採用初心者の人事担当が、『中途採用の定石』(今啓亮, 2023)をバイブルに、一冊丸ごと実践していく採用ストーリー。今回は、「4つの観点で自社の魅力を言語化しよう」に取り掛かります。
採用活動を成功させるには、会社に魅力を感じてもらうことが肝要。偏りなく自社の魅力を引き出せるよう、4つの観点から、FRDジャパンの魅力とは何なのか、考えていきたいと思います。
①会社と事業の魅力
これについては、前回も書いたように、偶然の出会いが重なってサーモン陸上養殖という今の事業の形にたどり着いたストーリーがほんとに人を惹きつけます。。書きます。
もともと水処理設備を専門にしていた辻さん(現COO)が、趣味の魚釣りの後に通っていた、水槽のある料理屋さんで、「水槽の管理が大変だ」というのを聞いて、では水をきれいにできる装置を考えてみよう、ということで微生物を専門とする小泉さん(現CTO)とともに、バクテリアの力を使って硝酸を除去する「脱窒装置」の研究開発を開始したことから、FRDジャパンのストーリーは始まります。2005年頃のことです。
最初は、「水処理設備」で事業展開することを考えていたので、水族館に売り込み、脱窒装置をいくつかの水族館に導入。これが「閉鎖循環式」の水処理を始めたきっかけになります。
ですが、水平展開が難しく軌道に乗らず、何か方向を変えなければ、ということで出てきたのが、「陸上養殖」にかかわる水処理の方向性でした。勉強を重ねるうちに、実は陸上養殖をビジネスにしている会社はまだないということに気が付きます。「だったら自分でやってみる?」ということで、助成事業に応募、見事資金を獲得し、「アワビの陸上養殖」の研究開発が始まります。
さぁ、ようやく陸上養殖によって育てた生産物を売ることで利益を得るという構想までたどり着きました。あとは、ビジネスとして成り立つ規模まで広げることが課題です。
陸上養殖の参入障壁ともなるのが、「小規模では採算が取れない」という構造。大規模な出資がなければ、採算が取れる規模での養殖場を作ることができません。
パートナー探しに苦心すること7年目、ここで現CEO十河さんの登場です。(よっ、まってました!笑)三井物産に寄せられた相談から、アワビの陸上養殖について調べる中で見つかったFRDジャパンが、アワビという市場の小さい商品から、サーモンという世界中で需要が伸びている商品へ転換する時がきました。
試しにサーモントラウトをアワビの養殖場で育ててみたら、これが驚くほどうまくいき、美味かった!これはいけるぞということで、十河さんは三井物産で「サーモン陸上養殖」を新規事業として提案したのです。
2017年当時、三井物産では新規事業創出の取り組みがなされていて、出資を実現させたこの案件は、第1号の「カルガモ案件」としてここに誕生したのであります。(私も当時はその様子を三井物産の中から見ておりました。いや、ほんとに運命感じます。)
2018年、木更津に実証実験プラントが建設され、十河さんも当時はCOOとしてこの事業に参画、辻さん・小泉さんも自身の会社を経営しながら着々と研究開発を進めてきましたが、事業可能性が高まるにつれ、いよいよこの事業に人生かけていこう!と、FRDジャパンへ一本集中していくこととなります。そしてプラント建設から5年にも及ぶ試行錯誤を経て、ようやく2023年に210億円という規模の資金調達に成功。これは2023年の国内スタートアップ資金調達ランキング第3位となり、注目を集めました。
つまり、これは芽が出る事業だと、客観的に認めていただける結果を出せたということです。2018年からここまでの道のりは、本当に険しく長かったろうと思います、、予定通り富津プラントで3500トン出荷出来た時には涙なしにはいられませんね。。
これが一連のストーリーです。
陸上養殖業界というと、すでに各国で実績を積んだ海外の大きな企業が、利益めがけて日本市場に手をかけてきているような状況にある中で、偶然3人の釣り好きのおじさんたち(十河さんももう40なのでおじさんです。当時はお兄さんと二人のおじさんかな。)が出会って育ててきた会社が世界のトップランナーとして陸上養殖業界で戦っているなんて。まだ外部から見ていた時の私は、「この会社にうまくいってほしい!」という思いを抱いたことを覚えています。
ここから先のストーリーを作るのは、私たちです。
ビジネスですから、どんなに胸が熱くてもお金になるかならないか、そこはシビアな世界です。結果論でしか人は物事を判断しませんから、ここからも大きな勝負の連続です。これまでの養殖1世代1世代の勝負を生かしてきての今の立ち位置。未来にバトンをつなぎたいです。
一緒にここから先の未来を描いてくれる仲間を募集していますので、ご興味がわいた方はぜひ一度お話ししましょう!
4つの観点を語るつもりが、案の定1つ目で終わりました。(だって魅力的なんだもの)
タイトルどうしましょう。シンプルに、①としておきましょうか。
次回は、「②組織と人の魅力」です!