話し手:プロダクト開発本部 kamui開発G Engineering Manager 中塩 × プロダクト開発本部 millvi開発G Tech Lead 片山
金融系SIerでの経験から、より広い領域でシステム全体を見ながら意思決定に携われる環境で挑戦したいと考え、エビリーへ転職した中塩。そして新卒入社からわずか2年半でリーダーへと抜擢された片山。YouTubeのデータ分析ツール「kamui tracker(カムイトラッカー)」と、動画配信のプラットフォーム「millvi(ミルビィ)」、それぞれの開発現場を率いる二人が、キャリアの選び方から技術的な壁の乗り越え方、そしてチームで成果を出すために大切にしていることまで、本音で語り合いました。
目次
キャリアの選び方—「全体システムの把握」を求めた中塩と、気付けばチームを俯瞰していた片山
中塩は、大規模システムの中で、ある一部分しか関わることができない限界を感じてエビリーへ。片山は、指示に従いながら知識を深めるうちに、気づけばチーム全体を見渡せる存在になっていた。二人のキャリアの始まり方は、それぞれでした。
─ まずはお二人のキャリアについて聞かせてください。
中塩:新卒で金融系のSIerに入社して、専用端末で動く業務アプリを開発する部署に配属されました。最初はウォーターフォール開発の下流工程から始まって、徐々に上流工程へ。年次が上がるにつれて仕事の中心がマネジメントに変わっていったんですが、携わっていたのがかなり大規模なシステムだったので、自分がコントロールできるのはそのごく一部でしかありませんでした。「より広い領域で、システム全体を理解したうえで、意思決定に携われるマネージャーになりたい」という思いが強くなったんです。そこで、アプリケーションからインフラまで、システム全体に幅広く携われる環境を求めてエビリーへ転職しました。
─ 実際にエビリーに入社してみてどうでしたか。
中塩:入社してすぐ新規プロダクトの開発に携わることになりました。インフラ構築からシステム設計、全体設計までやることになり、本当にやりたかったことができたなという感覚でした。前職だと課題がある程度顕在化した状態で要件定義して開発を進めることが多かったんですが、エビリーだと「そもそもどんな課題があるのか」から自分たちで考えて、仮説を検証しながらプロダクトを作っていける。そこに面白さを感じています。今はkamui trackerのエンジニアリングマネージャーとして、プロダクト開発と組織改善の両方を担当しているので、やりがいを感じています。
─ 片山さんは新卒からのキャリアですが、今のポジションをどのようにして担うようになりましたか。
片山:新卒で入社してしばらくはビジネス側の部署で学びました。実際のお客様の使い方や、困っていることを目の当たりにすることで、その後、開発でも生かすことができました。開発の部署に配属されてから、最初は基本的なコーディングやリファクタリングから始めて、3カ月くらい経った頃に小さな機能の設計から開発までを任されるようになりました。そこから1年半くらいでインフラも含めた設計をするようになりました。
─ リーダーになったのはいつ頃ですか。
片山:2024年の9月でした。入社して2年半経ったタイミングで、リーダーに抜擢されました。なぜ選んでいただけたかは、メンバーの中で一番広く業務を理解していたからだと聞いてます。「最初は、とにかく指示に従って、業務をこなし、その業務の知識を深める。知り得た知識を活かしていくうちに、また新しい業務を任される」というのを繰り返してきた結果、フロントエンドからバックエンドまで一番理解できている状態になったのを評価されたのではないかと思っています。
課題に向き合った結果—1,000億件のデータと、属人化という壁に向き合った二人
技術的な壁への向き合い方は、それぞれ。中塩が選んだのは、最新技術の「足し算」ではなく、課題を問い直す「引き算」でした。一方の片山が向き合ったのは、リーダー就任と同時に降りかかった「属人化」という組織課題でした。
ーいちばん苦労した経験を教えてください。
中塩:いちばんと言われると難しく、2つあるのでお話しします。1つは、入社してすぐ新規プロダクト開発を任されたこと。新規プロダクトの経験もなくて、何から始めればいいのか分からなかったですし、エビリーでの開発の進め方も全く分からない状態で始めるのはかなり難しかったです。試行錯誤を繰り返し、何とかして新規プロダクトのローンチにこぎつけました。
もう1つは、kamui trackerの大量のデータ量でコストが嵩む問題を解決するプロジェクトです。kamui trackerは、1億件を超える動画データと1,000億件以上の統計データを抱えるプロダクトで、毎日データが増加していました。当然、コストは上がり続けるし、ほぼ丸1日動き続ける日次バッチ処理もありました。この膨大なデータをどうやって圧縮するのか?検討に検討を重ねました。分散型データベースの導入やデータウェアハウスの活用など、アーキテクチャの抜本的な変更もいくつか検討しましたが、最終的には「そもそも、これほど膨大なデータが本当に全部必要なのか」というところに立ち返って、関係者を集めて再整理しました。結果、大きな構造変更をせずにデータを圧縮できて、コスト削減とパフォーマンス改善につなげられました。技術で解決したというよりは、本当に解決すべき課題は何なのかをちゃんと整理できたから、達成できたプロジェクトだったなと思っています。ビジネス側へのヒアリングができたこともプロジェクトを成功できた要因の一つでした。この成功により年2回の社内表彰制度であるエビリーアワードのMVEにも選出されました。苦労はしましたが、達成感のあるプロジェクトでした。
─片山さんの苦労した経験を教えてください。
片山:今まさに進行中のプロジェクトで結果まで出ていないので、お話しするのが難しいところもあるんですが、インフラのバージョン移行が大変なプロジェクトです。僕がリーダーになる前後の時期に組織変更等があり、移行を推進できるメンバーが足りなくなってしまったんです。そこでまずマニュアル整備から始めました。エンジニアに旧バージョンも触ってもらいながら、移行できるメンバーを増やしていきました。自分が最初から最後まで全部見なくても移行が進められる体制を作った、という感じです。また、「次に何を作るか」を決めるロードマッププロセスも不明瞭になってしまっていたので、ビジネスサイドと連携して意思決定できる体制も一緒に作りました。何を作るのか次の方向性が見えないのが、エンジニアにとって一番良くないと思っているので、「次に何をやるのかを明確にする」ということを特に意識してプロジェクトを遂行しています。
マネジメントで大切にしてること—「納得感」と「チーム意識」
開発チームにとって最大の不幸は、「何のために、何を作っているのか見えない」状態にあること。片山が繰り返し口にしたのは「合意形成」と「納得感」という言葉でした。中塩もまた、違う言葉で同じことを語ります。
─ マネジメントで心がけていることを教えてください。
片山:僕はテックリードという、技術面での意思決定と品質向上を牽引する役割なので、マネジメントという言葉が適切か分かりませんが、ロードマップを決める役割としての心がけで言うと、ビジネス側も開発のメンバーも合意した上で進める、というのが個人的には一番大切だと思っています。納得感と言い換えてもいいかもしれません。そこの合意がないと信頼関係も築けないですし、必要な意見ももらえない。だから何を作るかは基本的に合意形成をしてから進めるようにしています。また、個人のスキルに合わせて指導法を変えています。スキルが高い人には軽めの説明のみで後は任せますが、そうでない人にはマニュアルに落としこんだり、プランニングの場で質問してもらったりしてます。あと、1人のエンジニアに業務が属人化しないよう、個人の仕事じゃなくチームの仕事としてタスクを回すことも意識しています。
─ 中塩さんはどうですか。
中塩:そんなに大きな違いはない気がしますが、僕はメンバーが自分で考えられるようになることを結構意識していますね。同じような課題が出てきたときに自分で解決できるようになってほしいので、なぜそう考えるのか、どういう背景があるのかを一緒に考えることを大切にしています。あとは片山君と同じで、個人の力に依存するんじゃなくてチームで成果を出すことを意識していて、ナレッジの共有や属人化をどう避けるか、チーム全体の生産性をどう高めるかに力を入れています。
─ エビリー開発の面白さをどんなところに感じていますか。
中塩:技術とプロダクト、そして組織の開発プロセス、この3つを同時にやれるのが面白いなと思っています。大規模データならではの技術的な課題に向き合えるのもそうですし、単に技術課題を解くだけじゃなくユーザーがどんな課題を持っているかを探りながらプロダクトを育てていけるのも面白い。最近はAIを開発プロセスに組み込みながら、チーム全体で同じ水準の開発ができるように生産性を上げていく、という組織改善的な取り組みもできていて、そこも面白いところですね。
片山:ほぼ同じです。技術とプロダクトとチーム、この3つを同時に考えられるところ。あとは僕らの場合、ユーザーに近い部署が近くにあるので、実際にクライアントがどういう使い方をしているかが見えやすいのもプロダクトを作っていて面白いポイントだと思います。
求める人材—「課題を自分で見つけられる人」
技術力よりも、課題を見つける力。指示を待つのではなく、自分から動ける人。二人が語る「一緒に働きたい人」の輪郭は、驚くほど重なっていました。
── どんな人と一緒に働きたいか教えてもらえますか。
中塩:技術力ももちろん大切だと思うんですが、それ以上に「本当の課題は何なんだろう」と考えられる人と一緒に働きたいですね。実装すること自体が目的になるんじゃなく、何を解決したいのかを考えられる人と、一緒にいいプロダクトを作っていきたいなと。あとは新しいことに対して抵抗がない人。変化が激しい時代なので、新しい技術や未経験の領域にも前向きに取り組める人と一緒に働けたら面白いものを創り出せると思います。それから、個人で成果を出すというよりチーム全体で成果を最大化したいので、知識を共有し合いながら一緒に成長していける人がいいですね。
片山:僕もマインド的なところは、中塩さんとほぼ同意見です。ビジネス側との連携が多いチームなので、情報共有が得意な人がいいなと思います。スキル的な話で言うと、millviはサーバーレス構成で行っているので、AWS上でのサーバーレスアーキテクチャの構築ができて、インフラからアプリケーションまで既存機能に手を入れられる人だとなおうれしいですね。
最後に
対照的なキャリアを歩んできた中塩と片山ですが、たどり着いた場所は同じでした。技術を「目的」ではなく、課題を解くための「手段」として使いこなすこと。そして、個人の力に頼るのではなく、チームで成果を最大化すること。1,000億件のデータという圧倒的な物量にも、リーダー就任という突然の役割にも、二人は同じ姿勢で向き合ってきました。「本当に解くべき課題は何か」を問い直し、「納得感」を軸にチームを動かす。この地道な積み重ねが、エビリーの開発組織を支えています。
与えられた仕様をこなすだけの日々に、物足りなさを感じてはいないでしょうか。課題を自分で見つけ、チームと共に解いていく面白さに惹かれるなら、エビリーの開発現場はその好奇心にきっと応えてくれるはずです。