ルーツの物語⑨ 挑戦と困難を乗り越えて
翔空会の活動を進める中で、楽なことばかりではありませんでした。保育園の運営も、福祉事業の立ち上げも、すべてが初めての挑戦です。制度の壁や資金面の問題、職員の育成、地域との調整――挙げればきりがないほどの課題に直面しました。そのたびに、「本当にやっていけるのだろうか」と自問する日々もありました。
最も大きな壁の一つは、認可外保育園としての立ち上げ当初のことです。施設の場所や設備を整えるだけでも膨大な時間と費用がかかります。地域の理解も必要で、近隣の方々にご迷惑をかけないように調整しながらの準備でした。思うように進まない日々に、心が折れそうになることも何度もありました。
しかし、そんなときに支えになったのは、職員や地域の方々の存在でした。職員が夜遅くまで準備を手伝ってくれたり、地域の方が必要な物資を提供してくださったりする。その姿を見るたびに、「一人で抱え込む必要はない。みんなと一緒にやれば乗り越えられる」と気づかされました。
また、利用者や保護者の声も大きな力になりました。「子どもが安心して通える場があることがどれだけ助かるか」と感謝されるたび、疲れや不安は少しずつ希望に変わっていきました。困難の中でも、子どもや家族に寄り添う活動の価値を改めて実感する瞬間があるのです。
こうした挑戦の中で学んだことは、「失敗や困難は恐れるものではなく、成長のチャンスである」ということです。うまくいかない日も、職員と話し合い改善策を考え、次に活かす。その繰り返しが、法人としての力を少しずつ強くしてくれました。
翔空会は、決して順風満帆ではありません。しかし、挑戦を恐れず、困難を一つひとつ乗り越えてきたからこそ、今日の姿があります。そして、この経験は法人の理念を支える大切な土台でもあります。「子どもや家族に寄り添う」という思いを、困難の中でも諦めずに形にしてきたからこそ、私たちは地域に存在し続けられるのだと実感しています。
これからも挑戦は続きます。けれど、職員や地域、そして子どもたちとともに歩むことで、どんな困難も乗り越えていける――そう信じて進んでいきたいと思います。