コンサルティング・システムエンジニアリング・経営支援・AIプロダクト実装構築の4つの事業領域を展開するキュリオシティ株式会社。今年7月、コンサルティング部門において、画期的な「3年で『卒業』するコンサルタント育成制度」をスタートします。
その背景には、代表取締役 金田隼人の「責任感を持って最後まで走り切る『ラストマン』を増やしたい」という強い信念があります。しかし、この制度は単なる人材育成にとどまりません。金田がめざすのは「日本社会全体をよりよく変える壮大な取り組み」です。
今回は金田に、3年で育成・卒業するコンサルタント制度の意図や、「ラストマン」に込められた想いを詳しくインタビューしました。
なお、今回の記事の執筆には、株式会社ストーリーテラーズさんにご協力いただきました。
従来のコンサルタントへの違和感から生まれた「ラストマン」
「ラストマン」という言葉が生まれたのは、約3年前のこと。当時のメンバーと今後の事業について意見を交わしていた際、全員が「事業を作ること」よりも、「人を育てること」に興味があることがわかりました。
それでは、どのような人材を育成すべきか考えたところ、『責任者=ラストマンを育てたい』という共通認識が生まれました。面白いのは、その議論に参加していたメンバーの半分が社外の人だったこと。でも、みんな面白いと思い、議論に参加してくれていた。そういった関係性こそが、私たちのめざす姿だったのかもしれません。
私が「ラストマン」という概念にこだわる背景には、従来のコンサルタント業界への問題意識があります。コンサルティングには多くの手法がありますが、中には単に課題解決の助言を行い、提案して終える、というケースも多いように感じていました。
企業から依頼されたコンサルティングの範囲を丁寧に遂行するものの、ときに「本質的な成果」よりも「契約上の成果」にとどまってしまう印象を受けることも。もっと伴走型で、最後まで責任を持って携わる。そんなコンサルタントの姿勢があった方が世の中にとって良いのではないか──そんな問いが「ラストマン」の原点になっています。
AIの時代だからこそ求められる「人間味のあるコンサルタント」![]()
個人的な体感ではありますが、これまで接してきたコンサルタントは「ロジカルで知性を感じる一方で、人間的な感情や情熱が伝わりづらい」と感じることも少なくありませんでした。
しかし、AIやRPA(ソフトウェアロボットを使用し、業務を自動化する技術)が進化する中で、分析や提案といった論理的な業務は機械に代替されつつある。
これからの時代、人間がコンサルタントとして介在する意味は、「対話に奥行きがあること」だと思うんです。つまり、相手の感情や思考の深い部分にリーチし、それを整理し、言語化していく力に価値がある。もし人間らしいコミュニケーションがとれないのであれば、「AIで十分ではないか?」と思われてしまう可能性がありますからね。
実際、私が事業の現場でコンサルタントと働いた時は、分析と納品のみで終わってしまうケースが多かった。その分析を踏まえてどう構想していくかは、コンサルタントを依頼した側の役割でした。
キュリオシティが育てたいのは、そうした従来の枠を超えた「責任感と感性を兼ね備えた人間味のあるコンサルタント」。最後まで責任感を持って走り切る「ラストマン」です。
目的完遂のために、お客様のために、泥臭くともやるべきことをやり抜く。それが、キュリオシティの描く理想のコンサルタント像なのです。
転職前提の業界だからこその「3年での卒業」![]()
当社では「3年で『卒業』するコンサルタント育成制度」をスタートします。このような制度は、コンサルタント業界では今までになかなかない、新しい取り組みではないかと自負しています。
なぜ「3年」なのか。コンサルタントとして活躍できる期間には限りがあります。特にコンサルタント職は、20代後半から40代前半という伸び代が大きい時期にどれだけ成長できるかが重要。それであれば、最初から期間を決めて、一人前のコンサルタントをめざした方が良いと思うのです。
その3年間の中で、一人が担当できるプロジェクト数には限りがある。だからこそ、その一つひとつで、どれだけ責任を持って価値を出すかが問われます。そして、その経験が卒業後の人生にも活きると信じています。
この「コンサルタント3年卒業制度」は、会社を離れることを目的としているわけではありません。むしろ、関係性を広げていくことを前提にしています。
今のコンサルタント業界は、報酬を上げるためにも転職が前提になっている。当社も、ここに留まるよう促すのではなく、卒業後も繋がりを持ちながらも、より成長できる環境に羽ばたいていってもらう方が、限りある人生を豊かにできると考えています。
これからは、会社に残り続けることではなく、卒業してもつながり続けることが自然な社会になっていく。卒業生もクライアントも、すべてのステークホルダーとの関係性が企業価値そのものになっていきます。いわゆる社会関係資本の時代だからこそ、前向きに送り出して、社会で広く活躍してもらい、相互に成長しあいたいのです。
「一億総ラストマン社会」への想い![]()
この制度の背景には、私の「一億総ラストマン社会にしたい」という想いがあります。
最近、経営者やマネージャー層の方とお話すると、「今の人たちは責任を取りたがらない」「出世を避ける傾向がある」という声をよく耳にします。働き方の考え方が変化してきているのは理解できますが、たとえ役職がなくとも、「責任を持たなくていい」というわけでは全くありません。キャリアを積むうえで、自責の念を持ち、責任を持って取り組む姿勢は誰しもが必要です。
そして、私たちが大切にしているのは、押し付けられた責任ではなく、自らの意思で引き受ける「主体的責任」です。同じ「責任を取る」でも、自ら引き受けるのと、言われて仕方なく引き受けるのとでは、全く意味が違います。主体的に責任を持つ人が一人でも増えれば、社会は良くなっていくと私は本気で考えています。
経歴に関係なく、コンサルタントをめざす登竜門のような存在へ![]()
当社がめざすのは、五大コンサルファームのような巨大な組織ではなく、個人のキャリア実現の登竜門のような存在です。
社会人として働き始めてから、「実務能力を上げたい」「自分の専門性を高めたい」と考えたときに、コンサルタントへの転職は、頭をよぎる方も多い選択肢でしょう。しかし、その道は現状限られた狭き門となっています。 新卒でコンサル業界に入るか大企業に入社し、経験を積んだ後に、コンサルファームに入ることができるというのが現実。多くの人に開かれた職種とはいえない実情があります。
だからこそ、新卒でベンチャー企業や中小企業に入社した方々が、「コンサルにチャレンジしたい」と思ったときに、最初の選択肢としてキュリオシティを選んでもらえるような存在になっていきたいです。実際に当社のコンサルタント職のメンバーは異業種からの転職者も多く、教師や営業職、システムエンジニアなど、さまざまな職歴のメンバーが活躍しています。
当社でコンサルタントをめざす方に持っていてほしいのは、「素直に成長したいと思う気持ち」。そして、矛盾するかもしれませんが「論理的に物事を考えながらも、自分の意思を持って語れる力」。その両方を持つ方にぜひ来ていただきたいですね。
そして、入社することがゴールではなく、漠然としていても構わないので、「その先を見据えていること」。それを自分の言葉で伝えられる人が、当社のコンサルタントとして活躍できると期待しています。
キュリオシティの挑戦は、単なる人材育成を超えて、日本社会の「責任感」を取り戻す壮大な実験と言えるかもしれません。3年間、自分の責任と最後まで向き合い、「ラストマン」の精神を体現したコンサルタントへと成長する。共感し、よりよい社会をともに作ってくださるあなたをお待ちしています。
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[執筆・校正・取材]株式会社ストーリーテラーズ 平澤 歩
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