【初心者でもわかる】「osina」でブランドのファンを増やす!SNS時代の界隈(クラスター)マーケティング | NEL株式会社
1.はじめに消費者の購買行動がデジタル化し、マーケティング・販促活動に欠かせないSNS。リアル店舗とオンラインの境界が薄れていく中、OMO(Online Merges with Offline)...
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「産業革命の中心を、ここに。」をパーパスに掲げるNELは、ブランドとお客様を推しでつなげるプラットフォーム「osina」やAIで顧客ニーズを汲み取り改善する「カスタマーAI」サービスなどを提供しています。
「osina」を活用し、若年層への新たなアプローチに成功したのが、株式会社Mizkanの「LOVERZたれつゆ」です。調味料カテゴリーとして初めてosinaを本格活用した今回のプロジェクトでは、148件のUGC投稿で333万回超の再生を記録。参加ユーザーの約50%を、「LOVERZたれつゆ」のメインターゲット層である10代・20代が占め、POSを取得した特定の販売先においてその間の売上を大幅に向上させることに達成しました。
なぜ、成熟化したつゆ市場で新たな需要を生み出すことに成功したのか。生活者視点の発信をどのように実現したのか。株式会社Mizkan マーケティング本部 マーケティング企画1部調味料3課の藤原郁香氏とNEL代表の西田が対談しました。
※ブランドとお客様を“推し”でつなげるプラットフォーム「osina」とは?
届けたい人に届いている実感が持てなかった。若年層へのアプローチという課題
企業目線ではなく生活者自身の言葉で。osinaが届けるリアルな声の価値
企業では思いつかないアレンジレシピ。osinaユーザーが生んだ333万再生
ニッチな商品を確実に届ける。UGC活用が生んだ新しい勝ちパターン
▼NEL社に興味を持った方へ
──当時、マーケティングに関してどのような課題を抱えていたのでしょうか?
藤原:会社の今後のためにも、新しいお客様との接点を増やしていくアプローチが必要不可欠な状況でした。
ミツカンは、調味料を中心に強みを持つ企業として、これまで培ってきた知見や技術を活かしながら、次の成長につながる新たな商品・サービスの開発に取り組んでいます。
私が所属するマーケティング企画1部では、調味料カテゴリのブランドを扱っており、そこでは、これまであまり接点を持てていなかった若年層をはじめとする新しいお客様とのつながりを広げていくことを目指していました。
そこで掲げた戦略は、大きく二つあります。一つ目は、ブランドが持っている独自価値(UAV)の探索と創造に改めて注力すること。二つ目は、UGCの活用です。生活者の日常にSNSが浸透した今、弊社としてもSNSと相性の良いUGCを起点としたコミュニケーション戦略に取り組みたいと考えていました。
──会社として、UGCの可能性に着目されていたんですね。
藤原:弊社では、これまでテレビCMを中心とした一方通行のコミュニケーションが中心でした。ただ、テレビ離れや消費者心理の変化もあり、それだけではお客様の心に響きづらい時代になってきています。
特に今回プロジェクトを依頼した「LOVERZたれつゆ」は、成熟化しているつゆ市場において、新たな需要を創造するために開発された商品です。「にんにく醤油」と「辛旨醤」の2種類を展開し、それぞれの味を愛好する方々に向けた専用調味料として開発しました。
このようなニッチな商品だからこそ、マス向けの施策で広く展開するのではなく、特定のターゲット層に深く訴求していくことが重要でした。そこで必要になったのが、ターゲット層と近い目線を持つ生活者自身による発信です。
──方針は定まっていたものの、社内での実現が難しかったということでしょうか?
藤原:これまでも、SNS等を活用して様々な施策に取り組んできました。認知拡大には成果があったものの、本当に届けたい人に届いている実感を持てずにいたのが実情です。
今はSNSで誰もが自分の好きなものを自由に発信できる時代になっています。私たちが本当に求めていたのは、生活者の方々が自分の言葉で、日常の中で自然に商品について語ってくれること。しかしながら、いくら施策を打っても望む結果には辿り着けず、企業主導ではない、生活者の中から自然に生まれる文脈を作ることの難しさを痛感していました。
──NELにご依頼いただくまでの経緯を教えてください。
藤原:きっかけは、MarkeZineで公開されていた西田さんとクライアントさんとの対談記事です。その中で、osinaのサービスについて「ユーザーさんの本音が循環する仕組み」だとお話しされていて、非常に共感しました。
LOVERZたれつゆは、お客様の声で育てていきたいブランドだと考えていたので、親和性を感じてすぐに問い合わせフォームから連絡させていただきました。
西田:ありがとうございます!記事を通じてサービスの本質を理解していただけたのは嬉しいですね。
藤原:先ほどお話したように、当時の私はLOVERZたれつゆが届けたい人に届いている実感を持てずにいました。その悩みに対して、生活者の方が等身大の言葉で商品を語ってもらえるosinaは、まさに求めていたサービスでした。企業目線ではなく、実際に使った方が自分の言葉で商品の魅力を伝えてもらえる。そこに、広告では生まれない説得力や共感性があると考え、依頼を決定しました。
──依頼をする際、懸念点や不安はありましたか。
藤原:懸念としては二つ。まず、調味料を扱った前例がなかったとお伺いしていたので、そもそもユーザーさんがどれくらい集まるのか、想像ができなかったこと。そして、ただの商品説明をするだけのコンテンツになってしまわないかという点です。
今回のプロジェクトは、UGCによるリアルな情報発信ができるだけでなく、弊社にとって生活者の方の生の声が聞ける貴重な機会でもありました。だからこそ、こちらから構成やシナリオを細かく指定するのではなく、「こういう時に使った」「こう使うと美味しかった」といったリアルな声を前面に出してほしかった。ただ、そのぶんアウトプットがどう出てくるのか、少し不安もありました。
──その不安はどのように解消されたのでしょうか。
藤原:プロジェクト開始前に、丁寧な対応をいただいたおかげです。まず、ユーザー数や再生数が目標に達しなかった場合の対応について、事前に細かく説明いただきました。
そして動画の内容については、最初にアップロードされた5つほどの動画を確認させていただき、その段階で微調整の希望を伝えることができました。
西田:我々はビューティー系のメーカー様とのお取引が多いので、調味料という新しいカテゴリーでは、確かにコンテンツのイメージが湧きづらいと思います。そこで藤原様と密にコミュニケーションを取りながら、一つずつ不安を解消していく形で進めさせていただきました。
──osinaを通して生まれたUGCについて、感想はいかがでしょうか。
藤原:アレンジレシピがユニークで、本当に魅力的な動画ばかりでした。
弊社では、メニューの自社開発も行っています。私もマーケターとして、商品に合わせたメニューを検討するのですが、
どうしても企業目線になってしまい、「つゆだから、やっぱりうどんとかラーメンだよね」と、王道メニューに落ち着きがちです。もちろん王道メニューは商品への入り口として重要ですが、本当に商品を愛用してくださっている方々の使い方や食シーンに合っているのか悩むこともありました。
一方、osinaユーザーの方々が作った動画では、海鮮丼に使ったり、ガーリックバタートーストを作ったり。発想が自由で、見ていて本当に面白かったんです。それが生活者の皆さんにとっての本当の使い方なんだと気づきました。そのため、今回紹介されたレシピを公式レシピとして採用したいという話も出ています。
西田:osinaユーザーのコンテンツについては、全てosina側が権利を保有しています。ユーザーさんにとっても、自分のレシピが公式に採用されることはモチベーションになると思うので、ぜひミツカンさんでもご活用いただきたいです。
──目標とされていた若年層へのリーチについて、実感はありましたか。
藤原:実際に投稿してくださった方々も若い世代が多く、ターゲットとして届けたかった層に確実に届いたと実感しています。
特に印象的だったのは、動画の再生数が伸びるタイミングとPOS売上の上昇が明確に連動していた点です。施策期間中、売上はPOSを取得した特定の販売先において大幅に向上し、目標を大きく上回る成果を記録しました。SNS上のハッシュタグも「#LOVERZたれつゆ」が上位にランクインするなど、オンラインでの話題化が実際の購買行動に直結していることを実感しました。これらの成果によって、届けたい人に確実に届いているという手応えを得られました。
西田:今回参加いただいたユーザーの約50%を10代・20代が占め、女性が86%という構成でした。
大半のユーザーさんが「LOVERZたれつゆ」を知らない状態でしたが、購入後はほとんどの方が投稿してくださいました。購入から投稿までの流れがスムーズだったのは、商品の個性がはっきりしていて、伝えたいポイントが明確だったからだと思います。
毎月実施しているユーザーインタビューでも、調味料のように日常で使える商品は特に好評です。これまでビューティー系の商品が多かった中で、毎日の食事で使える調味料は新鮮で、しかも「にんにく醤油」「辛旨醤」という尖った味わいが、動画にしやすかったという声をいただきました。
──改めて今回の成果を振り返って、一番の収穫を教えてください。
藤原:まず、この施策で売上に直結した成果が可視化できたことが、社内でも大きな手応えとなりました。これまでのSNS等の施策では認知獲得に対しては大きな効果があると実感していましたが、売上への寄与を定量的に示すことが難しいと感じていました。ですが、今回の施策を通して、単なる話題づくりにとどまらず、売上に直結する有効な打ち手になり得るという手応えが広がり、この共通認識を社内で持てたことが、一番大きな成果です。
また別の視点として、元々ニッチな商品のため配荷が少なく、バラエティショップや一部の量販店への展開が中心でした。今回SNSを通じて売上を生み出せることが実証でき、営業側からも「小売店への説明や売り込みを自信を持ってできるようになった」という声をもらいました。
西田:小売店への配荷を考えると、どうしてもマス受けを狙わない商品は作りづらいのが実情です。しかし今回のプロジェクトで、その課題を解決する道筋が見えました。
特定の消費者層に向けた商品では、まずUGCを創出して話題を作る。そこからオンラインやバラエティショップでの売上につなげ、その成果をもとにリテール配荷を拡大していく。この新しい勝ちパターンを、osinaとしてもさらに磨き上げていきたいと考えています。
──今回の結果を踏まえて、チームとしてのマーケティング戦略の展望はいかがでしょうか。
藤原:西田さんがおっしゃる通り、ニッチな製品を生活者の皆さんに届けられた実績を作れたのは、弊社の今後にとって本当に大きなことでした。
冒頭でお話した独自価値の件ですが、私たちは生活者の方のインサイトを探索し、自社の強みを掛け合わせて、独自価値を作っていくという戦略を取っています。今回の「LOVERZたれつゆ」のようなニッチな商品は、熱量の高い人が多い。そのインサイトを掘り起こして自社の強みと掛け合わせる手法は、今後も続けていきたいと考えています。
今回のプロジェクトは、新しいチャレンジになりました。比較的小規模で実施しましたが、成果を可視化でき、届けたい層に確実に届けられた。明確な実績を作ることができたので、今後は他のブランドでもUGCの活用を積極的に進めていく予定です。
※内容は取材当時のものです。
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