【社員紹介 Vol. 2】エンジニア出身COO 小出が語る「ardi」の本質的な提供価値 ~ただのツールで終わるのではなく、ユーザーの生活に溶け込み、寄り添うものをつくりたい~
こんにちは!採用担当です。
当社のardiが2024年10月10日(木)発売『ターザン』889号の特集「快適に歩く&走るシューズBOOK」に掲載されたことを記念して✨
フリックフィットのクールガイ! 開発責任者 COO 小出さんにardiについて語って頂きました!
小出さんのプロフィールはこちら。
ーーーそれでは、小出さん。早速ですがardiとはどんなものか教えてください。
僕たちフリックフィットは「靴に知性を与える」というコンセプトのもと、プロダクト開発を進めています。日常生活や運動時における足の動作データには、非常に多くの情報が含まれています。しかし、この領域はこれまで計測手段が乏しく、データ化が十分に進んでいませんでした。この課題を解決し、足元から得られる貴重な情報を最大限活用できるようなプロダクトを目指しています。
この靴に知性を与えるプロダクトを「ardi」と名付けました。
ardiは3つの要素で構成されています。足部から人間の動作データを計測するセンサーモジュール、計測データを分析し有用な情報としてユーザーに提供するアルゴリズムとアプリケーション、そして人間のあらゆる動作データが集まるプラットフォームです。これらを社内で一貫して開発しています。
センサーモジュールに関しては、最初のプロダクトとしてインソール形状のウェアラブルデバイスを開発しています。この形状であれば、さまざまな靴に挿入して使用することが可能で、多様なシーンで活用できます。将来的には、インソール型だけでなく、靴そのものにセンサーを組み込んだ製品を開発する可能性も視野に入れています。
また、センサーモジュールには圧力センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーの3種類を搭載しています。これにより、足にかかる荷重や足の動きに関する詳細なデータを取得することができます。このデータをもとに、例えば運動パフォーマンスの改善や健康管理、さらにはリハビリテーションといった多岐にわたる分野で活用が期待されています。
僕たちのプロダクトが、これまで見過ごされてきた足元のデータの可能性を広げ、新しい価値を生み出せることを目指して、日々開発に取り組んでいます。
インソール形状のardiの構造図
ーーーardiは新しいデータの領域に踏み込んでいくプロダクトということですね。 もう少し具体的に、ardiができることについて聞かせてください。
これまでのウェアラブルデバイスでは取得が難しかった身体の動きに関するデータを、この技術を用いることで正確に取得することが可能になります。
ウェアラブルデバイスといえば、最も有名なのはスマートウォッチ、次いでスマートリングでしょう。これらは近年急速に市場を拡大しており、脈拍や体温、手の動きといった手や指に関連するデータを主に収集しています。この進化は画期的でしたが、一方で人間の「動作」に関するデータはまだ十分に取得されていません。
たとえば、現在のスマートデバイスでも、走っているか歩いているか程度は推定できますが、その際、足がどのように動いていたのかまでは分かりません。歩行中、足が地面から離れている時間が全体の約4割程度あると言われていますが、その間の足の動きや、階段を駆け上がったのかゆっくり上がったのかといった違いは把握できません。同様に、立っているときに直立姿勢なのか片足重心なのか、座っているときに足を組んでいるのかきれいに座っているのかといった微細な動作や姿勢のデータも、従来のデバイスでは取得が難しい状況です。
一方で、ardiは足元から動作データや姿勢データを直接取得します。これにより、人間の動きそのものを正確に把握できるのが特長です。たとえば、スマートリングやウォッチが提供するデータでは、全速力で走った結果として脈拍や体温が上昇し、そこから「激しい運動をした」と推定することができます。また、腕の動きから「走った」といった推定も可能です。しかし、それらはあくまで間接的なデータに基づく推定にすぎません。
一方、ardiは足の動きを直接トラッキングするため、実際に「どう走ったのか」「足がどのように動いたのか」を具体的なデータとして示すことができます。つまり、推定ではなく、動作そのものをデータとして可視化することが可能なのです。これが、従来のウェアラブルデバイスとの差別化ポイントです。
当社オフィスで行われたPizza Partyの一コマ🍕 参加者へ、熱心に「ardi」の説明をする小出さん💪
ーーー直接的にデータを取得するということが、これほどまでにカラダの動きをを深く知る為の可能性を広げられとは、想像だにしませんでした👏
因みに、歩き方で認知性の傾向をキャッチすることができる!?と耳にしたのですが、本当ですか?👂✨
歩行データの活用例として、わかりやすい例がヘルスケア分野です。実は、歩行の特徴と認知機能の低下には相関関係があることが、これまでに論文などで報告されています。そのため歩行データの分析を進めることで、将来的にはardiで取得したデータから認知機能の低下をある程度推定することが可能になると考えています。
具体的に認知機能の低下に関連する歩行の特徴として、代表的なものとしては歩行速度が低下することが挙げられます。そのほか、足の動きが不安定になりブレが大きくなる、左右のバランスが崩れる、歩行のバラつきが増えるといった傾向も報告されています。
また、注目されているのが、「二重課題」と呼ばれる条件下での歩行です。例えば、「計算をしながら歩いてください」「動物の名前を思い出しながら歩いてください」といったように、何か別のことを考えながら歩くと、歩行のブレやバラつきが大きくなることが報告されています。これにより、認知機能の低下の兆候をより明確に観察することが可能になると言われています。
このようなデータを計測できるardiは、認知機能の早期発見やリスク管理を目的とした新しいヘルスケアツールとしての可能性を秘めています。
ーーーヘルスケアの領域において、ardiはかなりの活躍が期待できそうですね 👣👟👣
けれど、ヘルスケア領域だけにターゲットを絞って開発されているわけではないのですよね。どのようなビジョンに向かってardi開発を進めていらっしゃいますか?
ardiの大きな特長は、3つのセンサーを搭載し、どこにいても使用者の身体の動きを詳細に取得できる点にあります。ただし、僕たちが目指しているのは、センサーの技術的な強みや利便性を超えて、得られたデータをいかに解釈・分析し、ユーザーにとって本当に有意義な示唆を提供できるかという部分です。このデータの活用こそが、ardiの本質的な価値だと信じています。
開発を進めているプロダクトやサービスは、ただのツールで終わるのではなく、ユーザーの生活に溶け込み、寄り添うものでありたいと考えています。そのためには、歩行データだけでなく、無意識の身体のクセや日常生活での行動を正確に捉え、分析することが重要です。
最初にインソール型のプロダクトを開発している理由もここにあります。ardiの利点は、ユーザーが普段履いている靴をそのまま使えることです。専用の靴が必要であれば使用シーンが限定されてしまいますし、価格も高くなり、製品を広く普及させる障壁になりかねません。だからこそ、あらゆる人々に使ってもらえる形状として、インソール型を選びました。
ユーザーが靴を履いている間に生じるすべての動作を分析できるようになれば、より深く寄り添い、健康的で快適な生活への具体的な手がかりを提示することが可能になります。僕たちが目指すのは、ardiを通じて人々が元気になり、健康になり、ウェルビーイングな社会を実現することです。このビジョンを実現するために、日々プロダクト開発に取り組んでいます。