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こんにちは。やまもとです。
Flavorでは、東京・京都店の合同ミーティングを
月1回のペースで開催しています。
その際に出た話題で「新人スタッフが、入社当初は
なかなかお客様にお買い上げいただけなかったのが、
最近は高い売上を作れる様になってきている」という
ものがありました。
高い売り上げを作れるようになった背景には、もち
ろん、販売している商品にも詳しくなってきている
でしょうし、接客するのにも慣れてきて、上手に
販売できるようになったこともあるでしょう。
ただ、話を聞いていくと、それが主な原因ではない
ことに気づき、その時にそのスタッフに伝えました。
「お客様に信頼いただけることが多くなってきたと
いうことは、生活での解像度が上がってきたんだね。」
僕が表現する生活の解像度。つまりは、こういう事です。
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リセノを訪れてくださるお客様は、30代前半くらい
のカップルや、ご夫婦がとても多いです。
これから一緒に暮らし始めるタイミングだったり、
家を建てるタイミングだったりで、新しく引っ越し
をする際に、せっかくだから良い家具を使いたいと
いう方々が多いのでしょう。
そんなタイミングですから、雑誌やSNSなどを通じて
お客様はたくさんの部屋を見たり、家具屋さんを訪れ
たりと「新しい生活を楽しみたい」と真剣に考えて
いらっしゃいます。
そのひとつとして、リセノに出会っていただき、
ご来店いただいているわけです。
そして「ソファを探してるんです」という感じで、
スタッフとの会話が始まります。
この時に、スタッフから
「このソファの幅は〇〇cmで、3人座れます。」
「素材は〇〇で、長く使えます。」
「トレンド感があります。」
といった様な一般的なお話だけでは、新しい転機を
向かえて、懸命に家具を探してらっしゃるお客様に
とっては、物足りないかなと思っています。
もちろんこのあたりのお話も欠かしてはいけないの
ですが、お客様にとっては、もう一歩進んで、
「普段の生活は、どんな感じですか?」
「平日と、休日の過ごし方に違いはありますか?」
「将来的には、お引越しもあり得ますか?」
といった様なご質問をして「お客様の生活」に基づ
いて、お客様自身が叶えたい生活や、満足する方向
を紐解き、お客様自身も気づていない「不」を解消
することが大事だと思います。
「不を見つけて、解消できる提案」とは、自分自身
が「ソファーで生活の不を解消した経験」がなけれ
ば、本当の意味での「不」を解消するようなお話は、
できません。
たとえば「AGRAソファ」についてなら「あぐらを
かけるくらい奥行きが深くて、フェザーでふっくら。
とっても気持ちいいソファです。」とは言えるので
すが、知識だけでは、それ以上の提案はできません。
実際に自宅で使ってみると、
「クッションが5つあるのが本当に快適で、油断すると毎日寝落ちしちゃう。」
「背が低いから、ダイニングとひと続きの感じがあって、食後も家族で会話が続く。」
「うちの猫が、実は一番気に入っているのが、癒しです。」
「実は、休日の読書が進む。」
みたいなことが、実体験としてわかってきます。
そうすると、よりリアルな説得力で「生活が良くなる
イメージ」をお話することができ、お客様が求めてい
る「不」の解消を、自身の経験を参照しながら、
解決できる確率が高まるわけです。
つまり「体験」は重要です。
そして「体験」と同じレベルで大切なのが「解像度」です。
ここで言う解像度とは「意識し、考え、認知する」
ということを指しています。
例えば、ソファーに対しての解像度を上げるという
のは、ソファーを実生活で使っていくなかで、そこに
お気に入りのソファーがあるということを意識して
暮らし、そのソファーをお部屋のどこに設置して、
どの時間に座るのが気持ちよく過ごせるかを考え、
実践し、そして、それを自分の中で認知する。
その一連の活動です。
解像度を高く生活することで「ソファーとは、生活
のどんな不を解消して、素敵な時間をもたらしてく
れるのか」を理解することができます。
なんとなく使うのではなく「解像度をあげて使う」
ことで、はじめてソファの良い部分と、悪い部分が
見えてくるのです。
美味しい食べ物も、テレビを見ながら食べたら、
美味しいかどうかわからなかったりしますよね。
それと同じです。
お客様に家具を勧める立場である「プロ」になる為
には、生活者としても、ひとつ高い解像度をもって
暮らすことが重要なのです。
家具以外の生活アイテムでも、同様です。
例えば「お箸」や「お皿」をひとつとっても違います。
コンビニで買ってきたお惣菜なんかでも、コンビニ
の割りばしや、パックのままで食べるよりも、ちゃん
としたお箸や、お皿に盛りなおして食べると、
びっくりするくらい味が違ったりします。
もちろん、味が変わったわけではないのですが、
口当たりも違いますし、丁寧に盛り付けることで、
「少しでもちゃんと食べよう」という気持ちが生ま
れることによって、よりしっかりと味わう気持ちで
食べるので、主観的に美味しく感じるわけです。
生活のなかで、いろんな部分に解像度を上げて認知
した経験値を蓄えることで、お客様が見えていない
「不」の解消に気付く能力がついてくるのです。
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さて、そんなことで店舗スタッフとの何気ない会話
から端を発した「解像度」のお話ですが、さらっと
まとめましょう。
「生活の解像度」とは?
お客様に満足いただけるご案内のためには
お客様の生活を紐解き「不」を解消する必要がある。
↓
そのためには「実体験」による説得力が大事
↓
実体験による説得力を得る為には「解像度」を高めて
多くの気づきを得ることが大事
と、こんな感じです。
「実体験 × 解像度 = 経験値 → プロフェッショナル」
という感じでしょうか。
もちろん販売しているすべての家具を自宅に置く
スペースはないわけで、もちろん金銭面でも難しい
でしょう。
ただ、一定量を解像度高く経験値を高めていくことで
「蓄えた経験値からの推察力」が身に付きます。
僕自身もそうですが、いくつかのソファーを使って
生活してきた中で、それぞれの良い点・悪い点を
よく理解しています。
そうすることで、新たなソファーを見た時に
「このソファーの形は、こんな良い点・悪い点があるな。」
「ということは、こういう生活の人にお勧めだな。」
「こんな風な提案が、きっと響くな。」
「逆にこんな人には、勧めると活かしきれないな。」
ということが、分かるようになってきます。
インテリアの販売スタッフは、年齢を重ねるにつれて
貴重な人材になっていくと僕は考えているのですが、
その勘所はこの点です。
例えば、アパレルの販売スタッフは、感度とスピードがとても大事です。
トレンド情報をいち早く情報をキャッチして、自分も
身に着けて、その格好でお客様にご紹介する。
つまりは、お客様と同年代のほうが、リアルであり、
見ているSNSや似合う服も近く、「同年代」という
のは、非常に強い武器なわけです。
それに比べて、インテリアは「経験値の積み重ね」
がものを言います。
同年代の人の等身大の暮らしよりも、すでに家を建て
ていたり、おしゃれに生活していたりといった
「豊かに暮らしている先輩」のアドバイスの方が、
情報として非常に強いわけです。
だから、アパレルの販売スタッフと比べて、
インテリアの販売スタッフは、長く働けますし、
年を重ねるほどにより活躍していくと考えています。
まさに一生物のスキルを積み重ねていくイメージです。
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最初の話題に戻りましょう。
新人スタッフが、入社当初はなかなかお客様に
お買い上げいただけなかったのが、最近は高い売上を
作れる様になってきています。
僕はこのスタッフが発信している情報や言葉から、
自分の日々の暮らしを、解像度高く過ごしている
ように見えました。
だからこそ、お客様はこのスタッフを信頼し、
いつも相談しに来店してくださる。
そんな関係になることで、高い売り上げを作れる
ようになったのだと感じたのです。
「生活者として、解像度を上げる。」ためには、
好きなインテリアを買うためのお金も必要ですし、
仕事でインテリアのことを考えるとともに、日々の
プライベートタイムでも、インテリアのことを考え
つづけないといけません。
つまり、好きじゃないと、なかなか続きません。
ただ、好きであれば、それはまったく苦でもなく、
楽しいことになるのです。
好きこそものの上手なれ は、このことですね。
2014年に書いたこの記事でも書いています。
「努力は夢中に勝てない」
月1回の会議でのふとした会話。
インテリアが好きで、生活を楽しんでいるスタッフ
を見て、生活者としての解像度の高さが垣間見えて、
僕は、とても嬉しくなりました。
好みのソファで、テレビを見る。
思い出のテーブルで、本を読む。
新しいシーツのベッドで横になる。
好きなお皿で、食事を楽しむ。
どれもささやかだけれど、幸せな瞬間です。
こんな幸せな瞬間のお手伝いをできる仕事に従事
できていることを、僕はとても幸せに思っています。
さらに幸せのお手伝いができるように、僕自身も
生活者として、高い解像度を持ち続けようと思います。