サイバーレコードのグローバルビジネス本部を率い、海外事業の立ち上げと事業全体のスケールを担う角田 太一さん。商社からJICA・外務省、外資IT、スタートアップと、国内外で多様な経験を積みながら、一貫して「日本と世界をつなぐ」仕事に向き合ってきました。
地方の事業者の価値を世界へ届けていく——そんな視点で事業に向き合っている点も印象的です。
今回は、角田さんのこれまでの歩みからサイバーレコードでの挑戦、そしてこれから描く未来までじっくりお話を伺いました。
上級執行役員 角田 太一
新卒後、商社にて海外国内営業・物流・会計業務を担当。JICA・外務省にて新興国の中小企業経営コンサルタント、ロンドン大学院修了後、豊田通商入社。南米2拠点で現地法人CEOとしてトヨタ市場シェア拡大。2015年よりアマゾンジャパンにてB2C EC出品事業責任者、B2B EC “Amazonビジネス” 創業期から事業拡大。建築系SaaSアプリ、B2B越境EC事業スタートアップにCOOとして参画。2024年からサイバーレコードにて投資事業、海外・新規事業を統括。
これまでのキャリアについて
―― まずは、今の役割やミッションについて教えてください。
角田さん:
サイバーレコードのグローバルビジネス本部を管掌しています。グローバルビジネス本部では、新規事業である海外事業と、それを含めた事業全体のスケールを担っています。
海外事業でやっていることを一言でいうと、日本と海外のあいだに商流をつくることです。日本の事業者様の商品を海外のディストリビューターや現地の小売に卸していく取り組みと、逆に海外のいい商品を見つけて日本市場に広げていく取り組みが柱になっています。それに加えて、海外に出たい事業者様の越境ECの立ち上げ・運営を支援したり、北米にOPENした自社店舗や現地のECモールで自分たちが直接お客様に届けたりもしています。
また、こうした取り組みをさらに拡大していくために、M&Aや資本業務提携を通じて、新規事業の立ち上げと既存事業のスケールに取り組んでいます。事業をつくることと、拡大していくこと、その両方を担っているのが現在の役割です。
―― これまでのキャリアについて教えてください。
角田さん:
もともと海外に関わる仕事がしたいという思いがあって、新卒で商社に入りました。基礎的な業務を一通り経験した後、海外営業を担当するようになり、中国や東南アジア、中南米などを相手に、機械、自動車、化学品の輸出入に関わっていました。
6年ほど商社で働く中で、「海外を拠点にして、現地で仕事をしたい」という思いが強くなっていきました。ただ、当時の会社だと海外駐在はかなり先の話で、30代まで待つ必要があったんです。ちょうどその頃、電車の中で青年海外協力隊(JICA)の募集を見かけて、「これなら今すぐ海外に行けるかもしれない!」と思い、すぐ応募しました。
―― すごい行動力ですね!青年海外協力隊として赴任した先では、どのようなお仕事をされていたのですか。
角田さん:
赴任先のニカラグア(中南米)では、中小企業向けの経営コンサルタントとして、レストランや個人商店などに対して、マイクロファイナンスで資金を提供しながら、経営支援をしていました。売上や仕入れ、在庫管理といった本当に基礎的なところから一緒に整えていくような仕事ですね。政府や大使館とも連携することも多く、その後、外務省在ペルー日本国大使館で、政治経済分野での業務に関わっていました。
これまでいろんな経験をしてきましたが、このニカラグアでの赴任は自分の中でも特に大きなもので、今も強く印象に残っています。様々な動物が行き交う満天の星空の下、井戸水を浴びてお風呂代わりにする日々でした。そういった環境に身を置いたことで、日本の当たり前がどれだけ恵まれているかを実感しましたし、日本製品や文化の価値の高さも強く感じるようになりました。
と同時に、どんな環境でもやっていける感覚も身について、大抵のことでは動じなくなりました(笑)。
―― その後、大学院に進まれていますが、どのような背景があったのでしょうか。
角田さん:
民間である商社と、JICAや外務省といった公的機関の両方を経験する中で、現場での実務は積めた一方、それを理論的に整理する時間が必要だと感じるようになりました。開発や経済の仕組みを改めて体系的に理解したいという思いから、ロンドン大学院で行政学・開発経済を学びました。
―― 大学院を経て、その後はどのようなキャリアを歩まれたのでしょうか。
角田さん:
卒業後は再び商社に戻り、中南米での事業に関わりました。現地法人の立ち上げや合弁企業のPMIをしながら、自動車や機械など様々な商材のサプライチェーン拡大に携わっていました。その後、アマゾンジャパンでは「Amazonビジネス」というB2B EC事業の立ち上げから拡大、さらに2つのITスタートアップで新規事業や越境ECの領域に携わってきました。そして2024年の2月からサイバーレコードへとジョインしました。
―― キャリアを通して一貫している軸は何でしょうか。
角田さん:
「日本のよきを世界に、世界のよきを日本に」というのがずっと軸にあります。海外での経験を通じて、日本の良さを再認識しましたし、それを世界に届けたいという思いが強くなりました。同時に、世界の良いものを日本に取り入れることも含めて、価値を循環させていきたい、という気持ちがありますね。
―― 仕事以外の普段のリフレッシュ方法も教えてください。
角田さん:
筋トレやランニングは体力づくりにもなりますし、血流も良くなるので日頃からよくやっています。また、ゴルフはメンタルのトレーニングにもなります。マイアミやキューバのエメラルドグリーンの海に向かって打つショットは最高でした。
あとは住む先々の自宅でホームバーをつくって知人や同僚を招きます。仕事中にはできないざっくばらんな話を少人数でできる時間は、知的好奇心の刺激につながっています。国内外各地から集めたわりとレアな地酒たちも場を盛り上げてくれます。
サイバーレコードとの出会い
―― サイバーレコードとの出会いについて教えてください。
角田さん:
エージェントからの紹介がきっかけです。普段から面白そうな企業があれば幅広く話を聞くようにしていた中でのご縁でした。当時サイバーレコードは、EC、ふるさと納税に続く3本目の事業の柱として海外事業を立ち上げていきたいという構想があり、ゼロから事業をつくってスケールさせていくところを担ってほしい、ということでした。
代表の増田さんとお話しする中で、高いフィット感とモチベーションを覚えました。海外 x EC/サプライチェーン = 挑戦する地域をつくる、という方程式がしっくり来ました。これまで自分がやってきたこと、これからやりたいこと、サイバーレコードが目指している方向がちょうど重なっていたんです。
―― 出会う直前は、どんなことを考えていた時期だったのでしょうか。
角田さん:
キャリアの軸としては、日本と海外をつなぐ仕事は続けていきたいと考えていました。そのうえで、次のステージとして地方のスタートアップには関心があったんです。日本全体が元気になるためには、やはり地方が元気であることが重要だと感じていて。
地方の事業者さんの中には、海外が遠いものに感じられているケースも多いと思うのですが、実際にはすごく良い商品や価値を持っている方がたくさんいらっしゃいます。そうした価値を海外に届けていくことができれば、地域全体の活性化にもつながっていくと思うんです。自らが地方を拠点にしながらグローバルに展開していくサイバーレコードの取り組みには、大きな可能性を感じました。それから、熊本には以前から住んでみたい気持ちがあったので、その意味でもちょうどよかったです。
―― 最終的に入社を決めた理由を教えてください。
角田さん:
一番大きかったのは直感ですね。それまでの仕事柄いろいろな業界の経営者と接してきた中で「ここは伸びる」と感じることがありましたが、サイバーレコードには特にそれを強く感じました。
サイバーレコードの規模感で数千社の事業者ネットワークを持っているという点には正直驚きましたし、そのうえでこれから海外事業を本格的に立ち上げていくフェーズにあるという点にも可能性を感じました。代表の増田さんのスピード感や次々に湧き出るアイデアにも魅力を感じました。今も思いもよらなかった変化球が飛んでくるので、それを楽しんでいます(笑)
自分がやりたい「日本と海外をつなぐこと」と、「地方に価値を生み出していくこと」の両方が実現できる環境だと感じ、入社を決めました。
今の仕事とその面白さ
―― 現在の事業について詳しく教えてください。
角田さん:
大きく分けると、今取り組んでいる事業には4つの柱があります。
1つ目は、日本の商材を海外に届けていく取り組みです。海外のディストリビューターや現地の小売に卸していく形が中心で、ここが今いちばん動いているところですね。あわせて、海外に出たい事業者様に対して越境ECの立ち上げから運営までを支援する形もあります。
2つ目は、その逆方向で、海外のブランドや商品を開拓して日本市場に広げていく取り組みです。日本で伸びそうな商品を見つけて、日本のECでの販売やマーケティングまで一緒にやっていきます。
3つ目は、自分たちで売る事業です。北米に構えた自社店舗やAmazon・eBayといったECで、日本の商品を現地のお客様に直接届けています。自分たちで売ってみることで、現地で何が受けるのかが実売データとして分かるので、それを事業者様への提案にも活かしています。
そして4つ目がM&A、資本業務提携で、既存事業をさらに伸ばしたり、新しい事業を立ち上げたりするための手段として進めています。
それぞれが独立しているというより、こうした取り組みを横断し、ふるさと納税や国内ECなど他の事業領域と連携しながら世の中に喜んでいただける価値をつくり出し、結果として会社をどう大きくしていくかを考えるのが今の役割です。

海外事業 | 株式会社サイバーレコード
マレーシアで開催された天皇誕生日祝賀レセプションで熊本県アジア事務所と連携
―― サイバーレコードの特徴はどこにあると感じていますか。
角田さん:
サイバーレコードには、全国の事業者様とのつながりがあって、日本の優れた商品や素材を扱える土台があります。そこは大きな特徴だと思っています。
大きな会社になると、どうしても商品カテゴリごとに縦割りになりやすくて、ひとつの枠を越えて横断的に動くのが難しいことも多いんです。僕自身、これまで商社にもいたのでその感覚はよくわかるのですが、サイバーレコードではそうした制約にとらわれず、柔軟に対応できます。いろいろな商材を横断しながら海外に届けられるのは、この会社ならではだと思います。
加えて、チームのメンバーがそれぞれオーナーシップを持って動いているので、機動力やスピード感もありますし、事業を前に進めやすい環境だと感じています。
―― この仕事の面白さや手応えはどんなところにありますか。
角田さん:
この領域は伸びしろしかないと感じています。日本の市場は人口減少の影響もあって頭打ちになる一方、たとえばベトナムのように、年10%の経済成長を目指し、人口も1億人規模、ほぼ半分は30歳以下という市場があります。日本の商品や価値を求める可能性のあるマーケットが、フライトで数時間先のところで広がっているのは大きいですよね。
一番やりがいを感じるのは、サイバーレコードが届けた日本の商品を、海外のお客様が実際に手に取って喜んでくださっている姿を見たときです。自分たちのやっていることが、きちんと価値として届いている実感があります。
成長市場に向けて挑戦できること自体が面白いですし、地方発の会社でありながら世界を相手に事業を広げられるところにも手応えを感じています。
ベトナムで開催された展示会にて
これからの挑戦
―― これから実現したいことについて教えてください。
角田さん:
サイバーレコードの海外売上比率を50%以上にしたいです。海外の大きな成長市場に対して日本の事業者様をつないでいくこと、そして少人数で高い生産性で成長できる組織とサービスをつくりたいです。人手に依存するのではなく、仕組みとしてスケールできる状態をつくることが重要だと考えています。
また、そうした事業を支えていくためにも、世界で戦ってきた人材や、これから戦っていける人材を育てたいという思いがあります。結果として、日本全体をもっと強くすることにつながればいいなと考えています。
―― 角田さんにとって「挑戦し続ける」とはどういう意味ですか?
角田さん:
特別なことというよりは、新しいことに挑戦し続けるのが当たり前、という感覚に近いですね。人生100年と考えたら、あと50年ぐらい成長できます(笑)大事にしているのは「失敗してもいいし、途中でやめてもいい」という考え方です。完璧を求めずまずはやってみる、やめる勇気を持つ、やってみてうまくいかなかったら、学んでやり直せばいいと思っています。
―― これから一緒に働く仲間に伝えたいことを教えてください。
角田さん:
とにかく「やってみる人」と一緒に働きたいですね。考えている時間よりも、実際に行動してみた方が得られる学びは大きいですし、成長のスピードも早いと思っています。
もちろん何も考えずに動くということではないですが、6割くらいの確信があればチャレンジしていいと思います。子供も大人も、失敗したほうが成長が早いと思います。動きながら修正していく強さを皆さんと共有したい。スピード、素直さ、変化を楽しむ姿勢を大事にしながら、一緒に成長していけたら嬉しいです。
角田さん、お忙しい中ありがとうございました!