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教員20年、もどかしさを手放すため飛び込んだNPO【学習支援事業部】

こんにちは。スタジオplus+の髙橋です。
ダイバーシティ工房に入職して、1年半。学習支援員として、一人ひとりに合った学び方を子どもと一緒に考え、子どもたちの成長を見守っています。
ここに至る前、それまでは、一旦子育てのために休んだものの、20年弱を教員として過ごし、大勢の子どもたちと過ごしてきました。

教えること、教えなければならないことは、学びたいこと?

長い学校での生活の中、たくさんの子どもたちと出会ってきました。

ある6年生を担任したときの社会の学習。
世界の国々の学校生活や子どもたちの学習の様子について、調べ学習やプレゼンテーションをする単元に取り組みました。
子どもたちは他の国について学びを進めるうちに、「なんで他の国は昼に家に帰って、ゆっくりご飯食べれるの?」「国語と算数と理科だけでいいやん、いいなあ、自分でやりたいこと選べるんだ」「夕方まで勉強しとるの、日本だけやん…」知れば知るほど子どもたちのモヤモヤは広がるようでした。

年間1015時間以上、1週間、毎日6時間の授業の中で、学びたいことを学んでいる時間はどれくらいあるのか、
いや、学びたいことって、この中にほんとにあるのか。
余白のない毎日、子どもたちは決められた流れに乗って、時間を過ごすしかないのだろうな…。
いろんな思いをもったまま、ただただ、教えなければならないことを教え切ることを目的に毎日過ごしていました。

フードを目深にかぶって、毎日の授業を受ける生徒がいました。
授業が分かっているかのようにみんなと過ごすには、そうするしかなかったのだろうと思います。
休み時間に1対1で向き合うと、ちゃんとフードを取り、文句を言いながらもつまずいているところに戻ってゆっくりと取り組んでくれました。
その子の、その時やりたいことを見守り、困っていることに向き合う、とても大切な時間でした。給食の前後、私に呼ばれるたびに「うるせーなー」と怒っていましたが、
2学期を過ぎたころから、自分でノートを持ってくるようになりました。

子どもたちに合わせて「学び」を考える

学年で子どもを区切り、大人が決めたやるべきことを詰め込んだ毎日の授業に全員が乗っかって、全員が順調に進めるわけがないと思います。
そう思いながらも、そうせざるを得ない学校教育、こぼれ落ちそうな子がいるのに、
授業の中で救えないもどかしさを何年も味わう中で、ちっとも変わらない学校現場から離れようと思うようになりました。

モヤモヤの中で過ごす子どもたちを置いて現場を離れることに、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、
もっとゆっくりと成長を見守る大人でありたいと思い、退職しました。

転居、退職を期に「もっと子どもとゆっくり関われる仕事がしたい」と、学童、放課後補習授業、適応指導教室…などなど。この年齢でしたが、様々な現場で雇っていただきました。

でも、どれも「子どものために」という反面、子ども一人一人に合わせて、成長の速さに合わせて…
ではなく、やっぱりレールを敷くのは大人でした。そんなモヤモヤの中、ある日フェイスブックで「スタジオplus+」のオンラインイベントが目に留まり、急遽参加。
子どもたちの一人一人の困りごとに向き合う、ゆったりとした温かさを感じ、入職を希望しました。

モヤモヤから抜け出すための転職後、やりがいとよろこび

なかなか自分で学習する気持ちになれないAさん。
英語が苦手だけれど、受験を前にやらなければならないことだとは、本人もわかっています。

私  「何をする?」
Aさん「なんでもいい」
私  「テストじゃん」
Aさん「ま、そっすね、どうにかなる」
私  「ワーク持って来た?」
Aさん「忘れた」。
(いやいや…笑)

でも、休むことなく通所するということは、できるようになりたい気持ちがあることの表れだと、わたしは信じています。

そして夏休み、基本文を使っての置き換え問題、整序問題を繰り返しました。ある日の受動態の学習。

「分かったかも」
とぼそっと一言。

言葉では言わないけれど「基本文を覚えて、単語を置き換えたら文が書ける」ということが分かったのかな?という様子でした。
「内容を理解した、覚えた」のではなかったけれど、これまでずっとやってきたことがようやく腹に落ちた瞬間。何をしたらよいのかが分かり「またこうしたらよい」という武器をもって問題に向かえる段階に、ようやくきたようでした。

「できたじゃん」の言葉に
「少しずつね」と言う返事。

少しでも「できてる!」を感じられたからこそ返ってきた一言が、とてもうれしかった瞬間でした。

小学校へ入学後、文字を覚える所から一緒に学習してきたBさん。
プリントを前にすると絵を描きながら空想の世界のお話が始まります。
読み書き検査をしようとすると、「ほらみてみて」とこちらからの声はスルー…。うまく話をかわされ、なかなか検査を実施することができませんでした。

毎週、その子の姿から声にならない「いや」を感じながら、でも今できること、興味のわく方法、タイミングを見逃さないように少しずつ「できた!」を積み上げてきました。

2回目の読み書き検査。
前回実施できなかった検査にも「よし、やるか」と言ってチャレンジ。大きな成長をみることができた瞬間でした。

「いやだ」という言葉は「やりたくない」と受け止めがちです。
でも、これは、ただやり方がわからず不安なだけ、自信がないだけなんだと思います。

今の自分にできそうかどうか、ちょっとがんばったらできるかも、と思えるかどうか。
子どもたちは小さいなりに、自分の力を分析し、自分のことを理解しています。
周囲を気にすることなく、自分の「ぼくね、やれるよ」のタイミングに合わせて進めることができるスタジオplus+の学習は、自分にとっても子どもにとっても、理想的な環境だと思っています。

世の中には「早く!もっと!できるように…。」という大人はたくさんいます。
だからこそ、自分は「ゆっくり。少しずつ。できるよ」と応援する大人でありたいです。

もうしばらく、子どもたちと関わっていきたいなと思っています。


発達障害など学校生活に特別なニーズがある子どもたちへの学習支援を行うスタジオplus+は、現在採用を行っています。
児童発達支援管理責任者候補や個別指導員を募集していますので、
ご関心がある方はぜひMeet upやカジュアル面談にお越しください!




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