「ゲームで人を心を動かす」をミッションに掲げるBufff。
その裏側で、ゲームが生まれ続けるための仕組みづくりを担っているのが、CTOの三浦です。
東京大学大学院でAI・機械学習を研究し、Googleでは大規模サービスの技術支援や運用に携わってきました。現在Bufffでは技術責任者として、ゲームUGCプラットフォームの設計からインフラ構築までをリードしています。
なぜ大企業ではなくスタートアップを選んだのか。
ゲームが生まれ続ける基盤を、どう設計していくのか。
Bufffの技術基盤を支える三浦に、プロダクト設計と開発思想について話を聞きました。
目次
「会社のトップ」よりも、「技術責任者」が向いていると思った
今一番のチャレンジは「ゲーム開発の共通基盤」
設計で最も重視しているのは「後で楽をすること」
技術は目的ではなく手段
「会社のトップ」よりも、「技術責任者」が向いていると思った
—Bufffに参画した経緯を教えてください。
代表の成瀬とは中学校卒業以来の付き合いです。ある時17年ぶりに連絡をもらい、一緒に事業をやらないかと誘われました。
実は以前、自分でも起業した経験がありました。その中で、自分は会社のトップに立つよりも、技術の責任者として開発に責任を持つ方が向いていると感じるようになりました。
経営そのものが嫌だったわけではありません。ただ、会社のトップになると、採用や事業開発、組織運営など考えることが一気に増えます。その中で、自分はやはり「作ること」に一番集中したいと思ったんです。
代表の成瀬は行動力があり、人を巻き込んで事業を前に進める力がある。一方で私は技術を突き詰めることに集中したい。その役割分担なら面白い会社が作れると思い、参画を決めました。
—これまでのキャリアで培った強みはどこにあると思いますか?
Googleでの経験が大きいと思います。開発だけではなく、運用やオペレーションも含めて、どうすれば仕組みとしてスケールできるのかを常に考える文化がありました。サービスが成長すると、ユーザー数だけでなく問い合わせや運用負荷も増えていきます。その時に人手で解決するのではなく、設計そのものを見直して解決することが求められます。
また、担当領域だけを見るのではなく、「この仕組みは将来的にどこがボトルネックになるか」「人が増えても運用し続けられるか」といった視点で考える習慣が身につきました。
Bufffでもその考え方は変わっていません。利用者数やゲームタイトル数が増えても、サーバーコストやオペレーションコストが現実的な範囲に収まる設計を常に意識しています。
少人数でも継続的に運営できる状態を最初から作ることが、結果として開発スピードにもつながると考えています。
今一番のチャレンジは「ゲーム開発の共通基盤」
—いま、Bufffでは「作る」「遊ぶ」「共有する」「収益化する」が一体となったカジュアルゲーム特化型のUGC開発プラットフォームを作ろうとしています。まず、なぜゲーム×UGCの領域に可能性を感じたのでしょうか?
もともと個人でUGC系のサービスを運営していました。UGCの魅力は、ユーザー自身がコンテンツを作り、広めてくれることです。運営側がコンテンツを作り続けなくても成長できる仕組みになっています。技術者の視点で見ると、非常にスケーラブルなモデルです。
ゲーム×UGCについては当時ほとんど前例がありませんでした。ただ、個別のゲームを作り続けるのではなく、ゲームが生まれ続ける基盤を作ることができれば、大きな可能性があると考えています。
—その実現に向けて、現在どのような技術的チャレンジに取り組んでいますか?
現在最も力を入れているのは、ゲーム開発の共通基盤づくりです。これまではゲームタイトルごとに、認証やデータ保存などサーバーサイド実装が必要でした。しかし実際には共通化できる部分が多くあります。
そこで現在は、ゲームエンジニア自身が設定ベースでゲームを公開・運用できる基盤を構築しています。認証や配信などの共通機能をまとめることで、ゲーム体験そのものの開発に集中できる状態を目指しています。
もちろん、データ構造は複雑になりますし、動的に実行するロジックも増えるためパフォーマンスとの両立も必要です。それでも、一つひとつを個別最適で開発するのではなく、「ゲームを作るための仕組み」を整備することで、少ない開発コストで多くのタイトルを展開できる状態を作りたいと考えています。
これは単なる効率化ではありません。将来的にはBufffが構想しているゲーム×UGCプラットフォームにつながる基盤でもあります。動画がYouTubeによって誰でも発信できるものになったように、ゲームもより多くの人が作り、公開できる世界を目指しています。
設計で最も重視しているのは「後で楽をすること」
—プロダクト設計で一番こだわっているポイントを教えてください。
一言で言うと、「後で楽をすること」です。これはGoogleだけで身についた考え方ではなく、学生時代からサービス運営を通じて感じていたことでもあります。
サービスが成長してからのマイグレーションや保守は想像以上にコストがかかります。そのため、最初から完璧を目指すのではなく、変更しやすく運用し続けられる構造を意識しています。
ユーザー数が増えても、機能が増えても、大きな作り直しが発生しない長期的な視点で設計しています。
—現在の技術スタックについて教えてください。
その考え方は技術選定にも反映されています。ゲーム部分は現在、Unityで開発しWebGLとしてビルドしたブラウザ向けゲームを中心に構成しています。ただし将来的にはゲームエンジンに依らず、JavaScriptベースのゲームも動かせるように設計しており、ゲーム実装の選択肢を広げられるようにしています。
バックエンドはGoogle Cloudを中心に構築しています。一方で、ゲームのビルドデータやアセット配信まですべて Google Cloudに依存するとゲーム配信のコストが大きくなるため、キャッシュサーバーとしてCloudflareも活用しながら最適化しています。
技術選定で重視しているのは、メンテナンスフリーであることと、高いスケーラビリティを持つことです。特にフロントエンド領域は技術の流行り廃りが激しいため、新しい技術だからという理由だけで採用することはありません。10年後も運用できるか、チーム規模が変わっても維持できるかという観点で選定しています。
—Bufffならではの技術的な難しさはありますか?
ありがたいことに、人気IPを活用したゲームを担当させていただく機会も増えています。その場合、リリース直後に非常に大きなアクセスが発生しますが、当然サーバーを落とすことはできません。
一方で、ピークアクセスだけを想定して過剰な構成にすると、平常時のコストが大きくなってしまいます。そのためBufffでは、インフラだけでなくゲーム仕様も含めて設計段階から検討しています。少人数のチームでも、大規模なアクセスに耐えられる。そうしたスケーラブルな仕組みを実現できることは、この仕事ならではの面白さだと思います。
技術は目的ではなく手段
—Bufffが目指す未来について教えてください。
AIを含め、新しい技術はこれからも積極的に活用していくと思います。ただ、技術そのものを目的にはしたくありません。
個人的には、ゲームも動画と似た変化が起きる可能性があると考えています。これまで動画は一部のプロだけが作るものでしたが、YouTubeによって個人が作り、発信し、価値に変えられるようになりました。ゲームにも同じような変化が起きる余地があると思っています。
ゲームを作るハードルを下げ、作ったものを届けられる環境を整える。その仕組み自体を作ることが、Bufffが目指す世界です。そのために、何を実現したいのかを考え、そのために最適な技術を選ぶ。これからも「ゲームで人を心を動かす」を実現する技術を作っていきたいと思っています。
ーBufffで活躍できるのはどんなエンジニアですか?
理想を言えば、一通り広く技術を理解できる人がいると嬉しいですが、それ以上に大事なのは考え方だと思っています。
Bufffでは、目新しい技術だけを追いかけるのではなく、将来的にどう運用されるか、どうすれば継続できるかまで考えながら設計する場面が多くあります。新しいことを吸収する柔軟さと、必要な時には泥臭く仕組み化に向き合える人が合っていると思います。
人を増やして解決するのではなく、仕組みで解決する。その考え方に面白さを感じる人とは、一緒に良いプロダクトを作れる気がしています。