Datumix株式会社はデジタルツインとA I技術を組み合わせ、最先端のDXソリューションを提供する米国「Datumix Inc.」の子会社で、2018年8月に設立された日本法人です。
Datumixではエンジニア一人一人の価値観や目標にスポットライトを当てた組織づくりをおこなっています。仕事以外の好きなこと・やりたいことも応援したい。そんな思いから提案する「新しい働き方」とは、どのようなものなのでしょう。
代表取締役の奥村さんにお話を伺いました。
Datumix株式会社 代表取締役・奥村 知樹
1986年生まれ。
大手システム開発会社入社後、旅行サイトなどの業務システム開発に従事。
大規模のシステム開発とマネジメントを強みとする。
自分の手でサービスを産み出したい、そんな思いからDatumixにジョインを決意。
代表取締役として、経営全般を担当。
Datumixは、どんな会社?
――まずはDatumixがどんなことをしている会社なのか、教えてください。
奥村さん:Datumixは「デジタルツインで未来を拓く」というミッションを掲げています。デジタルツインは、リアルな世界を仮想空間に再現することで、これまで見えていなかった問題に気付けたり、効果的な解決策を導いたりできるテクノロジーのことです。そのテクノロジーを使い、企業のDXを一段高いレベルに引き上げていくことを目指しています。
――Datumixでは現在、どんな方が働いていますか?
奥村さん:現在は全員がリモートワークで仕事をしています。多様な働き方・価値観を尊重できる組織づくりを考え、オフィスは不要と判断しました。働くスタイルや関わり方も様々で、フルタイムだけでなく副業やフリーランスなど、いろんな人が働ける環境になっています。
働いてくれるメンバーに、どんな環境を提供したい?
――奥村さんは、働いてくれるメンバーにどんな環境を提供したいと考えていますか?
奥村さん:メンバーには、自分の好きなことだけに集中できる環境を提供したいと考えています。プログラミングが好きな人はプログラミング、営業が好きな人は営業など、それぞれ好きなことにフォーカスできたらいい。
――「好きなこと」というのは、仕事に役立つ「好きなこと」という意味でしょうか?
奥村さん:いえ。仕事に限定しません。例えば社内の中には「論文をたくさん書きたい」「特許をとりたい」「他社でインターンをしてみたい」という人もいます。そうした、その人自身のやりたいこと・好きなことを後押ししていきたいんです。弊社では「1on1」といわれる1対1の対話を定期的に行っていますが、仕事の話は1~2割。メインは個人のキャリアプランや、今目指していることについて話をすることが多いです。これからどうしていきたいか?を聞いています。
――キャリアコンサルタントのようなことを、代表の奥村さんがされているんですね。けれど、その人の「やりたいこと」を応援するだけでは、会社の売り上げにつながらないこともあるのでは……?
奥村さん:もちろん、会社として売り上げを上げていく必要があります。売り上げに直結する目的を持っている人のほうが、報酬は高いです。けれど、みんながそれぞれの道で評価されることが会社としての「ありたい形」なんです。
――みんなが、それぞれの道で評価されるように……。奥村さんがそう思われたのは、何かキッカケがあったのでしょうか?
奥村さん:僕は以前、大企業でエンジニアをしていました。けれどそこではキャリアの選択肢がほとんどなく「10年後の自分の姿」に広がりを感じられなかった。だから、いろんなキャリアパスが自分で選べる会社を目指したいと思ったんです。
奥村さん:エンジニアひとつとっても「やりたいこと」は異なります。例えば「こんなサービスが喜ばれそう!」とアイデアを考えることが好きな人もいれば、大勢の前で自分の考えを発表し、支持を得ることが好きな人もいる。型にはめられることに違和感を持つ人たちが「ここは働きやすい」と感じてくれる。そんな会社をつくりたいですね。
社員それぞれのライフプランに合わせた「目標設定」の導入
――先ほどの話にも通じますが、Datumixでは独自の「評価制度」も考えられているとか?
奥村さん:はい。会社では「業績目標」を立てることが多いと思いますが、それとは別に「個人の目標」を目標設計に組み込み、その比率を一人一人自由に設定できるようにしたいと思っています。
――比率を設定できる?
奥村さん:はい。一般的な「目標管理制度」は目標ごとに達成度合いがあり、目標ごとの重みがありますよね。そして、目標達成度と重みの掛け算で数値を出していくことになりますが、Datumixではこの「重み」の部分を働くメンバー自身で設定できるようにしたいと考えています。
――目標それぞれの重みを、自分で決められるということですね。
奥村さん:はい。もちろん、業績への目標ウェイトが高い人ほど、給料が高い。それは自然なことで、そうしないと不公平になってしまいます。ただ給料の善し悪しと評価はある意味、切り離せるのではないかと思っています。
――給料の額と、評価を「切り離す」……。思ってもみなかった考え方です。この制度を考えたのは、何か理由があるのでしょうか?
奥村さん:例えば「業績がいい人の発言力が、社内で強くなる」なんてことはないでしょうか。あの人は売上に貢献している。だから、あの人のいうことは絶対。意見があっても、なかなか口に出せないときってあると思うんです。
――ありそうですね。
奥村さん:Datumixは「どんな人でも、互いに意見が言い合える環境」であってほしいと思います。給料と評価を切り離す制度の導入は、そうした事態を防ぐためでもあるんです。
奥村さん:そして、Datumixが目標実現の場になっていけたらいい。個人の目標を掲げて達成できたら、それはすごいことです。業績への貢献だけでなく、社員一人一人の目指す将来像に合わせ、目標にフォーカスできる仕組みをつくっていきたいですね。
――メンバーそれぞれが、「成長したい」という気持ちを持ち続けられる環境といえそうですね。
奥村さん:そうですね。ほかの経営者には「甘い」といわれそうですが(笑)僕は会社を大きくしたい、お金をたくさん稼ぎたいという気持ちより「自由な生き方をしたい」という思いが強くて。自分の価値観がそこにあるんです。「自分だったら、こんな会社で働きたい」という組織づくりの実現を、目指しているのかもしれません。
エンジニアがフラッと訪れて、自分の持つスキルで案件をこなせる仕組みを
――最後に、今後の展望について教えてください。
奥村さん:今はまだ受託が中心ですが、自社製品でストック型の売り上げを立てる会社に転換するべく、製品開発を着々と進めているところです。「デジタルツイン」は応用範囲が広く、とてもユニークな技術なので、好奇心のままに応用していきたいですね。
――「働き方」や「組織」についての展望は、いかがでしょう?
奥村さん:Datumixが、新しい働き方のプラットフォームになればいいなと思います。今、フリーランスのエンジニアが増えています。会社と契約してフルタイムで働く形が主流ですが、副業やスキマ時間に働ける仕組みがもっと一般的になればいい。そのためにDatumixができることは案件をつくり、タスクを細分化すること。必要なスキルを満たせば仕事ができる環境を提供していきたいです。誰かじゃないとできないのではなく、誰でもできる状態です。
――必要なとき、必要な分だけ、エンジニアが仕事ができる環境?
奥村さん:そうですね。「タスクごとに必要なスキルと報酬が決まっている状態」をつくりたいです。空き時間のあるエンジニアがフラッと登録して、フラッとタスクをこなして、フラッと報酬をもらう。そうやって案件を回す仕組みつくりたい。それが組織としての目指す姿ですね。
Datumixの組織づくり「うちを愛してくれなくていい」
――お話を聞いていると「うちの会社を愛して!」というよりは、働く人の人生の一部にDatumixを上手く組み込んでくれたらいいな、という印象を受けました。この認識は合っていますか?
奥村さん:そうですね。おっしゃる通り「うちで頑張ってくれ!」とは思いません。そんなもったいないことはせずに、様々な経験をしてほしいと思います。
――Datumixはエンジニアにとって、どんな存在でありたいですか?
奥村さん:「ああ、Datumixね。あそこの案件、僕もやったことあるよ」とエンジニア同士の会話に出てくるような会社になりたいですね。例えば仕事のタスクに1から5まで段階的なレベルをつけておくことで「レベル4の案件を受けられるように、勉強してる」とか「レベル5の認定受けてるの?すごいね」のように、Datumixの仕事がエンジニアの中での評価に繋がっていったら、おもしろいですね。