骨伝導スピーカーの常識
骨伝導スピーカーは、その名の通り、振動で骨を揺らし、音を鳴らします。出力を大きくするためには、物理的に振動を強くしなければならないため、その分、振動が大きくなります。
そのため、従来、骨伝導スピーカーを搭載したヘッドホンや補聴器は長時間装着することは不可能と考えられていました。
freecle は設立以来、耳栓や補聴器、ヘッドホンなどと違い、着けていることが分からない、さりげない商品を追求してきました。そのひとつの答えが「メガネ型デザイン」×「骨伝導スピーカー」でした。
ただし、骨伝導スピーカーには上記の問題があり、メガネのフレームが激しく揺れるという課題がありました。皆様がご存知のデバイスで例を挙げると、Google Glassも同様の課題を抱えています。
他業種から得たアイデア
私たちは、この課題を乗り越えるために、物理法則に反した解決策(骨伝導スピーカーの出力を下げずに、振動を下げるためのアプローチ)を検討しました。
当初、振動を防振する素材(ゴム・鉛・ウレタン・ゲル)やダンパーを検討しましたが、減衰率が50%程度に留まり、体感では効果を実感することが出来ませんでした。
検討の過程で、骨伝導スピーカーに関連する特許を数百件読込み、専門家にヒアリングを行うものの、新しい解決策が見つからず、悪戦苦闘すること数ヶ月、メンバー(関口)のバックグラウンドである建設業界に目を向けてみました。建設業界では、地震から身を守る方法として、数百年もビルの防振構造が研究されており、その中の「接点分散構造」という方法にヒントを得て、最終的に約90%の減衰に成功することが出来ました。
このように、皆が無理だと思い込んでいる常識に目を向け、既存の延長にないアイデアを考案することで、新しい価値のあるソリューションが生まれると信じています。