なぜレンチナスが、この枠組みを選んだのか
前回、うちの地域おこし協力隊は会社が直接雇う型だって話を書いた。今回はその続きで、なんでこの枠組みにしたのか、という話。
制度として便利だから、という理由ももちろんある。でも実際のところ、決め手はそこじゃなかった気がしてる。
会社だけでは、成立しない
この枠組みで人を募集するには、会社が「やりたい」と言うだけでは足りない。自治体が制度を運用する側だから、町がその気にならないと話が動かない。制度を使いたい企業と、それを受け止める役場と、両方が揃って初めて成立する。
つまり、いくら会社側が乗り気でも、関係が薄ければ何も始まらないってこと。
うちの場合、そこが最初から用意されていたわけじゃない。
きっかけは、経営者の集まりだった
きっかけは、社長が出た経営者の集まりだった。そこで、自治体と仕事をしている人と知り合った。よくある名刺交換の場だと思う。ただ、その人が社長の話を聞いて、面白がってくれた。
椎茸で日本一を目指すとか、農業で稼ぐとか、社長が普段から言っていることを、そのまま話したんだと思う。社長は初対面でもこの手の話をする人で、たぶん本人は営業のつもりもない。それを真に受けて、一緒にやろうと言ってくれる外部の会社が出てきた。この時点ではまだ、協力隊の話でもなんでもない。
もう一方に、役場との関係があった
こっちは何年もかけて積み上がってきたもので、何か特別なことをしたわけじゃない。地元で椎茸をやってきて、町の人と仕事をしてきて、その延長で顔が知られている。急に「制度を使わせてください」と言いに行ったわけじゃなくて、前から話ができる関係があった。地方だと、この差はかなり大きいと思う。どこの誰か分からない会社の相談と、顔を知っている会社の相談では、たぶん最初の一歩の重さが違う。
この二つが揃ったところで、地域おこし協力隊という枠組みが現実的な選択肢として出てきた。
順番が、逆じゃない
順番が逆じゃないんですよ。制度を見つけて、関係者を探しにいったんじゃない。関係が先にあって、そこに制度が合った。
これ、他の会社が真似しようとすると、たぶん一番しんどいところだと思う。制度の要件は調べれば分かる。書類も揃えられる。でも、外部の人が本気で動いてくれるかどうかと、役場と普通に話ができるかどうかは、書類じゃどうにもならない。制度を使うのは会社でも、実際に動くのは人だから。
正直、運の要素もかなりあった。あの集まりに社長が行っていなかったら、たぶん今の形にはなっていない。
ただ、運だけでもないとは思う。社長が普段から同じことを言い続けていたから、たまたま会った人に引っかかった。何年も地元で仕事をしてきたから、役場と話ができた。積み上げてきたものがあったから、運が形になった、という順番なんだと思う。逆に言えば、言い続けてなかったら、同じ場にいても何も起きなかった。
揃ったのは、入口だけ
とはいえ、揃ったのは入口の話だ。
枠組みができたからといって、来た人がちゃんと仕事を覚えて、3年後に残りたいと思うかどうかは、まったく別の問題になる。制度も、応援してくれる人も、そこまでは面倒を見てくれない。そこは今から作るところで、うちにも答えはない。
次は、この枠組みで働くと契約や身分がどうなるのか、もう少し実務的な話を書こうと思う。