40年以上続く人材会社でエンジニアをしていた梶野 尊弘。
彼は今、株式会社EXIDEAで自社開発のマーケティングツールEmmaToolsの開発をしています。安定した基盤のある企業から2人目の正社員エンジニアとしてベンチャー企業への転職。転職の背景にはエンジニアとしての彼なりのキャリア論がありました。
2人目の正社員エンジニア。必要なことはなんでもやる
2019年9月、業務委託を含めて当時4名しかいなかったEXIDEAのエンジニアチームに入りました。業務委託を除けば僕は正社員のエンジニアとしては2人目です。採用されたポジションはSRE。でも入ってみたら、いい意味で思った以上に何も整っていなくて……。話が違うぞ!ってなりました(笑)。
ただ、自分はむしろそういう環境を求めていたんです。出来上がった開発基盤や運用体制より、技術選定しながら業務をしていく方がおもしろいし、スキル的にも身につくはずなので。何もない分、最初からわりと自由にやらせてもらえたと思います。具体的には、まず、EmmaToolsのネットワークの移行から始めました。セキュリティ的に危ない環境にあったためそれを安全な環境に移す作業です。
他にはDBの移行にともない負荷検証を実施し技術選定を行ったり、APM(アプリケーション性能監視)ツールの導入や耐障害性・可用性の向上、CI/CDの導入などしたりも実施しました。最近力を注いでいるのは、アプリケーションの機能のひとつとして、自然言語処理の分野で複合語の抽出やword2vecを用いた単語同士の距離間の計測(Google bert)、単語同士の上下関係の抽出などの導入に注力しています。
ここまで幅広い業務に入社5カ月で関わってみて感じるのは、大企業ではありえないスピード感です。今まで培ってきた事象を構造的に捉える思考と、標準化・抽象化する思考をフル活用する日々を続けています。
転職するときに、20代でスキルを伸ばし、かつ視座を上げたいと考えていたので、どちらもかなえられる環境です。経営層や他部署のやりたいことをヒアリングし、それに適したシステム構成や運用方法、使用する技術の選定を実施していくこと。このような実践を通して、高い視座を持って業務に取り組めている実感があります。
投資か消費か浪費か──人生の時間の使い方を学び考え抜いたうえでの選択
もともと自分のスキルを高めたいという欲求は昔からあって。初めから目標は高かったんです。何せ高校のころに映画アイアンマンを見てエンジニアを目指すようになったくらいですから(笑)。アイアンマンに出てくる喋るパソコン。あれを自分でつくってみたくなったんです。それでどうしたらつくれるようになるのか考えているうちにエンジニアリングに興味を持つようになりました。
設定したゴールが「喋るパソコン」だったので、大学で専攻したのはAIの研究。車や運転手にあらゆるセンサーデータを取り付け、そのデータから運転手の感情を判定する研究をしていました。
そこで機械学習の基礎と何ができて何ができないか、社会にどのように組み込まれていくかを学ぶことができたんです。そんな大学の授業で最も印象に残っているのは、音声信号処理の授業で教授がおっしゃっていたこと。時間の使い方についての話でした。
教授曰く、時間の使い方は3種類。投資か消費か浪費か──どれかしかない、どういう選択をするのかは君たち次第だ、と。その話を聞いて、自分はどうしたいのか、真剣に考えるようになりました。
大事になってくるのは“投資”という視点でした。何に投資し、何を切り捨てるのか。考えた末、機械学習やSRE分野の知識、CTOが持つべき視座や組織論、プロダクトが段階別に実施すべき最適な施作事例などに時間を投資することを決めたんです。
こうして最初に入社した会社は人材系の会社でした。私が就活していた当時は、世間でも日本の人口が減る、高齢化が問題だ、などとうるさく叫ばれていて。これは日本から出た方がいいかなとか真剣に考えました。でも日本から出たところで、自分にはできることがないんです。
しばらく日本に住むなら、日本を良くするにはどうしたらいいのかを考えた方がいい。まず優秀な人材が必要だと思いました。日本で優秀な人材を増やす方法は、内で育てるか、外から入れるかのどちらかです。ならそこに関われる会社に行こうと思うようになりました。
また、自分自身では将来、今まで学んできたAIやビックデータを扱う仕事をしてみたいと思っていたんです。ただ、AIはソフトウェアの開発ができないと実装できないので……。まずはアプリケーションをつくれるようになろうと思いました。
そして、日本の将来への問題意識も含めて、人材系か教育系の会社にしようかと。また、大学で触れてこなかったWebのアプリケーションに携われたらいいと思ってました。無事に就活も終わって、新卒採用のプラットフォームなどを開発・運用してる会社に入社しました。
10カ月の転職活動の末、幅広くさまざまな業務知識を得られるEXIDEAへ
新卒で入社した会社は40年以上続いてる企業です。なので、社内の文化というか基盤がしっかり出来上がっていましたね。
その基盤の上でという限定ですが、新卒でもいろんなことにチャレンジさせてくれたことは恵まれていたと思います。Webアプリケーションの開発はもちろん、ウォーターフォールのすべての開発フローに携われました。
先輩や同僚にも恵まれて、環境としては良かったです。ただ、50年近くも続いている企業だとすでにいろんなものが出来上がっています。新しく何か取り入れるのは簡単ではありませんし、取り入れるとしても時間がかかるんです。
既存の社内のシステムや運用体制を大体理解してしまうと、社内には刺激が足りなくなり、外部セミナーに行くことも多くなりました。
もっとモダンなシステムをつくってみたいという気持ちが大きくなると同時に、業務の幅が広くさまざまな業務知識を得たいという欲が出てきて。そこで、自分の視野を広げたり、視座を高められる環境を探すしたりするようになったんです。
具体的な条件としては、なるべく人数が少ない会社を選ぶ。これは技術選定に関われる機会が増えるからです。また、わりと自由に働ける会社。これはさまざまな業務にチャレンジしていけるという意味があります。あとは、会社トップの意思決定が合理的かどうか。
もちろん情熱がある社長さんを否定するわけではありませんが、僕の場合は情熱だけでなく論理性も求めていたんです。最終的に気合いだ!みたいなのはあまり好きじゃない。そういう世代なんですかね(笑)。
とはいえ前職も環境は良かったので、転職を急いでいたわけではありませんでした。そのため、転職活動では30社〜40社ぐらいと面談したと思います。転職活動期間も結構長くなっちゃいました。ちゃんと納得して進みたかったので、結果的には良かったんですけどね。
多動的にジェネラルに──エンジニアのグロースハッカーを目指して
見た会社数としては30社〜40社。期間としては10カ月。それだけの時間を投資してまでEXIDEAを選んだのは、最初の面談のときから整っていない部分をはっきり伝えてくれていたからです。整っていない分、横断的に関わりつつ、自分がチャレンジできる余白も大きいと思えました。
また、世界に通用するデジタルイノベーションカンパニーという会社のビジョンや社長の想いにも共感できましたね。ほかにも面接で話す中で、気さくでおもしろく、かつちょっと頭のおかしい社員が多かったこともEXIDEAを選んだ決め手です(笑)。
頭がおかしいというのは決してバカにしているわけではありません。突拍子もないアイデアを生み出す力があるという意味です。そういうアイディアを生み出すことができる人間がいて、かつ提案できる場があるというのが、僕にとってはとても魅力的でした。
実際給与だけで言えば、もっと高いオファーを出してくださった企業もありました。今ならフリーランスのエンジニアになれば、正直もっと稼ぐことはできるでしょう。
でも、GoogleやAmazonなどがインフラを整備して、システム開発や運用を簡素化している今、ニッチなスペシャリストで飯を食える期間は短くなっている。つまりスペシャリストって意外と簡単に淘汰されてしまうんです。
そういう意味で、これからのエンジニアのキャリア選択はふたつに絞られると思っています。ひとつは、ふたつ以上のマルチな分野でスペシャリティを身につけてリスクを分散するという選択肢。もうひとつはジェネラルな技術知識を身につけて多分野でプロダクトを成長させたり、チームを成長させたりすることができる人材になる。
僕の場合は後者を選択しました。そしてまさに横断的に関わりを持ちながら、自分が主導的に動けるポジションにつけそうな会社がEXIDEAでした。
EXIDEAのメンバーの多くは20代で、みんながそれぞれの目標に向かってチャレンジしています。その中で僕自身も技術的にもプロダクト的にもジェネラルな知識を身に付けるためにチャレンジ中です。
これからのビジョンとしてはソフトウェア開発×プロダクトグロースや開発運用チームのグロースをドメインに、目標であるCTOになっていきたいです。
また、EXIDEAという組織のITリテラシー向上にも貢献していければと思っています。これからもっともっと拡大していくEXIDEAで自分自身の視野を広げ視座を高める挑戦を続けていきたいです。
<EXIDEAでは下記のポジションを募集しています>