「産業革命の中心を、ここに。」をパーパスに掲げ、市場規模150兆円のリテール領域の変革に挑むNELは、ブランドとお客様を推しでつなげるプラットフォーム「osina」やAIで顧客ニーズを汲み取り改善する「カスタマーAI」サービスを提供しています。
「osina」や「カスタマーAI」サービスを活用し、新たなブランドのあり方を模索しているのがウエルシア薬局です。同社がプライベートブランド「からだウエルシア・くらしウエルシア」ではosinaを活用してブランドの認知度拡大を図っているほか、「カスタマーAI」サービスを活用して、お客様の声を反映させた商品開発にも取り組んでいます。
NELとウエルシア薬局の取り組みはどのようにして始まったのか。ウエルシア薬局 商品本部 商品企画部長 岡本様・商品本部 齊藤様とNEL代表の西田が対談しました。
osinaはブランドの認知度拡大と商品の良さを伝えられるサービス
──ウエルシア薬局では、プライベートブランド「からだウエルシア・くらしウエルシア」でosinaを全面的に活用している、とお聞きしています。どういったきっかけでosinaを導入することになったのでしょうか?
岡本:ウエルシア薬局のプライベートブランド「からだWelcia・くらしWelcia」が立ち上がったのは2021年6月です。立ち上がってから数年しか経っておらず、どちらかと言えば“後発組”だったので、最初は商品数も少なかったですし、認知度も全くありませんでした。
ただ、自分たちとしては良い商品を開発している自負はあって。商品の良さを広く伝えて、認知度を高めていく方法は何があるか考えていたんです。また、SNSを当たり前に使うMZ世代にも訴求していきたいという狙いもある中で、NELが展開するブランドとお客様を推しでつなげるプラットフォーム「osina」の存在を知りました。ブランドの認知度拡大と商品の良さを伝えるサービスとして良さそうだと思い、活用してみることにしたんです。
──osinaを導入する前は、どういった取り組みをされていましたか。
岡本:リテールメディアも充実しているわけではなかったので、立ち上げ当初は齊藤を中心に、まずプライベートブランドのInstgramアカウントを開設しました。定期的に発信はしていましたが、ブランド自体の認知度もなく、フォロワー数も少なかったので投稿が拡散されるということはなくて。
齊藤:過去に小規模なサンプリングも実施し、SNSでの投稿・拡散も狙ったことはあるのですが、ほとんどが「商品をもらった」という投稿で終わってしまって。こちらが狙っていたような投稿が生み出せていない、という課題はありました。
岡本:立ち上げから1〜2年くらいは販促予算もほぼゼロの状態で活動しており、3年目から一定の予算をかけられるようになったので、その予算を有効活用する狙いもあり、osinaを活用することにしました。実際にosinaを活用してみて、質が高く熱量のある投稿が生まれており、本当に素晴らしい仕組みのサービスだなと感じています。
![]()
──なぜ、osinaは熱量の高い投稿を生み出せるのでしょうか。その裏側にある独自の仕組みなどがあれば、ぜひ教えてください。
西田:osinaの仕組みを簡単に説明すると、「商品を購入する」という普通の買い物の延長で、購入した商品の“推しポイント”を他の人たちに伝えていくというものです。商品を買う行動が商品理解に繋がっており、なおかつ商品を実際に使ってみないと良い動画が作れません。この仕組みによって、熱量の高いコンテンツが生み出せていると思っています。
また、投稿した動画の再生数に応じて報酬が得られるようになっており、動画を多くの人にリーチさせなければ報酬が増えていかない。そのため、ユーザーは商品の魅力がより伝わるような動画を作成して投稿してくれますし、その動画を視聴した人は商品が気になって買ってくれる。そういった良い循環を生み出せているのも、osinaの特徴です。
osinaを活用することで、売上目標200%超の商品も誕生
──実際にosinaを導入してみて、どのような効果がありましたか?
岡本:osinaを活用することによって、「からだWelcia・くらしWelcia」の認知度は立ち上げ当初と比べて、確実に上がったと感じています。また、お客様のリアルな声が見えるようになり、商品開発にも活かすことができている。手前味噌にはなってしまいますが、よりお客様のニーズを取り入れた商品の開発・提供ができているんじゃないかと思います。
──ウエルシア薬局にとって、osinaの魅力はどこにあると思いますか。
岡本:消費者視点での商品の“推しポイント”が分かるのが魅力ですかね。自分たちはどうしても“開発者視点”で魅力を訴求しようとするため、なかなかユーザーに刺さりづらい。ただ、実際に商品を購入してくれたユーザーが魅力を伝えると、リアリティがありますし、すごく刺さりやすく、ブランドのファンになってもらいやすいんです。よりユーザーの生活やライフスタイルに合った投稿が行われるのは、osinaならではの魅力だと思います。
齊藤:例えば、過去に牛肉を100%使用した「淡路島産タマネギのソースまでうまい牛肉ハンバーグ」という商品の販促でosinaを活用したことがあります。私達が魅力を伝えようとすると「牛肉を100%使っています」というような文章になってしまうのですが、NELさんは「#おうちで牛100」といったSNSでバズりそうなキャッチフレーズを考えた上で、投稿募集の企画を実施してくれる。これはプロじゃないとできないな、と感じました。
![]()
岡本:すべての商品でosinaを活用しているわけではないのですが、osinaを活用した商品の売上は目標の200%超というような結果も出ています。
──200%超の結果が出ているのは、すごいですね……。
西田:動画のフォーマットと投稿者、訴求内容。この3つがしっかり揃っていないと、商品を紹介した動画が評価されにくいので、osinaユーザー向けに「こういうフォーマットで、こんな投稿すると再生数が上がりますよ」という話をした上で企画を実施しています。
その結果、ユーザーとしては有名ではない方でも再生数を増やしていくことができ、再生数に応じて報酬も得られる。報酬を得ることで、「次はこの商品を買ってみたい」といったように購入のハードルがどんどん下がっていき、新商品にも手が出しやすくなる。こうした仕組みによって、商品の売上にも貢献できているのではないかと思っています。
認知拡大に伴って生まれた課題、「カスタマーAI」サービス開発の経緯
──「カスタマーAI」サービスの話もぜひ聞かせてください。ウエルシア薬局はβ版から利用していたそうですが、そもそもどういった経緯で開発することになったのでしょうか。
西田:osinaを活用した取り組みを一緒に進めさせていただく中で、「からだWelcia・くらしWelcia」に対するお客様の声がどんどん増えていたんです。ブランドに興味・関心を持つ人が増えている一方で、お客様の声を細かく分析して、商品開発に活かしていくための業務工数が肥大化してしまっているとのことで、岡本さんから相談をいただきました。
![]()
NELの事業としても、osinaによって既存の商品を“広く届ける”だけでなく、お客様の声を取り入れて商品を開発していく部分にも入り込んでいきたい考えを持っていて。岡本さんから相談をいただいたときに良い機会だと思い、開発を始めていくことにしました。
岡本:ウエルシア薬局では、月に1回「お客様の声検討会」というものを商品企画部で開催しています。お客様の声を商品開発に活かすためには、きちんと分析しなければいけない。どの声が重要なのか、どういう声が一番大きいのか、どの声にポテンシャルがあるのか。分析をするまでの整理も必要ということで、前準備としてデータをまとめるのに1週間ほどの工数がかかっていたんです。
とにかく工数がかかっていたので、もっとスピード感を持って進めていくために、何かできることはないのかな、と。そうした中、西田さんとosinaの話をしているときに、「こういう悩みを抱えていて」と相談したところ、「こういうことができたらいいですね」と「カスタマーAI」サービスの話になり、一緒に開発を進めていくことになりました。
齊藤:今まではお客様がいつでもどこでも商品に関するアイディアやリクエストを投稿できる「からだの声とくらしの声」に寄せられた声をExcelに転記し、その内容がどの商品カテゴリーに該当するのかひとつずつ見て、人力で適切なカテゴリーに振り分けてたんです。
「からだWelcia・くらしWelcia」は2ヶ月で3,000件もの声が集まるようになっており、1〜2週間かけて集まった声の収集・分析をやっていました。
──開発において、こだわった点があれば教えてください。
西田:開発がスタートした後、3ヶ月かけて3,000件のお客様の声を収集し、カテゴリーごとに分類する作業をやってみたんです。実際にやってみて、膨大な工数がかかっていると感じました。また、お客様の声はいわゆる自然言語と呼ばれるフォーマットに則った回答ではなく、本当に普段の喋り口のようなものがどんどん入ってくるんです。
お客様の声の文脈を一つずつ紐解き、“なぜこれを言ってるのか”を理解しない限り、データとして使えない。そこが1番の課題かなと思いました。そのため、お客様の声を分析するためにチューニングしたAIをNELでつくり、読み取れるようにしたんです。そこが最も工夫したところでもあり、開発においても大変だったところです。
──カスタマーAIの特徴、強みはどこにあると思いますか?
西田:カスタマーサポートの業務をAIが対応するというサービスは、世の中にたくさんあると思います。ただ、お客様の声を活用して商品開発をするというものはない。実際に調べてみて、「世の中にない」となったので、自分たちで開発することにしました。
岡本:過去のデータをもとに属性を決めて、そこにあった商品を作るというのはよくある話です。カスタマーAIはその企業だけにあるお客様の声をもとに、未来のニーズを読み取って新たに商品を開発する。そこが他にはない特徴であり、強みだと思います。今後は商品IDの紐付けもして、より精度の高い商品開発をしていきたいと思っています。
![]()
西田:また、NELは販促/広告に大きな強みを持っています。お客様の声をしっかり集められるからこそ、その声を商品開発や改善につなげられるのも大きな特徴だと思います。
業務工数が9割減少、お客様のニーズを捉えた商品開発も実現
──実際にカスタマーAIを活用してみて、どのような効果が生まれていますか?
岡本:お客様の声の収集・分析にかかる業務工数を減らすことを目的にカスタマーAIを活用し始めたわけですが、工数を9割減らすことができました。
齊藤:「カスタマーAI」サービスを活用することによって、回答の振り分けはAIが自動で精度高くやってくれるようになりましたし、お客様の声の傾向などを5枚ほどの資料にまとめてくれるので、「お客様の声検討会」もスムーズに進行できるようになりました。
岡本:また活用する中で、お客様の声をAIが正確に分析することによって、より良い商品開発ができているな、という実感もあります。「さらばガマン!脂質70%オフのノンフライポテト」という商品が良い例です。ウエルシア薬局はドラッグストアですので、「美味しく健康的なものを食べたい」「ギルティフリーなものがいい」という声が多く、糖質を抑えるだけでなく脂質も抑えたいというニーズがあることがわかりました。
![]()
今までは糖質オフのことばかり考えていたのですが、カスタマーAIを活用することで「脂質」という声が多く集まっていることが見えてきた。その結果をもとに、脂質オフに特化した商品を開発しようということで、「さらばガマン!脂質70%オフのノンフライポテト」ができました。
商品開発はどうしても過去の成功事例などにアイデアが引っ張られてしまいがちです。ただ、お客様のニーズが多様化している時代において、従来のやり方だけではお客様のニーズを満たせません。AIがお客様の声を正確に分析して未来を予測し、ニーズを先回りする形で商品開発していかないともう戦っていけないだろうと思っています。
「AI製造小売」を支援する会社として、新しいリテールの形をつくる
──今後の展望についても教えてください。
岡本:「からだWelcia・くらしWelcia」の商品数はこの1年で一気に増え、現在は360SKU(ストック・キーピング・ユニット)ほどあります。
ただ、2025年2月期中間決算の場で発表したグループ経営戦略の施策「ウエルシア2.0」では、2029年2月期に向けて、プライベートブランドの商品数を1000SKUまで増やす目標を掲げており、その目標を達成するためには、「カスタマーAI」サービスの力は欠かせないと思っています。分析などはどんどんAIに任せて、現場のメンバーが商品開発により時間を割けるようにしていくつもりです。
![]()
また、私たちの凝り固まった経験則による商品開発だけでなく、お客様の声をもとにAIがニーズを先読みし、それをもとに商品開発をしていく取り組みも進めていきたいです。ウエルシア薬局はありたい姿として「地域NO.1の健康ステーション」を掲げており、それを実現するにはプライベートブランドをもっと強化していかなければいけないと思っています。
西田:今回の取り組みを進めていく過程で、同じようなニーズでも都内在住の20代男性と地方在住の50代女性では、商品を求める背景情報が異なることがわかりました。同じようなニーズに見えても、その商品を求める細かい理由は異なるんです。
今後はウエルシア薬局さんが持っている商品IDと紐づけることによって、回答内容の分類精度をもっと上げていけるのではないかと思っています。また、お客様がより使いやすいサービスにすることで、今以上にお客様の声を集められるようにしたいです。
![]()
これからのメーカーやリテール企業に求められるのは、既存のお客様に迎合することではなく、新しくお客様を作っていくこと。新しいお客様をつくっていかない限り、新しいニーズも生まれないと思っています。適切にお客様の声を拾い、それをもとに商品を開発し、適切に届けていく。そこがNELとしても一番大事にしているミッションでもあります。
NELは「AI製造小売」を支援する会社として、カスタマーAIを起点に、いろんな部分でAIを使いながら、人がより生産性高く創造的に仕事ができる状態を作り、分析業務などはAIが担うような新しいリテール・メーカーの形をつくっていきたいと思います。
■日経クロストレンドの記事はこちら
■NEL「カスタマーAI」に関するプレスリリース
■「osina」サービスサイト
■「osina」「カスタマーAI」などに関する問い合わせ先
▼NEL社に興味を持った方へ
NEL株式会社では一緒に働いていただけるメンバーを募集しています。
選考意思は不問、まずはカジュアル面談からでも大歓迎です。少し話を聞いてみたい方も、お気軽にエントリーください!