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クリエイティブ領域で活躍するプロフェッショナル人材の専門エージェンシーとして1990年に誕生した株式会社クリーク・アンド・リバー社。現在はクリエイティブに限らず、医療・建築・IT・化学・アパレルなどの18分野、34万人超の人材活躍を支えています。取引社数は4万5000社に及び、企業の新たな価値創造に貢献してきました。
そうしたプロフェッショナルと組織を結びつける「プロデューサー」として活躍しているのが、今回取材をしたWさんです。キャリアの変遷や仕事を通じて感じたやりがい・厳しさについて、詳しく伺いました。
W.S. / Webプロデューサー
クリーク・アンド・リバー社へエージェント(営業)として入社。Web・広告領域で約8年、エージェントを経験し、2022年より専門性の高いプロデューサーへチャレンジ。様々なスキルを持ったクリエイターとともに、クライアントの課題解決に向けた提案活動に取り組む。
「クリエイターの生涯価値の向上」をミッションに
ーー入社当初はプロデューサーではなかったのですね?
はい。最初は営業として、クリエイター人材の転職支援がメインの業務で、お仕事を探しているクリエイターから希望条件をヒアリングし、クライアントへの紹介をしていました。会社理念でもある「クリエイターの生涯価値の向上」に紐づくようにしながら、クリエイター本人の気持ちを聴くことを大切にしようと心がけていましたね。そうした経験・知識を存分に習得できた営業時代でした。
ーー営業時代は、どのような点にやりがいを感じていましたか?
求職者であるクリエイターから「希望していた仕事に就けた。ありがとう」という声を聞く時が、一番のやりがいでした。これは人材ビジネスならではのやりがいですね。加えて、クリエイターから知り合いを紹介してもらったり、就業してしばらくしてから「また仕事を紹介してほしい」と頼まれたりすることもありました。関係がしばらく途切れても、声をかけてもらえるのも、弊社の営業担当としての魅力。クリエイター自身がどのようなキャリアを築いていけるか。それによりクライアントの組織課題をどのように解決できるのか。その両方に寄り添うことが大切だと思っていました。
ーー営業をする上で苦労した点はありましたか?
やはり人と関わる仕事ですから、求職者との意思疎通がうまくいかないこともありました。人によるサービスを提供するビジネスモデルであるため、論理的な視点だけでは解決しないこともあるんですよね。人には感情がありますから。
また、私は人材派遣・人材紹介に加えて、企業からの受託案件にも対応していました。ただ、人材紹介の営業という立場上、採用の側面での提案やフリーランスのご提案がメインだったため、クライアントの課題の本質を十分に解決する提案ができないこともありました。そのもどかしさに悶々としていたのも事実です。
ーープロデューサーへジョブチェンジしたきっかけは?
大阪支社の組織再編がきっかけです。当時、大阪支社は派遣事業の売上割合が大きかったのですが、そこだけに頼らず別事業の柱を強化することを目指していました。そこで、受託案件の事業に力を入れていこうという戦略が立ち上がり、社内でプロデューサー職を増やすことに。
プロデューサーになることで、人的リソースのみならず、弊社が持っている全リソースを扱うことができるようになります。クライアントの課題をダイレクトに解決できる立場となりますので、ジョブチェンジを打診された時は嬉しかったですね。
全国各地、海外のリソースを使い、クライアントの組織体制を変えるまでの提案ができる
ーー現在のお仕事について、教えてください。
企業課題の解決に向けて、弊社のリソースを活かして何ができるのかを提案しています。数十万、数百万の規模から、数億円の大規模な案件まで、さまざまな相談を受けています。クライアントの課題解決のためならば、基本的にはどんな内容でも対応していますね。
最先端のVR・ARの提案など、技術的に実現できることの幅広さが弊社の魅力。そうした幅広い提案が扱えるようになった点は、プロデューサーの醍醐味と言えます。
これまでに担当してきたクライアントは、誰もが知る食品メーカー、お菓子メーカー、大手ホールディングスのグループ会社など。また、これから上場を目指しているような企業は非常に親和性が高く、伴走しやすいです。組織体制を作ろうとしている立ち上げ期であるほど、相性が良いと思います。上場に向けて会社紹介の動画を作ったら、次にWebページが必要になり、さらに採用強化のための採用コンテンツを作ることになり…とニーズがどんどん拡大するからです。
大手企業でクリエイターを採用してプロフェッショナルに育成していくとなると、1億〜2億円の予算がかかってしまうような案件も「1名から人材をご紹介できますよ」といった提案ができます。さらに「5人体制でチームを作りましょう」など、柔軟な対応も可能です。実際、そうした柔軟さが評価され、毎月のように依頼が来ています。
ーー会社としての強みは、どのあたりにあると思いますか?
映像・Web・広告・ゲームなどの領域の垣根が低いことです。特に大阪支社では、クライアントの課題解決に向けて支社全体で臨める風土が根付いています。そのため、Web・広告の提案をしていたクライアントに、映像に関する提案を追加で行うことも珍しくありません。
また、予算面の提案と組織体制への提案が同時にできるのも、大きな強み。一般的には、人を直接雇用した方が人件費が安く抑えられます。人材派遣はコストがかかるんです。しかしながらクリエイティブ系人材は採用が難しく、何人ものメンバーを集めてチームを作るとなると時間もかかります。一方で、弊社はクリエイティブチームを組織に入れ、長期にわたりサポートしていくことができます。最適な組織体制がスピーディに築けるんです。
今は社会全体として、若手人材が減りつつあります。クライアント内での人材育成は重要課題ですが、即戦力を必要としている現状があるのも事実。ニーズがあっても最適な人材が確保できていないクライアントにとっては、弊社は心強い存在でしょう。
「Aさんは実務も教育もできる人材です。Aさんのもとでチームを編成すれば、長期視点で戦力になります」などと提案できるところが、高く評価されています。
ーープロデューサーをする上で活かされているご自身の強みは何ですか?
これまでの経験でしょうか。実はプロデューサーも営業も、解決するための方法が異なるだけで本質はあまり変わりません。クライアントが抱える課題に対し、「人材」中心の解決提案を目指すのが営業の役割でした。一方でプロデューサーは、人材を含め、弊社が持っている全リソースを組み合わせつつ、解決できる「方法」を提案しています。
その結果、クライアントと接していると「こういうところが課題かな」と仮説が立てられるようになりました。そこを意識して話せるようになると、課題の本質を先回りして理解できるので、提案スピードも早くなります。
企業で働いている以上、誰しもが課題を感じているはずです。でも人によって、さらに役職によっても、感じている課題感は異なっているもの。そうした差分を汲み取る洞察力が上がってきたのは、自分の強みだと思います。そのためにも、打ち合わせなどはなるべく対面で会うようにしているんですよ。「相手を理解する感覚」は、直接お会いする方が分かりやすいと考えています。
ーー今までに手がけてきた事例について、教えてください。
私が得意としている分野は、事業課題の解決です。「チームメンバーの全員が派遣社員だが、離職率が高くて悩んでいる。面接や教育指導も手間がかかって大変。もうすぐ3年の契約満期を迎えるメンバーもおり、すぐに対策を考えたい」という相談を受けたことがありました。
それならば、組織体制自体を変えていこうと仮説を立ててみる。「業務委託や準委任のような契約形態でチームを作ってみましょう。そのチームでWebの運用や映像制作を運用してみませんか」と提案。請求書、契約周りもすべてチームで一元化できれば、案件全体にかかるコスト削減にも繋がります。「プロ人材1人が何ができるか」はもちろん、複数の人材の能力を組み合わせれば別の方法があると提示できるんですよね。
特にコロナ禍では、「ディレクターを1人だけ常駐させて、他はフリーランスのスタッフに依頼し、さまざまなアウトプットをさせましょう」という提案をよくしていました。毎月固定でかかる費用を変動制にできれば、コストカットにもつながります。
このように社内の経験値・リソースはもちろん、フリーランスや事業パートナー会社とのネットワークも駆使した提案が弊社ではできます。全国各地、海外にもリソースがあるので、あらゆる企画提案が実現できるんです。
4000社以上の実績を組み合わせ、事業拡大を進める
ーー仕事を通じてご自身の成長を感じたエピソードがあればお聞かせください。
つい最近ですが、アプリ開発の案件に関わりました。アプリ開発はWebサイト開発とは全く異なります。かつて経験したWebサイト開発の状況とは違い、最新の開発方法へと変わっていました。エンジニアやテクニカルディレクターと打合せをするたびに「そんなことができるの?」と驚き、勉強になりました。
AR・VRを活用した、鉄道会社のコンテンツはすごかったですね。安全教育のために、列車の速度をリアルに体感できる映像を見せてもらったのですが、ものすごい臨場感でした。次の提案では実績としても共有できるので、自分の中の「提案の引き出し」が増えた気がしています。
プロデューサーにとって、キャリアアップの道は2つあると思っています。1つは「できることを増やして市場価値を高める」こと。コツコツ学んで、知識を増やす方法です。
もう1つは、上述のように「提案の引き出しを増やす」こと。プロデューサーは「どのように解決策を組み合わせて、お客様に提案するか」を考える仕事です。そのためにも、これまでの経験やリソースを活用するのはもちろん、社内外のネットワークを増やし、提案の幅を広げることが重要です。AIやVR等の最新技術をはじめ、Webアプリ、広告運用、SNS運用、データ活用などのリソースを予算内で組み合わせて、いかにクライアントにあった提案ができるかがこれからも問われていくでしょう。
ーー会社としてはどのような成長が期待できるとお考えですか?
一例を上げるとすると、弊社は現在、地上波テレビ番組制作の45%に携わっています。業界内のほぼ半数のテレビ制作会社・テレビ局と関わっているわけです。しかし、その実態はあまり知られていません。そうした事実を見える化したり、コラボ提案によってお付き合いの幅を広げたりすれば、さらなる成長が期待できると感じています。現在、クライアント数は4000社以上。これまでの経験や実績をまとめて、他業界にも展開していけば事業拡大のチャンスはもっと広がっていくでしょう。
仕事は、自分で生み出すものだと思います。プロデューサーであれば特にそうです。クライアントの困りごとに、何を提案していくのか。そこを考えるプロセスは、与えられるものではなく、自分自身で生み出すものです。会社理念でもある「クリエイターの生涯価値向上と、クライアントの価値創造への貢献」。これを常に目指していけば、まだまだ成長できる余白はあります。私自身も完璧じゃないし、永遠の未完成であり続けるのだと感じています。
ーー最後に、活躍できる人物像について教えていただけますか?
プロデューサーは「プロデュースする人」。プロフェッショナルな人たちの生きる道を、作る役割を担っています。「クリエイターが持っている力をいかにつなげていくか」が問われると言っても良いかもしれません。
時にはクライアントの求めるニーズが、課題の本質からずれていることもあります。その際に「課題の本質を捉えた方が最終的に顧客満足は高まる。別の手段を提案しよう」と判断できる方が向いています。常に決まったサービスを提供しているわけではないので、柔軟性があると活躍しやすいと思います。売上や課題解決へのこだわりは必要ですが、手段にとらわれず最適な提案をしてほしいと思います。
そのためには、5年先、10年先の長い視点で物事を捉える提案が不可欠です。クライアントと一緒に広い視野で考えていける方と、ぜひお会いしたいです。