エニグモで人事をしている廣島です。採用や人事企画、採用広報など幅広く担当しています。
この記事はEnigmo Advent Calendar 2024の13日目の記事です。
今回は、CtoCグローバルECの「BUYMA」を運営するエニグモのグループ企業で、旅行事業を手がける株式会社BUYMA TRAVELの事業統括部長 兼 プロダクトマネージャーの宮本さんに、同社のエンジニアを中心としたプロダクト組織のリアルな姿と今後のサービスの展望について伺いました。
Q. まずは自己紹介をお願いします。
BUYMAを運営するエニグモのプロダクトマネージャーを経験した後、現在はグループ会社である㈱BUYMA TRAVELのトラベルプラットフォーム事業本部で事業統括部長を務めています。
私の役割としては、事業全体の目標設定や予算策定を行い、それに基づいて戦略を練ります。さらにその戦略を実現するための具体的な施策を考えることです。
また、まだまだ少人数の組織ということもあり、メンバーと共に施策の実行にも積極的に関わっています。
Q. 株式会社BUYMA TRAVELについて教えてください。
㈱BUYMA TRAVELは、主に2つの事業を展開しています。1つはCtoC海外旅行サービス「BUYMA TRAVEL」を中心としたCtoC海外旅行プラットフォーム事業、もう1つはグアムやハワイをはじめとする海外のマリンアクティビティを提供する海外サプライヤー事業です。
プラットフォーム事業では、社名にもなっている「BUYMA TRAVEL」サービスを中心に展開しています。このサービスは、海外在住の日本語対応可能なガイドがオーダーメイドで提供するプライベートツアーの予約サイトです。旅行者は旅行先でガイドブックに載っていないような最新の流行スポットや穴場スポットなど、現地目線のおすすめツアーを体験できます。
サービスの特徴は、大手旅行会社が提供する他の観光客と一緒に行動するオプショナルツアーとは異なり、現地在住でその地域に詳しいガイドが、旅行者のニーズに合わせたプライベートな旅行プランを相談・提案できる点です。
例えば、現地ならではのグルメ情報の提供や、買い物ツアーの後に購入した服を着て絶景スポットでの撮影を楽しむツアー、空港到着からホテルチェックインまでの数時間の空き時間での観光といった柔軟な要望にもお応えします。
海外サプライヤー事業では、グアムのマリンアクティビティで約80%のシェアを持つMMS GUAM社や、ハワイでシュノーケリングやダイビングツアーを提供するBreeze Hawaii社など、グループ会社を中心に事業を展開しています。さらに、他の海外サプライヤー企業の買収にも積極的に取り組んでおり、事業規模の拡大を図っています。
私たちは、プラットフォーム事業(オンライン)と海外サプライヤー事業(リアル)の2つの基軸事業をベースに旅行業界No.1の「トラベルエンターテイメントカンパニー」を目指します。
※「PG」とは「プライベートガイド」のことです
Q. BUYMA TRAVELの組織について教えてください。
私が所属するトラベルプラットフォーム事業本部は4つの部門で構成されています。システム開発部、デザイン/UI・UX部、メディアオペレーション部、セールス&コミュニケーション部です。
システム開発部は、バックエンドやフロントエンド、インフラを担当するエンジニアが所属しており、プロダクト開発の中核を担う部門です。
デザイン/UI・UX部にはクリエイティブディレクターが所属しています。デザインだけでなく、他社でいうディレクターのような役割も一部担い、プロダクトの企画から開発プロセスまで深く関与しています。
メディアオペレーション部は主にSNS運営やSEO施策など、メディアマーケティング全般を担当しています。
セールス&コミュニケーション部はプライベートツアーやアクティビティを提供する出品者とそれを購入する購入者の双方のユーザーと密にコミュニケーションを取りながら、セールス活動や顧客対応(CS)を担っています。
Q. エンジニアが所属するチームについて詳しく教えてください。どのように開発を行っていますか?
ミッション
システム開発部は「開発面から事業をグロースさせる」というミッションを掲げています。これを実現するため主に以下の2つの観点からアプローチしています。そのアプローチは主に「施策面」と「コスト面」に分けられます。
コスト面では、システムや人的工数の無駄を省き効率的なシステムを構築することで、運用コストを削減します。
施策面では、事業として何を最優先にしているか考えることを重視しています。技術に固執するのではなく、何が最適かを見極め完璧な状態でのリリースにこだわらず、ユーザーに対してコアとなる価値を早期に提供することを心がけています。これにより有効なフィードバックを迅速に得る仕組みを構築しています。
最新の技術だけを追い求めても成果は出せませんし、古い技術を使い続ければ技術負債を生むリスクがあります。そのため、現時点で最適な技術を利用し、開発や運用ができているかの観点を大切にしています。
開発手法
事業規模がまだ小さいため、アジャイル開発をベースにした手法を採用しています。
一例として、1週間毎にスプリント計画を立て、スプリントレビュー、レトロスペクティブ(振り返り)を行なっています。
ミーティングは毎日の夕会で進捗状況を確認し、タスクに関する相談や問題解決を行っています。
スプリント計画や、バックログの作成、スプリントレビューについては、週に1回の定例ミーティングで実施しています。
レトロスペクティブ(振り返り)は開発部門だけで行い、週に1回振り返りミーティングで実施しています。施策やプロジェクト単位で必要に応じて、週1回の定例ミーティングを実施する場合もあります。
特徴的なのは、社長や部長も毎週定例ミーティングに参加している点です。事業計画についても毎週、今何をすべきか最短で何をやるべきかを話し合い、エンジニアも経営層と密接に連携しながら、事業全体の成長に貢献しています。
スプリント計画
Jiraを使って、事業計画から「今何をすべきか」を決め、大きな計画の中からどのようにチケット化して今週やるべきことを決定しています。アジャイル開発はさまざまな方法がありますが、テクニカルな面よりも「とにかく簡単に早く、手を動かして開発する」方針で進めています。具体的には「今週はB施策を何日くらいで対応して、この2つを必ず終わらせる」といった粒度で計画を立てています。
スプリントレビュー
週の始めに立てた計画に基づき、エンジニア以外の事業部メンバーにもスプリントの成果を共有し、成果物に対してフィードバックを行います。
レトロスペクティブ(振り返り)
できたのか、できていないのかその理由は何なのか、どこが改善ポイントかをKPT法を使いながら行っています。
Q. エンジニアは他組織のメンバーとどのように関わりながら開発を行っていますか?
デザイン/UI・UX部とは、毎日の夕会からスプリント、スプリントレビューも含めて、ほぼ毎日顔を合わせ連携しながら開発を進めています。事業統括部長の私も夕会に参加できるタイミング(半分以上)は参加しています。
そのため、事業統括部長やデザイナーと毎日非常に近い位置でコミュニケーションを取り、今こういう数値になっているこういう数値を伸ばしたいからこの開発施策を行うんだということをすり合わせながら進めています。
セールス&コミュニケーション部は、出品者や購入者と直接やり取りを行うため、多くの要望やフィードバックが集まります。主にSlackやチケット管理システムを活用し、毎日頻繁にやり取りを行っています。
しかし、すべての要望に対応することは難しいため、一緒に優先順位を議論し事業にとって何が最も必要で効果的かを選定しています。
メディアオペレーション部との関わりは多くありませんが、SEOに関する施策(例えばサイトの表示スピード、構造化データ、メタ設定、ヘッドタグ設定など、いわゆる基礎SEO)で連携して進めています。
Q. 今までで一番印象に残っているプロジェクトは何ですか?プロジェクトの進め方について教えてください。
直近にリリースしたホテル予約機能の開発が最も印象に残っています。この機能は、旅行者がガイドに依頼してホテルを予約できるようになる機能です。
この機能を構想した背景
多くの旅行者は日程を決めた後、航空券を手配し、ホテルなどの宿泊先を予約した後、現地での旅中(アクティビティ)を計画する流れを取ることが一般的です。
より旅を楽しんでいただくためには「どこに宿泊するか」という要素も非常に重要であり、現在アクティビティを提供していますが、宿泊を含むトータルで旅行をサポートできるサービスにしたいという思いがありました。
さらに、ホテル予約からサービスを提供することで、旅行の初期段階からユーザーと接点を持ちより広い市場にアプローチできると考えました。
サービスコンセプトを決める
ホテル予約機能をどのようにサービス化するかを決めるにあたり、出品者と購入者両方のユーザーにアンケートやヒアリングを行いました。
そこから見えたのが、出品者の方々の声で、「プライベートツアーに参加されたユーザーさんで、なぜそこのホテルに泊まるのか?と疑問に思うホテルを予約されている方がいる」という声が多く寄せられました。
具体的には、提供するプライベートツアーには観光地やアクティビティまでの送迎もセットにした商品がたくさんあります。その際に、ユーザーの方がすでに滞在しているホテルが、目的の観光地行くには非常に遠回りだったり、同じ価格帯でもより良いホテルがあるとガイドが感じるケースがありました。そのため、ツアーとセットでおすすめしたいホテルがあるということが分かりました。
そこで、これらの課題を解決するため、旅中のツアーやアクティビティの相談の流れの中でホテルを相談しながら予約できる機能を開発することとなりました。
開発の際に大変だったこと
ホテル情報はサイトごとに異なる場合が多く、ユーザーが分かりやすく必要としてる情報に調整する必要がありました。
ホテルの予約は同じ部屋でもプラン毎に価格や情報が異なります。提供されている情報は部屋ごとにまとまっておらず、別IDで管理されているケースが多く、それを部屋ごとにまとめ、データベースの作成や正確であるかを判定する条件設定も作成が必要でした。
例えば、即チャージプラン(安い代わりに予約したらすぐにキャンセル料がかかるプラン)や、キャンペーン中のプラン、航空券とセットのプラン、朝食付きのプラン、また1部屋で3名宿泊可能なお部屋でも、通常で可能なのか、エクストラベットを加えたら可能なのか、幼児であれば可能なのかなど、プランや宿泊内容の違いにより条件設定が非常に複雑であり、システムへの実装が大変でした。
開発時にバタバタもあり、当初の予定から少し遅れましたが、決算発表やオンシーズンに間に合うように無事リリースできたことは、特に印象に残る思い出深いプロジェクトとなりました。
※プレスリリース:ツアーにあわせたホテル予約が可能に!BUYMA TRAVEL(バイマトラベル) 宿泊相談機能をリリース
Q. 今後の展望を教えてください。
ホテル機能をさらにユーザーに使っていただけるように改善していくとともに、海外旅行準備の手間や不安の解消ができるサービスへ展開していきたいです。
「海外旅行に行くならBUYMA TRAVELのガイドが良い!」となるよう、航空券、ミュージアムなど各種チケット予約、レストラン予約、現地SIMやWiFiサービスとの連携を考えています。海外旅行に行くなら、BUYMA TRAVELのガイドに相談すれば全て揃う!安心!となることを目指しています。
また、海外サプライヤー企業を中心に旅行事業を伸ばす可能性のある企業(プラットフォーム事業で蓄積したデータをもとに精度高く選定した企業)を対象にM&Aを積極的に取り組む予定です。M&Aによる海外サプライヤー事業拡大とプラットフォーム事業をかけ合わせることで旅行事業全体の成長を加速させていきます。
Q. BUYMA TRAVELのプロダクト開発メンバーとして働く魅力は何でしょうか?
今年の8月に㈱BUYMA TRAVELと社名をサービス名と同じに変更し、サービスと一体となったブランドを形成しており、エニグモグループとしてこの事業に本気で注力していることがこのことからも伝わります。
さらに、事業統括部長や経営陣との距離感が近く、こうした距離感の近さは、単に開発を行うだけではなく、「エンジニアリングの力で事業を伸ばしたい」といった経験を積みたい方にとって、刺激的でやりがいのある環境だと思います。
また、非常にスピード感を持って開発しており機能をリリースしてユーザーの反応をみてというサイクルが早く、さらに自身のプロジェクトの成果を数値やユーザーの声によって直接実感することができます。
まだまだ少人数の組織で、体制も発展途上ですがそうした環境だからこそ、これからの成長を一緒に創り上げていきたいという思いをお持ちの方にぜひジョインいただきたいです。