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建物のサスティナブルデザインは、「美しさ・合理性・ストーリー」で決まる

はじめに:建物における「サスティナブルデザイン」とは?

「建物」と省エネルギーやSDGsといった「環境テーマ」は、切っても切り離せない関係にあります。そのなかで、建物が果たすべき役割は、「自然に逆らわず、共存すること」、そして「自然と人間が互いにストレスなく共生できる器になること」です。つまり、”自然と人間の関係を豊かにする建物のデザイン”こそが、建物における「サスティナブルデザイン」の本質であると考えています。
私が得意とするアプローチは、物理法則や数値シミュレーションに基づいた環境エンジニアリングです。しかし、建物の設計においては、「美・文化・都市・経済的なコンテクスト」を幅広く捉える視野を持つことが、不可欠だと感じています。
これまでのキャリアにおいて、私は、自分のサスティナブルデザインへのアプローチを磨くため、全く異なる思想や手法で建物に向き合う様々な環境に、積極的に身を置いてきました。この経験を通じて培われた”美しさ・合理性・ストーリー”を導き出す分野横断的な思考こそが、サスティナブルデザインの「現実世界における実装」において最も重要であると確信しています。ここでは、私が、それぞれのステージで得た経験や学びを掘り下げ、上記の結論に至った背景を紹介していきたいと思います。



1章:東京大学:合理・論理性を重視した環境設計の基礎を学ぶ

東京大学で学び始めたときに考えていたのは、「太陽や風の動きを軸に建物をデザインしてみたい」ということです。当時から環境設計を取り入れた建築デザインに興味を持っており、独自の環境テーマを掲げて設計課題や研究に取り組んでいました。

環境変化を楽しむことをテーマに取り組んだ設計課題

大学3年生のときに取り組んだ長岡の集合住宅の課題では、建物を構成する材料の熱容量に着目し、環境の変化を楽しめる空間を設計しました(図1)。

図1:東京大学建築学科3年生時の課題 長岡の集合住宅のプロジェクト 木造・RC造という熱容量の異なるボリュームを行き来し環境変化を楽しむ住宅

熱容量が大きく室温の変化が少ない鉄筋コンクリートの箱の中では、外部から隔離された空間が構築され、落ち着いて自分に集中できます。一方、開放的な木造の箱では、周囲の景色や環境の変化を楽しめます。熱容量の異なる箱を並べることで、町の界隈性との多様な関わり方を生み出し、様々な体験ができる仕組みを考えました。

卒業設計でも引き続き「熱容量」というテーマを取り入れています(図2)。ここでは、熱容量の異なるダブルスキンで建物を覆うことで様々な室内環境を生み出しています。壁やスラブで隔てられることにより部屋の繋がりは断続的になりがちですが、ダブルスキンで室内環境を形成し、部屋を跨いでもプログラムがゆるやかに繋がるような構成を考えました。
卒業設計では、辰野賞・コンドル賞という最優秀作品に贈られる賞を頂き、「環境設計×建築デザイン」という手法に確かな手ごたえを感じました。

図2:東京大学建築学科の卒業設計 出身地である港北ニュータウンがテーマ 熱容量の異なる「ダブルスキン」が、人のつながりや界隈性を生み出す


デザインのリアリティを高めるための実測・実験・研究

設計課題に取り組む傍らで熱心に取り組んでいたのが、環境をテーマにした「実測・実験・研究」です。私は、デザインにはリアリティが大切だと考えています。工学的な知見から物理現象を把握することで、はじめて本質的な課題にコミットすることができます。そのため、大学では環境系研究室に進み、様々な光・熱・風環境のなかで自然室温や蓄熱性能を実測する基礎研究に取り組みました。
様々な研究のなかで、私の設計思想に最も強く結びついているのは、「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」(環境省)*1をもとに行った実測・研究です(図3)。

図3:「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」(環境省)をもとに行った実測・研究

この事業では、全国からピックアップされた20地域において、異なる建築家が、その地域に最適なエコハウスをテーマに設計を行っています。しかし、当時は環境をうまく取り入れて快適なエコハウスを実現する手法が確立されていませんでした。環境シミュレーションも一般的ではなかったため、それぞれの建築家が独自の視点で取り組んだ結果、狙い通りに快適な環境を生み出せたエコハウスは、必ずしも多くはなかったのです。

私自身も北海道から沖縄までこれらのエコハウスに出向き、室内の温熱環境を実測しました。ある雪深い地域のエコハウスをサーモカメラで撮影すると、薪ストーブの前だけが急速に暖まり、部屋全体が暖まるのに1日半ほどかかる状態であることがわかり、「このままではいけない」と強く感じたことを覚えています(図3:右下図)。
このような実測・研究で得られた「リアルな体験」と「実測値」の近似点を見出せたことが、現在の”リアリティのあるデザイン”に繋がっていると考えています。

2章:MAD Architects:建築の美しさについて考える

東京大学で環境建築について学びながら、「環境系研究室で学んだ工学的合理性をどのように建築の美しさにフィードバックするか」を考えるようになり、デザインの本場に舞台を移して「建築の美しさ」を学ぼうと思いました。そこで、どこで建築の美しさを学ぶかを考えるために、私なりに建築家のスタイルを分類したのが以下の図です(図4)。

図4:建築家のスタイルの分類

この分類で軸にしているのは、「ルールや論理性をどれくらい重んじるか」ということです。左は「特定のルールに則って全てを設計するスタイル」、真ん中は「論理的に空間と行動を
結び付けて設計するスタイル」、右は「とにかくインパクトの強いキメの空間を目指すスタイル」に分類しています。日本の建築教育のベースであり、日本の多くの建築家が属するの
は、真ん中の「論理性を重視するグループ」です。
私は、美しい建築を学ぶため、右上に分類される「MAD Architects」のインターンに臨みました。MAD Architectsは、Zahaの一番弟子ともいえるMa氏が代表の建築事務所で、とに
かく建築の美しさにこだわりを持っています(図5)。Ma氏から私たちスタッフへの指示はシンプルで、”Just Make it Beautiful”。MAD Architectsという新たな舞台におけるキーワードです。

図5:「Just Make it Beautiful」

「霧」を建築で表現する:論理性のないデザインが飛躍する瞬間

MAD Architectsで参画した代表的なプロジェクトは、青島のゴルフリゾートに隣接するラグジュアリーヴィラです。このプロジェクトでは、敷地の中の10区画に多様な住宅形式を提案することが求められました。私が担当したのは、既存の松林を活かした区画です。Ma氏からの指示は、「松林の中にゆるやかに落ちる霧のような建築」をつくること。「長谷川等伯の松林図をとにかくよく見ろ」と言われたのを覚えています(図6)。Ma氏は、自然との向き合い方にこだわりを持っており、伝統建築や絵画の研究を熱心に行っていました。

図6:(左)既存の松林を活かした区画(右)長谷川等伯の松林図

「霧という軽やかなイメージを硬くて重い建築でどのように表現すればよいのか。」
霧のイメージを様々な形に置き換え、数十個のモデルをつくりながらカーペットのような建築を模索し続けました(図7)。

図7:霧というイメージを建築で表現するために作った数々のモデル

あるとき生まれたひとつのデザインに、私は今までとは全く異なる手ごたえを感じました。森の中心に立っている人の上から、霧のように降りてくるカーペット。水や花、木洩れ日に囲まれ、元々あった松林の環境を感じ取ることができる美しい風景です(図8)。

図8:突然降ってきた美しい風景

Ma氏のインスピレーションから生まれた霧というイメージをもとに、論理性を度外視してがむしゃらに進めてきたデザインが、このとき大きく「飛躍した」と感じました。それまでは私のデザインにさほど興味を持っていなかったインターン仲間も、このデザインを見ると明らかに表情が変わったことを覚えています。
美しい・カッコよい建築を生み出すためには、論理や思考を捨ててデザインを突き詰めることも、ときには大切だということを学びました。

「泡」を集積して建築をつくる:論理性のないレンダリングから「何かを感じる」

同プロジェクトの次の区画では、泡のような建築に挑戦しました。ここでも、論理性は捨て、ひたすらレンダリングを繰り返しながらどのような空間が生まれるかのスタディを重ねました(図9)。

図9:泡のような形状のレンダリングを1日50枚以上作成

レンダリングを繰り返していると、建築的に意味のありそうな「何かを感じる」風景が、チラホラと現れてきます。ここでも、「何かを感じる」という感覚を頼りに風景を集積し、ひとつの美しい建築に「飛躍する」瞬間を目指しました(図10)。

図10:泡が集積してひとつの流体になったような建築 駐車場・リビング・ギャラリー・ゲストルームなどがある

このとき大切にした「何かを感じる」という表現は非常に抽象的なものですが、そこに結び付く「みんなが共通して惹きつけられる魅力」というものが、たしかに存在すると私は考えています。そのひとつが、晴れ・雨といった天候、周囲の松林の風景といった自然を感じ取れる空間であり、MAD Architectsが大切にしているポイントなのでしょう。


3章:東京大学 環境の感性を磨く

MAD Architectsでは、「美しい形の極め方」を学びました。次に考えたのは、「美しい形状と工学的合理性の両立」というテーマです。そのため、東京大学に戻った後は、環境建築に立ち返り、改めて工学的合理性を追求しました。このときは、異なる形状の空間に対して環境シミュレーションを繰り返して因果関係を理解することが大切だと考え、環境シミュレーションを行う学生団体を作りました。そのなかで行った活動のひとつが、ル・コルビュジェの住宅に対する風シミュレーションです(図11)。

図11:ル・コルビュジェのサヴォア邸の風シミュレーション

この活動では、成果を新建築社*2に持ち込み、「ル・コルビュジェの住宅と風のかたち」という本を出版しています。本の製作に当たってこだわったのは、シミュレーション結果を感覚的に理解できるような色使いです。一般的なレインボーのカラーバーではなく、風が心地よく感じられる部分はいかにも快適そうな「緑」、風の流れが速い部分は涼しげな「青」、遅い部分は滞留をイメージさせる「黄色」というように、感覚的に環境を捉えられるように意識しました。
このようなシミュレーションと分析を繰り返していると、風の動きを感覚的に掴めるようになってきます。例えば、下図に示すバルセロナの集合住宅に対する風シミュレーションでは、屋上の空気の出入口に通ずる階段がベンチレーションタワーとして機能し、風の通りが1階に集中している様子が見て取れます(図12)。このようなシミュレーションをかけなくても、断面パースを見るだけでこの様子をイメージできるように感覚を磨いていきました。

図12:バルセロナの住宅の風シミュレーション 1階に風の通りが集中している


4章:竹中工務店 美しさ・合理性の融合を実践する

「美しい形状と工学的合理性の両立」のために工学的合理性を追求しているなかで、感じていたことがありました。それは、日射・光・風といった環境条件を全て完璧に取り込むのは難しいということです。つまり、環境建築のポイントは、「周辺環境の何を取り込み、取り込まないのかを決めること」だと考えました。
これを実践した一例として紹介するのが、竹中工務店に入社してから担当した「ペプチドリーム」という製薬会社のプロジェクトです(図13)。このプロジェクトでは、「日射」を軸にして、豊かな景観とオフィス環境の両立について考えています。


図13:「ペプチドリーム」という製薬会社のプロジェクト

敷地は、羽田空港の対岸に位置し、多摩川の雄大な環境を臨む好立地です。私は、豊かな風景を取り込むのが優先事項だとすぐに判断しました。そのため、ラボとオフィスを並行させるセオリー通りの配置ではなく、ラボからも多摩川の景色が見えるように、ラボにオフィスを巻き付けるような配置にしています。

次に考えたのが、快適なオフィス環境の在り方です。ここでは、「日射」について掘り下げて考えました。下の写真を見ると、窓際の席の机上には日射が落ちており、パソコンの画面が見づらそうです(図14)。おそらく、席に着いた方はブラインドを下げてしまうでしょう。しかし、ブラインドを下げてしまうと、せっかくの多摩川の景色を見られなくなってしまいます。

図14:「不快な日射」とは何か。机の上に日射が落ちると眩しくて働きづらい

そこで、ブラインドに頼らなくても日射を防げるように、外部のルーバーをうまく使えないかと考えました。ルーバーの日射遮蔽効果を確かめるため、ルーバーの角度を0°、30°、60°、90°と変えながら日射のシミュレーションを繰り返します(図15)。

図15:ルーバーの角度を変えて行った日射シミュレーション

シミュレーションにより、ルーバーの角度が30°、60°のときに日射遮蔽効率が高いことがわかりましたが、同時に、外の景色が見づらくなってしまうことも確認できました。これでは、ブラインドを下げるのと変わりません。そこで、ラボやオフィスからの景観を優先して考案したのが、湾曲する外壁窓に対して垂直にルーバーを設置する方法です(図15:左下図)。窓に対して垂直にルーバーを設置すると、多摩川の雄大な景色をオフィスに取り込めるだけでなく、ルーバーを30°・60°にしたときとさほど変わらない日射遮蔽効果を期待できます(図15:右下図「90°to River」)。ルーバーの角度の決定後、「机の上に日射を落とさない」ルーバーの形状について、各方位において細かな調整を行うことで、特徴的な外観が生み出されました。環境的にはベターな解ですが、多摩川の景色をストレスなく堪能できるベストなオフィス環境を提供できたと考えています。

5章:ハーバード大学:分野横断的な思考を身に付ける

竹中工務店に所属している間に、ハーバード大学デザイン大学院(GSD:Graduate School of Design)に2年間の留学をしました。GSDでは、ランドスケープ、不動産、環境、都市計画、都市デザインなどをテーマに建築を教えています(図16)。つまり、「人間の居住関係をどう作るか」に主眼を置いているということです。GSDでは、建築・環境分野に限定せず、豊かな居住環境を実現するために求められる「分野横断的な思考」を身に付けることをテーマに設定しました。

図16:日本の建築学科とハーバードGSDの専門領域の違い

GSDには、多様な人種の優秀な学生が集まっています(図16)。教員も含め、立場に関係なく議論を行います。ここでは、欧米人もアジア人も関係ありません。そのため、高い評価を得るには、合理主義のアメリカ人を納得させる「分析力」や、歴史を重んじるヨーロッパ人を感心させる「ストーリー構成力」、第一言語や文化が異なるなかでも力強く意図を伝える「プレゼンテーション力」が求められ、優れた建築家が持つ「総合力」が鍛えられたと感じています。

図17:世界中の42の異なる国から学生が集まり、立場の差なく一緒に考えて議論する

ハーバード大学GSDの関連記事はこちら: ハーバード大学デザイン大学院(GSD)とは

交通ネットワークシミュレーションなどを設計に取り入れ、分野横断的な思考を身に付ける

GSDの都市計画学科では、交通量シミュレーションやGISの人口マッピングを取り入れた設計に挑戦しました。あるプロジェクトでは、ビッグデータを用い、既存のモノレールを300m延長して駅を移設することで乗降者数が3倍に増えることを実証しています(図18)。

図18:ビッグデータを用い、既存のモノレールの延長と駅の移設で乗降者数が3倍になることを実証した

このプロジェクトでは、上記の交通ネットワークシミュレーションを軸に集合住宅や商業施設の計画を進めながら不動産収益シミュレーションまで行っています(図19)。15年でペイオフするような建設フェーズ・不動産投資の計画を提案したところ、リアリティの高い合理的な計画が評価され、学内最高賞金額の大きな賞を頂くことができました。

図19:不動産収益シミュレーションでフィージブルな計画であることを立証した

ハーバード大学GSD設計課題の関連記事はこちら : 形と形式の違い

GSDの「人間の居住関係をどう作るか」に重きを置いた教育を受けたことで、都市や交通といった分野にまで視野が広がり、建築や環境設計といった得意分野に捉われない「分野横断的な思考」を大切にするようになりました。この分野横断的な思考こそが、プロジェクト全体のサスティナビリティを向上させ、将来にわたって人々の生活に寄り添う建築を生み出すのです。
分野横断的な思考を持って計画を進めていると、ひとつの「ストーリー」が見えてきます。前述のプロジェクトでいえば、「既存のモノレールの延長と駅の移設で乗降者数が3倍になると、人々の暮らし方が変わり、求められる集合住宅や商業施設が変わっていく」というようなストーリーです。分野を越えない考え方をしていると、ストーリーが断片的になってしまうでしょう。分野を超えてピースを集め、ひとつのストーリーをつくりあげるのが、建築家の役割だと感じています。

全米トップレベルの「環境技術×建築」の融合を学ぶ

GSD在学中に得た貴重な経験でもうひとつ紹介したいのが、当時全米トップの設計事務所といわれていた「Payette」でのインターンです。Payetteは、デザインと高いパフォーマンスの両立を評価され、2018年にはAIA(アメリカ建築家協会)の「Best Firm Award」を受賞しています。大きな特徴は、環境設計チームを内部に所有していること。環境設計チームの活躍により、Payetteが設計したビルのエネルギー消費量は、この10年間で1/3まで低減しています。日本ではこのようなデータをまとめていること自体が稀有ですが、Payetteは、竣工建物をサーモカメラで撮影し、データの取得や熱の逃げ道の分析などを徹底的に行うことで、環境性能の向上を追求しているのです。

Payetteの環境設計の考え方で印象的だったのは、「環境要素の優先順位」が明確になっていることです(図20)。竹中工務店で「ペプチドリーム」を設計した時期に、「全ての環境要素を取り入れるのは難しい」と感じていたので、強く共感できる考え方でした。Payetteでは、エネルギー低減効率とコスト効果を軸に、「日射>光>風>素材」といった具合に優先順位が決まっています。

図20:Payetteにおける環境要素の優先順位

日射遮蔽を大きくできれば、エネルギー低減量を大きくできるだけでなく、空調機の最小化によりコストを抑えられます。一方、自然光を取り入れたデザインは夜間のエネルギー消費を抑えられず、また、風によるエネルギー低減は中間期しか期待できません。そのため、日射遮蔽の優先順位が一番高く、自然光や通風などはその下に位置しています。

Payetteでは、常にデザインとエネルギーがセットで考えられています(図21)。そのため、環境設計と同様にディテールの精度も極めて高いことが特徴です。世界トップレベルの「環境技術×建築」の融合を間近で見ることができ、真のサスティナブルデザインを目指す設計者として大きな刺激を受ける経験になりました。

図21:Payetteは、環境設計だけでなく、ディテールの精度も高い

・Payetteインターンの関連記事はこちら
Payetteとアメリカ建築事務所の労働環境
アメリカ東海岸での環境設計の考え方



6章:Fortec Architects:「美しさ・合理性・ストーリー」からクライアントが求めるサスティナブルデザインを提供していく

その後、代表の大江に誘われてFortec Architectsを共同創業しました。今までのキャリアにおいて、大江とは常に同じ環境と目線で建築を見てきたため、彼の示す「ビジネスの視点を持って建築をデザインする」というヴィジョンに私は強く共感しました。この視点が、新しい「美しさ・合理性・ストーリー」を生み出すと考えたのです。

そのため、Fortec Architectsに入ってからも分野横断的な思考から生まれた「美しさ・合理性・ストーリー」を大切にするアプローチは変わりません。一方で、ビジネスの視点を持つことで「経済性」というパラメーターに対する意識が高まりました。経済性や生産性などに加え、ZEBやZEHといった環境面のクライアント要望を軸に、最適なストーリーとサスティナブルデザインをつくりあげ、合理的で美しい建物を追い求めています。

図22:経済性を意識したZEB・ZEH認証取得のホテル・寮計画

図23:最小限のデザイン介入で都市コンテクストを外観に表出させた集合住宅プロジェクト

図24:廊下を設けずに面積効率を最大化しながら、内外部環境の快適なつながりをデザインした研究所

おわりに

私の建築における命題は、「自然と人間の関係を豊かにする建物のデザイン」を追求し、豊かな居住環境を提供する”建物のサスティナブルデザイン”を社会に実装することです。そのために、数値や物理法則に基づく合理性や建築の美しさ、プロジェクト全体にわたるストーリーの組立て方を様々な舞台で身に付けてきました。様々な事象が複雑に絡み合う現代において、建築の「美しさ・合理性・ストーリー」を導き出す”分野横断的な思考”こそが、最も大切なものであるということを確信しています。
これからも建築の分野を超えて分野横断的に思考を巡らせ、クライアントに寄り添った最適な提案を続けていきたいと考えています。



注釈
*1 参考)環境省「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」
*2 新建築社:建築専門雑誌「新建築」などを出版している建築専門の出版社。

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