便利なテクノロジーが溢れ、情報へのアクセスはかつてないほど容易になった現代。一人で完結できることは増えましたが、ふとした瞬間に感じる「人とのつながり」への渇望。SNSでは見えない、温度のあるコミュニケーションを求める声は、決して小さくないと感じています。
そして、もう一つ。バーという場所が持つ可能性についても私たちは考えてきました。そして、これまでIT企業として歩んできたDiverseは、2024年7月、目黒に『DUNBAR(ダンバー)』というバーをオープンしました。
バーという場が持つ可能性
バーは、単にお酒を飲むだけの場所にはとどまりません。お酒を潤滑油として、その場に集う多様な人々が、肩書きや立場を忘れ、ありのままの自分でいられる。会話が生まれ、思いがけない人とのつながりができる。
バーが好きで長く足を運んできた代表の津元は、そんなシーンを自ら体験し、また幾度も目にしてきたと言います。これは、現代において非常に稀有で尊い「コミュニティ」の一つです。
インターネットが私たちの生活を豊かにしてくれた一方で、一番大切にするべき「人と人とのつながり」は、少し希薄になってしまったのかもしれません。これからの社会で本当に価値を持つのは、お金やモノではなく、温かい人間関係が築ける「コミュニティ」そのものではないか。私たちはそう考えています。
そんな未来を見据え、「人と人をつなげ、誰もが自分にとって心地よいコミュニティを持てる場所」を創りたい。その想いを形にしたのがコミュニティバー『DUNBAR』です。
バーの「敷居の高さ」
バーが素晴らしいコミュニティになりうる可能性を秘めているにも関わらず、残念ながら、誰もが気軽に楽しめる場所になっているかというと、そうではない側面もあります。
重厚で入りづらい店舗デザイン、常連さんを大事にするあまり新しいお客さまが馴染みにくい雰囲気…。結果として、バーは一部の人しか楽しめない「敷居の高い場所」になってしまっているケースが多々見られます。
私たちは、バーに興味はあるけれどこれまで一歩踏み出せずにいたすべての方に、バーという場所が持つ温かいコミュニティを体験してほしいと強く願っています。だからこそ、『DUNBAR』では「オープンさ」を大切な価値の一つとして掲げています。
誰もがふらっと立ち寄れる、明るく開かれた店舗デザイン。初めてのお客さまにも、常連さんと変わらない、心からの「オープンな接客」。そして、お店のイベントや新しい試み、働く仲間のことまで、できる限り「お店の中の情報をオープンに」していく。
それが、楽しく過ごせるコミュニティをあらゆる方に提供するための鍵だと考えています。
名前と場所に込めた「つながり」への想い
『DUNBAR』という名前は、イギリスの進化人類学者ロビン・ダンバー氏が提唱した「ダンバー数(Dunbar's number)」に由来しています。ダンバー数とは、「人間が安定的な社会関係を維持できるとされる認知的な上限が150人である」という定義です。その定義をモチーフとして、「DUNBARに来てくれたお客さまには、常にたくさんの人たちとつながっていてほしい」という想いを込めて『DUNBAR』という名前をつけました。
そして、『DUNBAR』が最初に根を下ろす場所として選んだのは、東京都心部でありながら自然に恵まれ、そして春には綺麗な桜で溢れる目黒川沿いです。
目黒川沿いの遊歩道には普段から幸せそうな笑顔があふれています。気のおけない友人と語らう声、初々しいカップルの横顔、愛犬との散歩を楽しむ夫婦、上京したてで希望にあふれる若者。そこには、人が人として生きる温かさ、ささやかな幸せがたくさん詰まっています。
そんな人と人のつながりの温かさが伝わってくるこの場所に出店したいと思いました。
目黒川探索の起点ともなる目黒新橋のすぐ横に『DUNBAR』はあります。この場所が、訪れる方々の、そして働く私たちにとって、新たな「人と人とのつながり」が生まれる温かい起点となるように。そんな願いを込めてこの場所を選びました。
IT企業がバーを創るということ
実は、Diverseがこれまで取り組んできた事業はマッチングアプリを中心としたIT事業です。テクノロジーの力で社会を豊かにすることに取り組んできました。
そんな私たちが、なぜ、アナログな側面も強い「バー」という領域に踏み出すのか。 それは、テクノロジーで人と人のつながりを作り出すことにアプローチし続けてきたからこそ、テクノロジーでは手が届かない領域を強く認識しているからに他なりません。そして、次なる手段としてバーという場所に可能性を見出しました。
飲食事業は、Diverseにとって初めての挑戦です。だからこそ、ITで培った知見と「外からの視点」を持ち込むことができると考えています。これまでの飲食業界の「当たり前」や「古い進め方」に囚われず、本質を追求し、より効率的・合理的なやり方を取り入れながら、新しいバーの形を創っていきたい。そんな想いを胸に秘めています。
働く環境という点においても、バーを含む小規模な飲食店業界は「当たり前」「仕方ない」という課題を抱えているのが現状です。社会保険が完備されていない、評価制度が曖昧で成果が正当に認められない、教育制度が整っていない… いわゆる「ブラックな職場環境」が少なくないということは、皆さんも耳にしたことがあるかもしれません。
私たちが目指すのは、働く仲間が安心して、自身のキャリアを長期的に描ける環境です。性別や年齢、経験に関わらず、すべてのスタッフが働きがいを感じられる場所を目指すこと。それが、『DUNBAR』を持続可能なお店としていくための、最も大切な基盤だと考えています。
『DUNBAR』では、この業界の「働く」ことに対する常識も根本から変えていきたいと思っています。
「当たり前」ではないバーから温かいつながりを
『DUNBAR』は単なるバーではありません。それは、テクノロジーによる自己完結によって加速度的に失われつつある、温かい「人と人とのつながり」が生まれる場です。
私たちは飲食業界に初めて挑んでいます。バーや飲食業界の「当たり前」を知らずに苦戦するのと同時に、これまでの「当たり前」を問い直すことができます。もっと良い場所、もっと良い働き方ができるはずだと信じて、一つ一つ形にしていきます。
そんな、これまでの常識にとらわれない新しい挑戦に一緒に取り組んでくれる仲間を探しています。そして、そんな私たちの挑戦に、観客として参戦してくれるお客さまをお待ちしております。ぜひ『DUBAR』を覗いてみてください。
あなたと出会えることを心から楽しみにしています。