顧客の「困った」を解決する日々
現在、カンボジアでカスタマーサポートとして働く本山佳奈さんは、担当サービスの顧客からの問い合わせ対応を主な業務としています。問い合わせに対し、状況確認から原因調査、必要に応じてエンジニアチームとの連携、そして適切な回答文の作成までを一貫して行っています。
「まだこの業務を始めて数ヶ月ですが、自分だけで対応できる範囲を広げられるよう日々努力しています」と語る本山さん。問い合わせ対応以外にも、担当サービスのマニュアル作成や、新入社員へのレクチャーサポートなど、多岐にわたる業務をこなしています。
オフィスワークの様子
充実したサポート体制でスキルを習得
同じポジションの同僚が社内にいないという環境ですが、業務提携先の教育担当者による丁寧なレクチャーと、豊富なマニュアルやフローチャートなどの資料がスキル習得を強力にサポートしていると言います。「わからないことがあれば資料を参考にしながら業務を進め、レクチャー内容をメモすることで、必要なスキルを身につけています」と、学習意欲の高さがうかがえます。
遠隔拠点とのスムーズな連携
業務提携先である他拠点チームとの連携は、Google Meetやチャットを活用し、日常的に密なコミュニケーションを取っています。毎朝の朝礼でスケジュールを確認し合うなど、連携は非常にスムーズです。業務で使用する言語は日本語がメインであるため、物理的な距離があっても連携の取りにくさを感じることはないとのこと。ただし、社内に同じポジションのスタッフがいない分、自身の進捗状況をこまめに共有するよう心がけているそうです。
同僚とのディスカッション
派手さはないが、確かなやりがい
この仕事のやりがいについて尋ねると、「派手さはありませんが、日々の積み重ねが着実に成果につながっていると実感できるところ」と答える本山さん。最初は覚えることが多く大変だったそうですが、今では業務にも慣れ、自分のペースで担当サービスへの理解を深めることに喜びを感じています。
印象に残ったエピソードとして、「入社してすぐ、こんなに手厚くレクチャーしてもらえるんだ、と驚きました」と、手厚いサポート体制への感謝を述べました。
成長を実感する日々
仕事を通じて、パソコン操作が格段にスムーズになったと自身の成長を語ります。特にタイピング速度の向上やショートカットキーの活用は、業務効率化に大きく貢献しているとのこと。「パソコン操作についても最初に必要な指導を受けられるため、初心者でも安心して業務を始めることができました」と、未経験者へのサポート体制の充実を強調しました。
この仕事で身につくスキルは多岐にわたります。問い合わせ対応だけでなく、多様なタスクに取り組む中で、タスクの優先順位付けやスケジュール管理能力が養われると本山さんは言います。また、レクチャーや問い合わせ対応を通して担当サービスへの理解が深まり、関連する幅広い知識も得られるそうです。
プライベートとの両立を叶える働き方
この職種を希望する方へのメッセージとして、本山さんは「プライベートと両立しやすい環境が整っているのが大きな魅力」だと語ります。残業がなく、勤務時間外に業務連絡が来ることもないため、仕事と家庭生活のバランスを取りやすいそうです。
「私自身、出勤前や退勤後は家事や育児に追われていますが、業務中はしっかり集中し、それ以外の時間は仕事のことを気にせず家庭に専念できるので、とてもありがたく感じています。プライベートも大切にしながら働きたい方には、おすすめしたい職種です」と、自身の経験を踏まえてメッセージを送りました。
カンボジアでの生活、キャリア、そして未来へのホンネ
オフィス近くの街並み
カンボジアでの生活を選んだ理由
本山さんのカンボジアでの生活は、一般的な「海外移住」とは少し異なります。日本で体調を崩し、リフレッシュしていた時にカンボジア人の現在の夫と出会い、その誘いをきっかけにカンボジアへ。初めてのカンボジア旅行でプノンペンの発展した街並みに「ここなら住めそう」と感じ、移住を決意しました。その後、コンポンチャムでの夫の実家での生活、プノンペンへの移住、結婚、出産、そしてコロナ禍など、様々な経験を経て今に至ります。
日々発展するプノンペンでの生活
カンボジアでの生活について、「日々発展して便利になっていくので住んでいて楽しいです」と語る本山さん。8年以上住んでいることもあり、プノンペンでの日常生活で困ることはほとんどないそうです。
一方で、教育や医療の水準はまだまだと感じることもあります。つわりで苦しんでいる時に、お医者さんではなくお坊さんを呼ばれてお祈りされたエピソードは、日本とのカルチャーショックを物語っています。
海外で働くメリット・デメリットと価値観の変化
海外で働くことのメリットとして、「日本に住んでいたら想像もつかないようなことがしばしば起きるので、暮らしていて飽きない」ことを挙げます。何事も予定通りいかないこともありますが、それを楽しめるタイプの人にはおすすめだと言います。
カンボジアに来てからは、だいぶたくましくなり、自分にも他人にもかなり寛容になれたと、自身の考え方や価値観の変化を語ります。
ランチタイムは行きつけのベトナムフォー店へ
言葉の壁を乗り越える
言葉の壁については、プノンペンでは基本的に英語が通じ、配車アプリなどのテクノロジーの発展もあって日常生活で大きく困ることはないと述べます。しかし、「やはり言葉の壁を感じることはあります。現地の言葉が話せるに越したことはありませんが、言葉が通じれば全て分かり合えるというわけでもないと感じています」と、言葉だけではないコミュニケーションの重要性を指摘します。
以前住んでいたコンポンチャムでは、英語を話せる人が少なかったものの、義姉の結婚式の準備を手伝う中で、「言葉が通じなくても、姿勢や行動で気持ちは伝わるものだと思います」と実感したそうです。現在の仕事では、業務はすべて日本語で行われるため、言語に関するストレスはありません。日常生活でクメール語が必要な場面では、夫の通訳に助けられているとのこと。また、子どもの学校や習い事の先生が外国人であるため、適度に英語も使用しているそうです。
キャリアと人生の充実
海外で働くことが自身のキャリアにどのような意味を持つかについては、「正直なところ、私はあまりキャリアを人生のメインに置いていないので、今後のキャリアにどう繋がるかと言われると困る部分もありますが、今までの海外生活で経験してきた本当にさまざまなことが、日々の仕事にも活きていると感じます」と語ります。
何よりも、「人生がより面白く、充実したものになった」と感じているため、もし退屈を感じている人がいれば、ぜひ一度カンボジアでの生活を体験してみてほしいと勧めます。
新たな目標と挑戦
子どもが小さかった頃は自分の時間を確保することも難しかったものの、最近は落ち着いてきたため、自分自身の人生や目標について改めて考える時期に来ていると感じていたところに今の仕事との縁があったと話します。今は再スタートを切ったばかりなので、まずはこれからの自分のやりたいことや目標をじっくり考え、それを見つけていくことが現在の目標だそうです。
カンボジアでの生活における目標は、「家族みんな心身共に元気に毎日過ごすことと、子供を立派にひとり立ちさせることに尽きる」と、家族への深い愛情をのぞかせます。
弊社近くのカフェにて
仕事で一番大切にしていること
仕事をする上で一番大切にしていることとして、「どんな仕事でも、目の前のことに真面目に取り組むこと」を挙げます。「他者からの評価に繋がるかどうかはさておき、やったことは必ず自分にやった通りに返ってくると思っています」と、真摯な仕事への姿勢を語りました。
海外で働くことへのアドバイス
最後に、海外で働くことに興味がある人に向けて、「興味があって迷っているなら、まずは一歩踏み出してみることをおすすめします」と力強いメッセージを送ります。「海外移住と聞いてイメージする生活とは違い、思いもよらぬことがたくさん起きますが、大抵のことはなんとかなりますし、実際に経験してみてはじめて得られるものがたくさんあると思います」と、自身の経験を踏まえたアドバイスで締めくくりました。
この記事を通じて、カンボジアでのカスタマーサポートの仕事のリアルな様子や、海外生活における喜び、苦労、そして成長が伝わったでしょうか。海外でのキャリアや生活に興味がある方にとって、参考になれば幸いです。(編集と写真撮影 山口)