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「中の人感覚になってはいけない」その仕様、ユーザーに響いてますか?

「クライアントの欠かせないパートナーとして私たち独自の価値を提供する」ということをミッションに掲げるFICC。

これまでFICCメンバーそれぞれが考える「価値提供」に迫ってまいりましたが、今回インタビューを行ったのはデザイナーからディレクターへと転身した荒川洋人(写真右)、下山田千裕(写真左)、河田秋菜(写真中央)の3人。

もともとエンドユーザーが接するクリエイティブをつくる立場でユーザー視点を大切にしてきた彼らが、いまディレクターとして日々どんなことを考え、どんな想いでプロジェクトに携わっているのかインタビューを行いました。

クライアントだけでなく、ユーザーも喜ぶものを制作できているのか?

荒川:僕は「クライアントに喜んでもらうこと」がひとつの価値提供だなと思っていて。設定された目標を達成することはもちろんですが、それ以外にもクリエイティブのクオリティや、スムーズなコミュニケーションに価値を感じてくれるかもしれない。クライアントの想像を越えた価値提供をすれば、信頼に繋がると信じてますし、長くお付き合いするためには必要なことだと考えて、仕事に取り組んでいますね。河田さんはどう?

河田:わたしはこれまでデザイナーとして、コンテンツに接するユーザーに近いところにいたと思ってまして。この立場で大切だなと思うのは、 “中の人” 感覚になるのではなく、ユーザーの感覚を持って制作物と向き合うこと。

プロモーションする側になると中の人になるので、どうしてもユーザーと企業間で温度差が生まれてしまうことがある気がするんですよね。なので、ちょっとでもユーザーに興味を示してもらい、ユーザーに「いいな」と喜んでもらえることが最終的にクライアントへの価値提供へ繋がると考えてます。

下山田:わたしもそれはすごく思います。以前にシュウ ウエムラさんの案件で、表参道店のリニューアルに合わせてサイネージを使った「shu CLOCK」というデジタル時計を設置する企画をやったんですね。また期間限定で、プレゼントが当たるスロットゲームもサイネージで展開しました。完成したあと、気になって週末に見に行ったんです。そしたらお客さんが列をなしてて。楽しんで遊んでくれているのを見れて、とても嬉しかったですね。

下山田:しかも、2015年の1年限定の企画だったんですけど、好評でいまでも設置されています。ユーザーが気軽に参加できるコンテンツで店舗への集客につながり、クライアントも喜んでくれるというのを体感するプロジェクトでした。

河田:そうやって、伝わっている感覚があると嬉しいですよね。わたしも、リプトンさんの案件でイチからブランドサイトをつくるという大きなプロジェクトがあったんですけど、クライアントの方から良い反応があって、とても喜んでいただけていると感じたときは「よっしゃ!」と思いました(笑)。

サー・トーマス・リプトン ブランドサイト

プロモーションの目的を達成するためには、ユーザーと近い立場にいること

下山田:デザイナーのときに “もやもや” を感じたのが、ユーザーが接触するすべての制作に携われなかったこと。ある案件でわたしはサイト制作の担当だったのですが、サイト以外にもバナーだったり、メルマガだったり、紙媒体だったりと制作物は他にもありました。「ユーザーと近い立場でいたい」と思っていたのに、わたしが担当したのはサイトに訪れた一部の人だけで、ユーザーのこと見れているのかな?と感じてしまい、どこかユーザーから遠い存在になってしまったような気がしたんです。

ですが、ディレクターになって今まで以上に全体を俯瞰して見るようになり、様々なタッチポイントから接触するユーザーに最適なコミュニケーションやクリエイティブを考えることが面白いなと感じていて、こういうことがしたかったのかなと思っています。

またクライアントもプロジェクトメンバーもみんなユーザーのことを考えているので、クライアントを含めたプロジェクトメンバーとコミュニケーションを密にとることで、「ユーザーの近くにいる」ことができるんだなと実感しています。

荒川:「ユーザーの近くにいたい」というのは常に気をつけてますよね。

河田:あと、ユーザーと距離感があるなと感じてしまうのは、「本当にこれはこの場所に必要?」みたいな仕様と出会ったとき。やっぱりプロモーションだと「色々な情報を伝えることで魅力を分かってほしい」というのがあるんですけど、そういうときにユーザー視点で考えて、一番魅力を感じるポイントや、自然に情報を受け取れるような優先順位の与え方とかを検討することが、プロモーションにおける本来の目的を見失わないためにも非常に重要だなと。

下山田:うん、目的を明確にするのはとても大事ですよね。クライアントから「ボタンの位置を上にしたい」という要望があったとしても、よくよく聞くと「目立たせたかった」というのが目的だったりするんです。だから本質を聞いて目的を明確にするというのは、すべてにおいて大切だなというのは常に感じてますね。

荒川:ユーザーもひとりの人間だし、クライアントの方もひとりの人間ですからね。仕事はすべて人と人とのコミュニケーションだというのは、忘れちゃいけないことだなって思ってます。

工数はかかっても、ベストなものをつくるために複数案出したりもする

荒川:ユーザーサイドの視点だけではなく、ビジネスサイドの視点や制限も忘れてはいけないですよね。

河田:たしかに、変えられないモノを変えようとしないで、そのなかで何がベストなのかをチームやクライアントと話し合って、ギリギリまで粘ってつくるというのはとても大事。

荒川:そのためにも、僕らはA案・B案と複数案をクライアントに提案することもあります。

たしかに複数案をつくるというのは工数がかかってしまうんですけど、1つの案をこうしよう、ああしようとゴチャゴチャさせるよりも、複数案を出して比較できるようにして、そこから落とし込んでいくほうが結果的にスムーズで、ベストなものが生まれやすい。

荒川:あと本質的なところで言うと、「商品」って何かしらのニーズを想定して開発されてますよね。なので、その商品を届けたい人たちへ、どういうメッセージをどうやって伝えればいいのか、つまりユーザーのニーズだけではなくて、ブランドや商品の特性をきちんと理解して、正しいメッセージを伝えることができれば、ユーザーの心は動いてくれるはず。

河田:たとえば飲料のプロモーションで「こういう製法だから美味しいよ」という情報も重要な情報なので伝えるんですけど、ユーザーからするとわかりにくさもあって。中の人からしたら「めちゃくちゃすごい」情報かもしれないんですけど、ユーザーが思い描きやすいのは「体験」としてその製品を想像することなんですよね。

なので、ストーリーやシチュエーションを伝えることで製品を想像しやすくする、というのは常に意識しないといけないなと思います。

下山田:ユーザーとしてまさにそれを実感したのが、ルミネの広告。ターゲット層だったというのもあって、学生時代はルミネの広告に惹かれました。服の素材や品質ではなく、服の「着ると可愛くなる自分」というベネフィットを女子の乙女心や恋心に掛け合わせて伝えるコピーに共感して。そういった自身が思い描く体験や考えに共感させる伝え方は心に響きますよね。

荒川:僕らの仕事って、ターゲットであるユーザーに向けて、ブランドや商品のメッセージを、どういう切り口で、どうやって伝えるのがベストかを考えること。その方法を過去のアプローチやデータなどから分析してトライできるというのが、デジタルマーケティングの面白いところだなと思います。

「人の心を動かすプロフェッショナル」として成長していきたい

荒川:デジタル業界全体の話をすると、エンドユーザーとのタッチポイントが増えてきてるなかで、ひとつひとつのタッチポイントでどういう伝え方をするかが、これまで以上に大切な時代になってきてます。

いまはWebサイトやインターネット広告、SNSでのアプローチがまだ多いですけど、これからはテレビCMや屋外広告との連動など、アナログとデジタルの垣根を超えたプロモーションもやっていきたいですし、そのためにも、もっと勉強していきたいなと思ってます。

あと、プロモーションって「人の心をどうやって動かすか」を考えることなんですよね。

なので、クリエイティブやコミュニケーションは、単純なかっこ良さやわかりやすさ以上に、これを見た人が本当に心を動かしてくれるのかどうか、とことん追求しなければいけない。それに気づけたのは、FICCで働いていて一番の財産だと思っていますし、これからも考え続けていきたいですね。

河田:わたしは今デザイナーとしての仕事がメインですが、これからはディレクターとしての経験を増やしていきたいと思っています。ディレクターはクライアントの想いを汲みながらクリエイティブをコントロールすることがひとつの役目になるかと思うのですが、わたしはこれからもユーザーに近い視点を大切にして仕事をしていきたいなと。

最終的に価値提供に繋げるためにも、クライアント視点とユーザー視点をどちらも持ち合わせたディレクターとして仕事をしていきたいと考えてます。

下山田:わたしもユーザー視点はこれからも大切にしていきたいですね。

また「相手の立場になって行動する」というのがディレクターは大事だと思っていて。クライアントワークであれば、クライアントに理解してもらうにはどういったコミュニケーションをとればわかりやすく伝わるのかというのを意識することが大切ですし、ユーザーに対しても同じ。

ディレクターとしてクライアントやチームのメンバー、そしてユーザーと、関わる人全員のことを考えることで、納得いくものが作れると思っています。

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