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【新旧CTO対談】デジタルを中心にヘルスケア事業の戦略を作るFiNCの過去と未来

前回のCEOインタビューに引き続き、本日は新旧CTO対談ということで、CEO南野とCTO篠塚に、お二人の関係性やFiNCの過去と未来についてお話いただきました!


【CEO:南野充則】東京大学工学部卒。大学在学中にヘルスケアスタートアップを創業。東京大学在籍中に北京大学で開催されたスマートグリッド分野における国際学会で世界一の座を争い「BEST STUDENT AWARD」を受賞する。2016年8月に、国内初となるウェルネス・ヘルスケア領域に特化した人工知能研究所「FiNC Wellness AI Lab」を設立。2017年、ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指す団体、「日本ディープラーニング協会」最年少理事に就任。2018年9月にFiNC Technologies 代表取締役CTOに就任し、2019年12月に代表取締役CEOに就任。(写真左)


【CTO:篠塚史弥】2012年東京大学工学部システム創成学科卒業、2014年東京大学大学院学際情報学府総合分析情報学コース修了。大学院では分散システムを専攻し、総務省との共同プロジェクト「情報流通連携基盤共通API」の研究に関わる。在学中には医薬品関連のスタートアップを二社創業し技術責任者を務め、大学院修了のタイミングでメンバーと共にFiNCにジョイン。FiNCでは第一号エンジニアとしてファーストサービスの立ち上げから現在に至るまでのサービス全般の設計、開発、保守、運用に携わりFiNCの成長を支える。他にもエンジニアチームの採用、教育、マネジメントも行う。2020年4月、CTOに就任。(写真右)

--- 新旧CTO対談ということで、本日はよろしくお願いします!早速ですが、お二人が初めて出会ったのは、いつ頃なんでしょうか?

篠塚)出会いは大学2年のときだったと思います。なので、もう10年以上前の話ですね。

南野)私は学生時代から起業したくて色々と動いていたんですが、某スタートアップが主催していた学生ビジネスコンテストでたまたま優勝したんですよ。その優勝賞金を使ってシステム開発を外注したんですが、納品されたシステムが全く動かなくて…(笑)「え?」って感じでした。でも作り直しを依頼するお金もなかったので、自分で開発し直すと決めた時にヘルプをお願いしたのが、同じ学科の篠塚だったんです。

--- 衝撃的な出会いですね(笑)自分で開発し直すって、南野さんは当時からプログラミングができたのでしょうか?

南野)いや、全くできなかった...(笑)しかも頼みの綱だった篠塚も経験していた言語が違ったので、一緒にRubyをイチから勉強しながら開発する感じで始めました。ただ1ヶ月くらいでなんとか形にすることができて、実際にそのビジネスで学生ながら数百万の売り上げを生み出すことができたので、ITの可能性を強く感じましたね。

篠塚)大変でしたけど、いま振り返るとすごく良い経験だったなと思っています。

--- その頃からビジネスで結果を出していたんですね...!ちなみに当時のお互いの印象はどうだったんですか?

南野)篠塚はとにかくちゃんとしていて、聞けばなんでも正しく教えてくれる人間でしたね。極端に言うと、授業も研究室も篠塚の助言に従えば間違いないみたいな(笑)

篠塚)私の場合、ちゃんと自分で学びたいタイプだったので、嫌な印象とかは全然なかったですね。逆に南野が起業を目指す中で、色んな機会を持ってきてくれたので、Win-Winな関係だったと思います。

--- 良い関係性ですね(笑)学生時代に色々と経験されていたと思うんですが、FiNCと出会ったキッカケはなんだったんですか?

篠塚)所属していた研究室の先生に開業医の方を紹介していただいて、そこのシステム開発を手伝うことになったんです。そしたらぜひ法人化しようという話になり、南野と私とその医師の方を中心に医薬品流通関連のスタートアップを設立したのですが、これがFiNC開発組織の礎となっています。ここでは医薬品流通に関するシステムを作る傍で受託開発も行っていたんですが、その中の1つの案件としてFiNCアプリの開発を引き受けたんですよ。納品のタイミングで創業者の溝口氏に開発チームごと誘われ、2014年にFiNCにジョインしました。

--- そういった経緯だったんですね!実際にジョインされてから、どうでしたか?

篠塚)すごく小規模なタイミングで入ったので、もちろん大変なこともありましたが、何でも自分で決めて作りたいものを何でも作れるところは面白かったですね。

--- スタートアップならではの苦労もあれば、楽しさもありますよね!それから6年半の間にも色んなことが起こったと思うんですが、特に苦労したことはありますか?

南野)まず、開発組織のスケールよりも事業の成長スピードの方が早かったんですよね。現在のtoC向けのFiNCアプリだけでなく、法人、EC、広告、サブスクリプションと続々と事業を展開する中で、自分がCPOやCOOの役割を担うようになりました。プロダクトや事業のディレクションをして、時には営業にも行ったり。もちろん経営者として投資家への説明もしながら、一方で開発組織のマネジメントも行っていました。とにかくバタバタしてましたね。

--- お聞きする限り壮絶ですね...。そうなると本業のCTO業に支障がでそう...。

南野)開発組織は本当に優秀で、かつ自走できるメンバーしか採用していなかったことも功を奏して、少ない人数ながら事業成長をサポートしてくれていました。ただ、どうしても個人に依存してしまい仕組み化が追いついていない分、品質のムラがあったり、コミュニケーションのパスによってはこぼれ球があったり、誰かが学んだ知見が他の場所で有効に生かされないなどの問題も起きましたね。

--- 南野さんがCTOだった頃にCTO/VPoE体制にされたと思いますが、これはそういった背景もあったんでしょうか?

南野)そうですね。事業と組織を両方をみるにはリソースが足りないと思ったので、社内にVPoEを置いて、事業作りと組織作りに役割分担をする体制にしました。その方が圧倒的に効率的ですし、事業も組織も同時に成長させられると思ったので。

--- たしかに今でこそVPoEという役割はメジャーになりましたが、当時はCTOが事業も組織も見ているケースがほとんどだったと思うので、早いタイミングで役割分担をしたのは良かったですね。



--- 今回、南野さんの後任として、篠塚さんをCTOに選んだ背景をお伺いできますか?

南野)私が今年の1月にCEOに着任してからCTOが不在の状況だったんですが、”技術を中心に考える会社なのに、技術を考える選任がいない”のは今後のFiNCの成長に大きく影響すると思っていました。ただ後任は篠塚しかいないと思っていたので、即決でしたね。実質、FiNCの開発組織の礎を築いたのは篠塚ですし、これまで試行錯誤した変遷も、サービスについても一番理解しています。また篠塚がCTOになることは、現場にも安心感を与えられると思いました。

篠塚)光栄ですね。頑張らないと…!(笑)

--- 本当に良いペアですね!そして、役割分担は学生時代から変わっていない(笑)

南野)たしかに(笑)

--- 今後、開発組織はどう変わりそうですか?

篠塚)南野がCTOからCEOになったことと、私がCTOになったことの2つの観点で変化があると思っています。まず南野がCEOになったことで、開発に関連する意思決定が格段に早くなりました。FiNCはデジタルを中心にヘルスケア事業の戦略を作る会社です。そのデジタル中心の会社の代表が、「開発の泥臭さ」を知っていることは非常に意思決定の上では大きいと思います。同じものを開発するのでもサービスが育っていてコード規模が大きければより時間はかかるとか、人材をリソースとみなして、頭数を追加すれば開発が早くなるものではないとか、作ったら終わりじゃなくてメンテナンスして負債も解消していかないと開発が地獄になるのが「肌感としてわかっている」ってところとか…。そういった説明コストが大きく省くことができ、スピードが上げられるということは非常に経営判断として重要だと思っています。

--- たしかにそれは大きい...。あとCEOがエンジニアと共通言語で話せるという点もメリットだと、前回のインタビューで南野さんから伺いました。篠塚さんがCTOになったことのよる変化はいかがでしょうか?

篠塚)私はFiNCのゼロイチの時期から関わっているため現場の理解も深いと考えています。そのため現場と経営のより強力な接着剤として立ち回れると思っています。中でも特に経営のメッセージをより開発の現場に浸透させ、経営とのシンクを今まで以上に図っていきたいです。

南野)いまは事業、技術、組織できちんと役割分担ができているので、うまく連携していきたいな。

--- 新体制になってから数ヶ月ですが、大きく変化していますね!

篠塚)そうですね。これからは「お客様の反応から学習し、高速にアップデートし続けられるエンジニア組織」にしていきたいと思っています。技術もオープンになったり陳腐化が早く差別化要因にならず、エンジニアは人材の流動性も高いので、希少性や模倣困難性の高い内部資源を持つよりも、自ら学習し続けられる開発組織と開発文化を持つことがFiNCの目標達成に向けて重要です。そのために外部環境を素早くキャッチしながら組織に"変化を作る"ことや"変革を迫る"ことが私の役割と考えているので、そのために時間を使っていきたいです。

--- ありがとうございます。お二人から見て、FiNCという環境の魅力ってなんだと思いますか?

篠塚)エンジニアという立場からすると、事業の成長にも組織の成長にも、技術力を活かして貢献する余地が大きいところです。もちろん非常に優秀でモチベーションの高いメンバーと一緒に働けることや、アジャイルな開発のためにモダンな技術を採用していることや、カスタマーサクセスのために職種の垣根なく協働できることや、食事や歩行などの人間の行動と心拍や血液などの人間の状態をデータ化して因果を読み解ける、ということも魅力があるかもしれません。また、キャリアという点でも、エンジニアリングを軸に、経営に近づく道、マネジメントに強みを発揮する道、技術を尖らせる道など、様々なキャリアパスが広がっています。そして、どれか1つ決めたキャリアのみを行い続けないといけない、というわけではなく、適性や成長のためにそれぞれの役割を任せることもあります。わかりやすい例だと、マネージャーのキャリアを選んだらずっとマネージャーというわけでもありません。私自身も開発チームのマネージャーを経た後に研究開発チームでプレーヤーを経験しました。



--- なるほど!FiNCはもう出来上がった組織なんじゃないの?とよく言われますが、まだまだ成長途中ということですね!

篠塚)そうですね。FiNCはヘルスケア領域で国内No.1※のアプリと言われるまでに成長したこともあり、もう出来上がっていると思われがちですが、実際は、まだまだ事業も組織も作っている段階です。成長を続ける中で新しい課題も生まれてきて、新しい役割も必要になります。そういった変化を楽しむことができる人や、自分の手で仕組みを作っていきたい人にとっては今は最高に楽しいフェーズだと思います。

--- ありがとうございます。南野さんはいかがでしょうか?

南野)私たちは「一生に一度のかけがえのない人生の成功をサポートする」というビジョンを掲げて、人々の健康寿命の延命やヘルスケア産業のDXなどに取り組んでいます。そして、これは社会的にも意義のあることだと思っています。ただ、それを実現するための”答え”を誰も出せていない、そして答えを出すのは自分たちしかいない。これがFiNCの最大の魅力だと思っています。

--- 「ヘルスケア産業のDX」とは、具体的にどういった取り組みを指しているんでしょうか?

南野)例えば、健康診断のデータ結果を見るのは、年に1回しかないと思います。それは健康を意識してデータを収集するのが1年に1回だからだと思いますが、データ収集を自動化・簡略化することで、無意識下の活動データから必要なアドバイスを提案できるようになる。つまり、これまでは取れなかったデータが取れるようになり、そのデータを活用することで、一人ひとりにパーソナライズできようになりました。この幅を当社が広げることだと思っていますね。

篠塚)ヘルスケアの市場って、2030年には国内37兆円・海外525兆円の規模になると言われているんですが、現状は南野が言うような技術がない前提で作られた産業構造のままなんですよね。そこを技術で作りかえたい。

--- たしかに新型コロナウイルス感染拡大の影響で、予防医療に対する関心が一気に上がっている今がDXするタイミングなのかもしれませんね。

南野)そうですね。ここ数ヶ月で、ライフスタイルも大きく変わり、”健康管理もデジタルに”といった大きな流れになってきています。なので今後は、BtoCの「FiNC」アプリだけでなく、BtoEの「FiNC for Business」やD2Cの領域に入り込んだBtoBtoCなど、様々な事業モデルを伸ばして、収集したデータを分析・最適化することで、よりパーソナライズされていくといった好循環を作っていきたいと思っています。

--- これらのビジネスが有機的に繋がってくると、世の中はより良くなっていくなと感じますね!最後にお二人から一言ずついただけますでしょうか?

篠塚)FiNCはデジタルを軸にヘルスケア産業を作りかえていく会社です。明確にその中心には技術があります。エンジニアが事業に大きく貢献できる環境ですし、同時にエンジニアが大きく成長できる環境です。変化を楽しみながらチャレンジをしていける方と一緒に働くことができればと思いますので、ご応募お待ちしております。

南野)前回もインタビューでも話しましたが、これまで数多くの試行錯誤を重ねてきました。その中で、フォーカスすべきポイント、FiNCとしての勝ち筋も見えてきました。ぜひ志を同じくする方と一緒にお仕事ができれば嬉しいです。

本日はありがとうございました!



※ 日本国内 App Store / Google Play「ヘルスケア(健康)/フィットネス」カテゴリにおける1年間(2019年1月~12月)のダウンロード数の合算です/出典:App Annie

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