翔空会の原点~子どもたちと共に歩んできた物語~
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ルーツの物語⑧ 親子や家庭を支える地域の拠点
翔空会の保育園で子どもたちと関わる中で、私はいつも思います。「子どもを育てることは、親も一緒に育てること」だと。子どもは家庭や地域の中で育つものですから、保育園だけで完結することはありません。だからこそ、私たちは家庭や地域とのつながりを大切にしています。
ある日のことです。仕事や子育てで疲れ切ったお母さんが、園に相談に来られました。「子どもにイライラしてしまって、どうしていいかわからない」と涙ながらに話されました。その言葉を聞いたとき、私は自分の父母との関わりを思い出しました。厳しかったけれど、愛情を持って見守ってくれた両親。子育てには悩みや不安がつきものだということを、改めて感じました。
私はそのお母さんに寄り添い、一緒に考えました。「今日はどういう気持ちで過ごしたいですか?」「子どもとどんな関わりをしてみたいですか?」と問いかけ、少しずつ日常の工夫や気持ちの整理をサポートしました。その後、お母さんは少しずつ笑顔を取り戻し、子どもとの関係も穏やかになっていったのです。その瞬間、私は「保育園は、子どもだけでなく親にとっても居場所になれるのだ」と実感しました。
こうした体験を通して、翔空会では親子支援を大切にしています。子育てに悩む方々が気軽に相談できる場をつくり、地域の専門機関や団体とも連携しながら支援のネットワークを広げています。また、地域の行事やイベントに親子で参加できる機会を設けることで、地域全体が子育てを支える環境になれるよう努めています。
私たちの保育園は、単に子どもを預かる場所ではありません。親も子も安心して過ごせる「地域の拠点」です。地域の方々と一緒に子どもたちを育て、親を支え、地域全体がつながる場をつくる。それが、私たち翔空会が大切にしている理念の一つです。
保護者が安心して子どもを預けられることで、子どもはのびのびと成長し、親も子育てに前向きになれる。そんな循環が生まれることを、私は日々の活動の中で感じています。そして、これこそが私たちが地域に存在する意味なのだと強く思うのです。