いました。
このマスクは、短い春節休暇の終わりにやっと手元に届きました。
そのおかげで、マスクを1枚も買い求められなかった、遠く湖南長沙にいる家族にもなんとか分けてあげることができました。
ちょうど同じくらいの時期に、なんとなく嫌な予感がしたので、長沙(※私の地元)に帰る新幹線の切符を思い切ってキャンセルしました。
今回の新型肺炎病はそんなに簡単には終息しないだろうと思ったからです。
また、会社の同僚に「パソコンを家に持ち帰った方がいい。長期的に家で仕事をする必要があるかもしれないから」と伝えておきました。
予想通り、中国における感染病の状況が一層厳しくなっていったので、最悪の状況を想定して備えていた自分を褒めてあげたいなと思います。
1月が終わる頃には武漢閉鎖となり、全国の人民が政府の指示に従って家で自主的に隔離されることになっていました。
必要物資の買い出しについて
私たちはお兄さんの家で春節を過ごしたあとに、自分の家に帰って、長期隔離の準備をしました。
これまでずっと便利に使っていた宅配便サービス(食料や日用品など)の予約がいっぱいになり、全く使えなくなっていました。
後日ニュースを見たところ、配達の人手が急激に減っていたためこのような事態になっていたようですが『野菜の供給不足が原因』だと勘違いしている人が大勢います。
宅配便サービスは使えないし、出前を呼ぶのも怖いので、自分で貴重なマスクをして近くのスーパーやコンビニに買い物に行くしかありませんでした。
マスクを節約するため、私達はマスクをビニール袋に密封して保存し、3-4回使ってから専用のゴミ箱に捨てました。
野菜を買いに行くだけでもヒヤヒヤです。
いくつかのスーパーをかけ回りましたが、野菜は全部売り切れ。
腐った野菜がいくつかと、わずかばかりのトマトが残っていたくらいでした。
仕方なくもっと大きなスーパーにも出向きました。
近くのスーパーよりは野菜の数は多かったですが、ここでも緑の野菜は完全に売り切れ…。
聞くところによると、どうやら野菜や豚肉、鶏肉は朝の早い段階で売り切れてしまうようです。
大手スーパーチェーンの店内は人で溢れかえっており、会計のために30分以上も並ぶことになりました。
「人混みの中に長時間いたら感染してしまうかもしれない…」と思い、今後は二度と行かないことを決意。
その数日後、ニュースで野菜を奪い合う光景が報道されました。
それを受け、中国政府は食料の提供には全く問題ない、パニックになる必要はないと宣言していましたが、私は危険を冒して近くの農貿市場(※中国の市場)まで自分の目で確かめに行きました。
そこには政府の言葉通り、さまざまな野菜、豚肉、鶏肉、卵などが山のように積まれていてホッとしたのを覚えています。
『湖北海鮮市場から感染拡大した』というニュースの影響で、ほとんどの人が農貿市場に行くのをためらっていたようです。
私は入り口すぐにある店で新鮮な野菜をたくさん購入し、家に向かう途中の調製食品の店にも寄ってみました。
ちなみに、店員さんたちはしっかりマスクを着用していました。
2月初めになると、私たちはほとんど外出しなくなりました。
団地も規制が厳しくなり始め、宅配便も団地の入り口までしか届けられません。
重い浄化水のボトルなど、全ての荷物を、エレベーターがない四階まで自分で運ぶしかありませんでした。
毎朝目を覚ますと、スマホでオンライン発表された全国の新型肺炎の感染人数、疑似人数(感染が疑われている人数)、死亡人数及び上海市で新たに確認された感染者の接触地区の所在などをチェックしていました。
団地と商店の等級(団地とお店の名前を出すレベル)まで具体的に発表されており、このような情報の透明性は私たちに非常に大きな安心感と安全感を与えてくれました。
以前と同じように噂が飛び交っていても、数日後には自動的におさまり、初期のように簡単にデマに踊ることはなくなってきています。
ただ、一つ例外がありました。それは双黄連事件です。
上海のあるウイルス研究所が双黄連(※中国で広く普及している漢方薬)が新型肺炎に対して一定の効果があるというニュースを発表。
この情報がSNSで拡散されるやいなや、人々がウイルス感染の危険を省みず薬局の前に行列を作り、双黄連を買いあさる事件が全国で発生しました。
翌日目を覚ましたら、親友たちが車を運転して外出して双黄連を買いあさる写真や、そのニュースを風刺するような内容の漫画がネット上に溢れかえっていました。
この事件の後から情報収集のルートを変え、「鳳凰網」という、ニュースの正確性、客観性が高く、いつも根拠のあるデータをもとにニュースの取材と報道を行っているメディアから、必要な関連情報を取得しています。
中国国内の通信教育について
3月に入ってから、家での隔離生活に大きな変化が訪れました。
子供たちの学校から上海市教育局のネット授業に関する通知が相次いで発表されたのです。
この時は、通信教育という初めての試みに本当に混乱しました。
ひとりっ子の家族ではまだマシですが、二人以上の子供を持つ家族はなかなか大変です。
先に別々のテレビチャンネルで放送される授業映像を見てから、それぞれのアプリで先生と交流し、授業の理解の確認と宿題の提出、訂正を行っています。
授業を円滑に行うための設備テストだけでも、週に何回も行うことになりました。
また、時間になるとオンラインでチャットルームに入る必要があります。
先生たちの生放送も順調ではありません。
声が聞こえなかったり、オンライン状態では表示されないなど、様々な問題が起きていました。
しかし、感心させられたのは、教育局といい、学校といい、アプリの技術者といい、不眠不休で問題を解決し、多くの困難を克服し、ネットで授業をするという前代未聞の課題を克服したことです。
今では毎日二人の子供がとても規則よく早起きして、時間通りにテレビやiPadなどの電子機器の前に座って先生の授業を見ています。
田舎暮らしでネット授業を受けにくい子どもたちがニュースでも大きく取り上げられ、このような困難を解決するための行動が今も続けられています。
医療関係者への感謝の言葉
また、今回のウイルス騒動において特に注目すべきは、全国各地の医療関係者です。
彼らは前例のないウイルス対策において、多大なる責任感と使命感を示しています。
日々犠牲者が増えていく厳しい戦いの中、家庭を顧みず、寝食を忘れ、問題の解決に身を費やしてくれています。
彼らは医療関係者のマイナスイメージを完全に払拭し、偉大な献身と犠牲精神を見せました。
これは人を救う仏の慈悲の最高の体現かもしれないなと思います。
彼らは尊敬に値する、素晴らしい人たちだと思います。
最後に
冬は去り、春の桜はもう咲き始めています。
日本は中国に大きな助け船を出してくれました。
その恩返しとして、中国も絶対日本を助けます(※1)。
ともに苦難を乗り越え、夏が来る前にまた再会しましょう!
以上、最後まで読んでくださってありがとうございました!
(※1)実際に先日、中国から日本へマスクが769倍返しとなって届いたそうです。