私たちクリエは、イベント、WEB、エンターテインメントを手がけるプロフェッショナル集団です。それらを融合させてトータルプロデュースすることにより、独自性の高いソリューションを生み出しています。
今回は代表取締役の今井社長にインタビューを実施。創業に至るまでのエピソードや、今後の展望などを伺いました。
【プロフィール】
今井 義隆:代表取締役社長。コンサートプロモーターとしてキャリアを積んでいたが、新たにITを活用したB to Bサービスを立ち上げたいとの思いから、2000年に株式会社クリエを創業。2021年より現職。
きっかけはイベント × WEBの新たなサービス
――まずは今井社長がクリエを創業した経緯を教えてください。
新卒でサウンドクリエーター社(イベントやコンサートの企画・運営会社)に入社し、長年コンサートプロモーターの仕事をしてきました。個人のお客様へのチケット販売などB to Cの業務を中心に行うなかで、B to Bの領域でもっと新たな仕事にチャレンジしたいと思うようになったのです。
さらに、インターネットの黎明期だった当時、僕自身もコンピューターやネットワークに興味があり、自らの手で会社のHPを立ち上げました。業界全体を見ても、おそらくサウンドクリエーター社が、WEBを使ったチケット販売システムを初めて構築したのではないかと思います。新しい時代を切り拓くサービスとして、当時とても注目を集めたことを覚えています。
イベント × WEB。これらの融合によるサービスを展開できたら面白いんじゃないか。そう考えた25年前の僕は、当社の現会長である上田とともにクリエを立ち上げました。
――クリエの創業にあたって、どんなビジョンを描いていましたか?
これまで蓄積してきたイベント領域における強みを活かしつつ、WEBの可能性を幅広く試していきたいという思いがありました。今でこそ双方を融合した事業を展開する会社はたくさんありますが、当時はあまりなかったんですよ。
例えば、コンサート終了後のWEBアンケートサービスがその1つです。それまでは紙ベースでのアンケートが主流でしたが、当社はいち早くWEBサイトを用いたアンケートシステムの構築に乗り出しました。EXILEさんが全国ツアーを行った際に本システムを導入してくれて、ありがたいことに評判が広まりました。
当時はまだガラケーの時代。アンケートサイトのURLを打ち込むのが大変なため、ワンプッシュで入力できるドメインを取得するなど、今思えば地道な努力がありました(笑)。でも、リアルタイムで届くファンの声を見てアーティストやスタッフのみなさんが打ち上げで盛り上がってくれたり、アンケート送信後に届くアーティストからのメッセージにファンが喜んでくれたりと、提供側も楽しいマーケティングツールの先駆けだったように思います。
斬新なサービスを生み出す源泉は「人」の力
――これまでの経営活動において、転換期となった事柄はありますか?
大きく2つありますね。1つが、本格的に「ケータイサイト」への参入を始めたときの出来事です。創業当初、当社はエンジニアもWebデザイナーもいないIT企業でした。フリーランスの知り合いなどに手伝ってもらいながら案件を拡大してきましたが、ある日auのケータイサイト関連の仕事をいただくことになったのです。開発リソースが必要な案件でしたので、本気で社員を採用し、開発チームを作りました。
もう1つがコロナ禍です。当社はイベント × WEB × エンターテインメントの3本の柱を軸に事業展開してきましたが、コロナ禍によりイベント関連事業を縮小せざるを得ませんでした。イベント関連の仕事に就いていたスタッフも全員辞めてしまい、いわゆるITの会社になったのです。
ただ、ようやく世の中も元に戻り、イベントを復活する動きが出てきました。そこで今後は、当初のエンターテイメントやイベントなどアナログの地位を再度復活させ、事業として成立させていきたいと考えています。単なるシステム会社では面白くないですから。もう1回チャレンジするぞという思いで今まさに準備を進めています。
――なるほど、また新たにアナログ×ITの会社として生まれ変わる最中なのですね。ちなみに、実際にアナログとITをかけ合わせたサービスにはどのような事例がありますか?
イベント会場における「スマート受付」サービスが1つの例です。7〜8年前に開始したサービスですが、NFTタグを用いたQRコードを招待状に貼り付けて、スマホのアプリをかざすだけで入場できるシステムを採用しています。
本システムの導入により、2,000〜3,000人規模のイベントでも、受付が混雑したり混乱したりすることはなくなりました。例えば、高級ブランド店や高級外車の発表会、ドクター向けの製薬関連イベントなど、イベント全体にスマートな印象を持たせたいお客様に導入いただくケースが多いですね。
本サービスをよりエンターテイメントに寄せた仕様にリニューアルし、この11月から”新受付サービス”として稼働予定です。
――さまざまなアナログ×ITのサービスを実現できる背景には、クリエならではのリソースや強みがあるのではないかと思います。その点についてはいかがでしょうか?
最も大きいのは「人」の力だと思います。コロナ禍前までは、当社ではイベント系のスタッフと開発系のスタッフが机を並べ、一緒に同じシステムを作っていました。WEBデザイナーたちは当然イベントに詳しくありません。また、その逆も然りです。ただ、シナジー効果により、相互に刺激を与えながら吸収し合える環境があったのです。
イベント会場の受付に、普段コードを書いているエンジニアが立っている状況を想像してみてください。その場所に立ってみないと見えるものも見えないですし、新しいサービスも生み出せないでしょう。そういう意味で、僕らはサービスやシステムだけでなく、「人やチームを作る仕事」をしていると考えます。
※25周年を記念し、オフィスの壁面にスタッフで全員でペインティングしました。
真っ白な壁にそれぞれの色を塗りあげる
――クリエでは、『つくると見える世界がある』という企業理念を、『誰もが想いを、かたちにできるように。』というビジョンを掲げています。これらの言葉にはどのような思いを込めましたか?
世の中に「まだないもの」や「他にないもの」をつくることが、当社の使命だと考えこの企業理念を掲げました。
当社は創業時、オフィスの壁も机もすべて真っ白に揃えました。それは、白い壁に色を塗っていく過程を楽しみたかったからです。赤い社員は赤く塗り、青い社員は青く塗る。「つくる」とは、言い換えると「塗りあげる」「色づける」というイメージですね。
また、塗りあげる色は、全員違えば違うほどよいと思っています。なるべく異能を見つけていく。同じような人を雇うのではなく、異なる強みを持った人たちを集めて、それぞれのメンバーの想いをかたちにできる会社を作りたいと考えています。たし算ではなく「かけ算」を目指しているんです。
これらの思いを体現するために、当社のメンバーには、全社のチャットや月1回の全体ミーティングで、僕が日々見つけた新しい情報や話題を提供するようにしています。新しいサービスを生み出すためにも、違う角度からものを見ることが大切ですし、アイデアの種として活用してもらいたい思いがあるからです。
――今後の事業展開を教えてください。
イベント × WEB × エンターテインメントの領域を拡大するのはもちろんのこと、それ以外の要素も含めて「新しいクリエの1色」を作ることが目標です。それは飲食店かもしれませんし、八百屋さんかもしれません。とにかく、10人ちょっとの会社で「革新的なもの」を生み出していきたい。メンバーたちのアイデアも取り入れながら、事業全体として成果の上がる取り組みを進めていきたいと思います。
日常的なコミュニケーションが仕事の成果にもつながる
――「新たな1色」を生み出すうえで、どのような人材を求めますか?
ポジティブな視点で新しいものの見方ができる方、そしてコミュニケーションへの抵抗がない方を求めています。
特に「コミュニケーション」に関しては、クリエが最も大切にしている価値観です。当社は社員旅行も積極的に行いますし、シャッフルランチ会や社内でのクリスマスパーティなど、社員同士の関わりを深める取り組みを大事にしています。必然的に、明るくて人付き合いを楽しめるメンバーが多いですね。先ほども「人のつながり」が当社の強みと申し上げましたが、日常的なコミュニケーションを重んじるからこそ、仕事の現場でもより高い成果を創出できるのではないかと思います。
ちなみに、当社は辞めた社員とも関係性が続いていて、とても仲がいいんですよ。仕事を手伝ってもらうこともありますし、イベントや旅行にも招待しています。
――今後、クリエをどんな組織にしていきたいですか?
当社の未来は相変わらず「真っ白な壁」です。「こんな組織にしたい」と僕が言ってしまうとその色に染まってしまいますから、あえて特定はしません。メンバーたちに対しても「次は一緒に何をしようか?」というスタンスで接していますし、これから先も新しく色を塗りたい人たちが増えていくといいですね。
当社は階層型のヒエラルキー組織ではなく、横一列のフラットな組織である点が特徴です。中間管理職もいませんし、部署もなく、役割だけを決めている状態です。そのため、コミュニケーションにも壁がありませんし、社員一人ひとりの自走スピードが速いことが特徴的です。
成長できる環境のなかで、既存の枠組みにとらわれないサービスを生み出したいと願う方のご入社をお待ちしています。