第2回:小学校の先生になりたいと思った日
私の子ども時代を振り返ると、学校の担任の先生との出会いにとても恵まれていたと思います。その中でも、特別に心に残っているのが小学5、6年生の時の担任・吉澤先生との出会いです。
4年生までの私は、「どうか吉澤先生が担任になってくれないかな」と密かに祈っていました。そして5年生になった春、その願いがかなって吉澤先生が私の担任になったのです。嬉しくて仕方がありませんでした。
忘れられない出来事があります。5年生の時、楽しみにしていた林間学校を目前にして、私は不運にも骨折してしまいました。「もう行けないかもしれない」と落ち込んでいた私に、吉澤先生はこう言ってくださったのです。
「もし歩けないなら、私がおぶってでも連れて行ってやる」
その言葉にどれだけ救われたか、今でも鮮明に覚えています。結局、私は無事に林間学校に参加できましたが、この時に感じた先生の温かさと責任感は、私の心に深く刻まれました。
吉澤先生は、勉強を教えてくれるだけではなく、子ども一人ひとりの気持ちに寄り添い、全力で応援してくれる先生でした。その姿を見て「自分も将来、先生のように子どもたちに寄り添える人になりたい」と強く思うようになりました。
こうして私は小学校の先生になることを夢見て、進学先も教育学部を目指そうと考えるようになったのです。子どもの頃の「憧れの先生」との出会いが、私の人生の大きな方向性を決定づけました。
けれども人生は思い通りにはいきません。教育学部を志したものの、結果的に合格できたのは経済学部でした。当時の私は大きな挫折感を抱きましたが、それでも「教育に関わりたい」という気持ちを完全に捨てきれたわけではありません。父からの助言もあり、合格した大学に進学することを決めました。
結果的にその選択が、後に大きな学びや人との出会いにつながっていくのですが、この時の私はまだ知る由もありませんでした。ただ一つ確かなのは、吉澤先生との出会いが、今も私の心の奥に灯る「子どもと関わりたい」という情熱の源泉になっているということです。