はじめに
「いい香り、好きですか?」と聞かれて「きらいです」と答える人はあまりいないのではないでしょうか。
コロナ禍でおうち時間が増えて、暮らしにいい香りを取り入れる習慣が広がっていったこの数年。ただ、あなたの職場はどうでしょうか。いつも買い物に行くお店は?病院には?香りの印象ってあまりないかもしれません。
私たちはこれまでになかった場所に香りを届けることで、新しい価値をつくっていきたいと考えています。
香水屋さんの30年
申し遅れました。私たちは30年間、日本国内で香水をつくってきた「株式会社フィッツコーポレーション」といいます。
事業を始めた当時、香水は百貨店でしか買えない高級品というイメージが強くありました。ただ、私たちはもっと気軽に香りを楽しんでもらいたいという思いから、海外の商品を輸入したり国内でリーズナブルな価格の商品を開発して、小売店を通じて販売してきました。
「ボディファンタジー」や「ライジングウェーブ」といった香水や、いい香りのするヘアスタイリング剤の「オーシャントリコ」と聞けば、もしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
そんな私たちが始めたのは、空間向けの業務用アロマディフューザーのサービスです。(ホテルに入ったときにふわっといい香りがする、あれです。)
もちろん、こんなサービスが世の中になかったかというと、そんなことはありません。海外でより盛んではありますが、日本でもいくつかサービスが展開されており、私たちは後発です。
香水屋さんが「業務用の香りサービス」を始めた理由
ではなぜ、30年間香水をつくってきた私たちが業界でも後発で、このサービスを始めたのか。それは、「香りを楽しむすそ野をもっと広げたい」という思いがあるからです。
日本国内において空間向けのアロマは過去15年ほどで、ホテルやアパレルの業界で広がっていきました。しかし、それ以外の業界にはなかなか根付いてはいません。
私たちは香りが空間に根付かない理由が2つあると考えています。
一つは「サービスの重さ」です。これまでのサービスでは香りはオーダーメイドで、導入施設のアイデンティティになるようなものを調香師と一緒につくる形式が多くありました。もちろんこの使い方は香りの価値を十分に活用している、いい例だと思います。ただ、この使い方は初期投資がかなり大きく、おいそれと実現できるものではありません。よって導入ハードルが大変高くなります。
二つ目は「香りの価値が埋もれていること」です。冒頭でも問いかけましたが、暮らす場所、職場、よく行くお店…それぞれどんな香りでしょうか?それぞれの施設が来訪するお客さまに向けてまず力を入れるのが、「視覚的要素」だと思います。施設のコンセプトに合った内装、待ち時間を過ごすソファ、見栄えのするお花…。もちろん第一印象の大半は視覚によるものだとされており、優先順位が高いことは大前提。どうしても「嗅覚」は手が下がってしまいます。しかし、内装にどんなに気を配っていても、「におい」のケアができていないと印象がぐっと落ちてしまう可能性が。
加えて、ケアという守りの点だけでなく、その施設に合った香りがあることでより体験価値が高くなる、という攻めの点もあります。例えば私たちのサービスでは、ある歯医者の待合室にアロマディフューザーを導入をしていただいています。歯医者は、大人になっても緊張してしまうもの。子どもならなおさらです。治療となると継続的に通わないといけないことも多い歯医者のような施設では、少しでも患者さんの感じる緊張は軽減したい。そこで、アロマディフューザーを設置して待合室にほのかな香りを広げることで、リラックス空間を作っています。このように、もっと香りが空間にあることで、施設それぞれでの体験価値を高めていけるのではと考えています。
香水砂漠の日本で私たちに何ができるのか?
これらの「空間での香り」が広がっていない課題について、私たちのサービスではシンプルな解決策を提案しています。
一つ目の「サービスの重さ」に対しては、「リーズナブルなサービス価格」と「発注~管理のオペレーションの簡潔さ」を実現。価格においては「セミセルフサービス」を採用して人件費を削減、リーズナブルな価格を設定しています。Laaveenのディフューザー機器と香料は、こまめなメンテナンスが不要で香料交換が簡易。レンタルサービスにありがちな、営業担当がついてフルサービスを提供する必要はないため、約2か月に一度の香料交換だけ導入先のお客さまにセルフで行っていただき、その分リーズナブルなサービス価格を実現しています。ディフューザー機器も、オーバースペックにならないよう機器の仕様を厳選し、「ちょうどよい軽さ」のサービスを目指しています。
二つ目の「香りの価値が埋もれていること」に対しては、30年間「香りのすそ野を広げること」の注力してきたフィッツコーポレーションだからこそ、できることがあります。これまで香りが「ない」ところに香りが「ある」価値を数多くつくってきました。例えば香り×スポーツ。「香りを、新たなスポーツウェアに」というコンセプトのもと、鼻腔拡張テープに香りを付与することで、スポーツの試合やトレーニング、さらには勉強や仕事でも香りの力を役立てる。30年間香りに向き合い続けてきたからこそ、香りの価値を見出すことには自信があります。そんな私たちだからこそ、物流現場に香りを置くといった、業界に前例のないことにもチャレンジしています。
香りにはまだまだできることがあるはず。私たちはまだまだ香りの新しい可能性を探していきます。