こんにちは、AGE technologiesの採用広報担当です!
今回は当社の事業特徴でもある官民それぞれとの連携に関して、2022年度下期から本格展開を進めている「自治体支援サービス」について、責任者のCOO岡本さんにインタビューを実施いたしました。
自治体連携の背景やサービスの詳細について知ることができる内容となっておりますので、ぜひご覧ください。
空き家対策のための「自治体支援サービス」とは。
ーまずはサービスの内容について教えてください!
こんにちは、COOの岡本です。
自治体支援サービスとは、全国の市区町村を対象に、空き家の発生抑制等を目的として、不動産所有者に”相続手続き”の重要性を啓発するためのコンテンツ提供を行うサービスです。
今や日本では空き家は大きな社会問題で、18年時点で全国に約849万戸と住宅全体の13.6%を占めており、30年代に約2,000万戸に達するとも言われております。
空き家は「外壁材や屋根材の落下」、「家屋の倒壊」など保安上危険な状態となるほか、「ごみの不法投棄」、「悪臭」、「ねずみや野良猫、害虫などの繁殖」、「雑草の繁茂」など衛生面や景観の悪化などをもたらすことから、各自治体様は温度感高くこの問題に取り組まれています。
この空き家の取得理由の過半数以上が「相続」であるということから、その対応策として相続登記も2024年4月から義務化されることとなりました。
2020年1月よりリリースをしている「そうぞくドットコム不動産」によりデジタルによる相続登記のご本人申請のご支援を行い、また「そうぞくドットコムマガジン」というライフエンディング領域にまつわるノウハウを集めたWEBメディアを展開する当社だからこそ、今までと違ったアプローチで貢献できることがあるのではないか、と考え本格的に事業展開するに至りました。
「情報の非対称性」という大きな課題を改善したい。
ーこの取り組みを始めた背景を教えていただけますか?
「そうぞくドットコムマガジン」を展開している背景にも通じますが、我々がこの業界で改善したい大きな課題として「情報の非対称性」があります。それは相続自体が人生で多くても数回しか発生しないために情報を整理するインセンティブがあまりなく、またアナログな対応自体がそもそも多いがゆえに、透明性構築のためのデータ化もされていないというのが実情だと認識しております。
そしてこの非対称性により、分からないことが結果増えてしまい、必要なアクションが取れなかったり、自分で考えるべきものではないとして丸投げしたりと、相続と向き合うこと自体が後ろ向きに捉えられる傾向にあると考えております。
上記の課題感から「そうぞくドットコムマガジン」をWEBメディアとして展開して、この非対称性を改善すべく事業に取り組んでおりましたが、やはり一事業者のメディアとして展開するだけでは、本当に必要な人に届いていない現実もあり、歯がゆく感じてしまっておりました。
そんな中、国土交通省様の「令和4年度住宅市場を活用した空き家対策モデル事業*」に採択いただけることとなり、自治体様との提携など通じ、本当に情報を届けたい人に届けやすくする機会を得ることができたことが、このタイミングで本格的に事業展開することになった理由です。
*住宅市場を活用した空き家対策モデル事業とは、全国における空き家対策を加速化するため、空き家対策の執行体制の整備が必要な自治体における専門家等と連携した相談窓口の整備等を行う取組、民間事業者が空き家の発生防止等の抜本的対策に取組むモデル的な取組について支援を行い、その成果の全国への展開を図るものとなります(国土交通省サイト原文)
ー現在、具体的にはどのような取り組みを進めているのですか?
具体的な取り組み内容については、国土交通省様への報告資料に詳細が載っているのでそちらをご参照いただきたいですが、主には以下4施策をご提供しております。
特に①WEBサイトでは相続登記の基本情報や自ら手続きをする方法、司法書士に代行してもらう方法などを紹介するなど、当社のサービス紹介などは目的とせず、正しい情報を届けることに重きを置いて取り組んでいます。
①各自治体住民向け「不動産相続登記対策WEBサイト」の提供
不動産相続登記に関する情報をわかりやすく纏めたWEBページを製作し、自治体から住民への案内時に活用できるよう提供する。具体的なシーンは、死亡届提出時の案内や各自治体のHP・空き家バンクからの遷移を想定。情報を一元集約し、だれでも“ここを見るだけで相続手続きをどうすればよいかわかる”状態を作る。
②相続手続き啓蒙のためのフライヤー等の提供
役所窓口での配布や、郵送物の同封などの用途を想定し、紙面のフライヤーを提供。まずは“自身が相続対象である可能性について認識させる”きっかけを与える。
③各自治体の広報誌掲載記事等の監修
空き家対策および相続登記義務化の流れにおいて、各自治体の広報誌の活用は必至。当社所属の専門家がによる情報提供および監修を実施する。
④オンラインセミナーの実施
コロナ禍のニーズに対応し、自治体向け・住民向けそれぞれに相続登記に関するオンラインセミナーを実施する。
上記取り組みは2022年10月の茨城県神栖市様との取り組みを始めとして、すでに20前後の自治体様との協定が進んでおりますが、ありがたいことにまだまだ多くのお引き合いをいただいておりますため、今後ますます拡大をしていく予定です。
また本取り組みにより、当社が培ってきたドメイン知識やこの市場に対するWEBを中心としたマーケティングのノウハウなどは、従来では提供できなかった価値を届けられているものとして評価いただけているのだと、1つ大きな自信と繋がりました。
担当者が語る取り組みの意義や課題とは。
各自治体様との協定には、CEOの塩原さんと事業開発の伊藤さんが中心となって取り組みを進めておりますので、お2人からも取り組みの中で見えてきた取り組み意義や課題について伺いました。
ーCEO 塩原さん
2020年の”そうぞくドットコム”のリリース以降、「日本中の方々の役に立つサービスを作りたい」という想いで開発を進めてきました。
しかし、やはり我々のような「インターネットを主軸とした新しい体験を提供するサービス」を市場に広く浸透させるには、時間がかかります。自社プロモーションを強化することで、”実際に手続きが発生し、やり方を模索している方”には一定の認知を得ることができていますが、相続発生前の潜在的なフェーズも含めて、広く日本中の方に知っていただくには、”まだまだ”というフェーズです。
そうした背景のなか、やはり多くの方々にとってまず情報のタッチポイントとなるのは”自治体窓口”であり、かつ最も信頼されている情報源であるという整理をしました。
また、前述の通り「空き家取得理由の過半数以上が相続」という実態を知り、弊社がこれまで作り上げてきたアセットがこの問題の解決の一助となる可能性があると知り、かつ弊社としても自治体と取り組めること顧客接点の拡大という視点で事業上のプラスになると考え、国土交通省のモデル事業に応募させていただきました。
現在、既に20前後の自治体との提携に至っており、大変光栄に感じるとともに、具体的な施策の成果をお見せするのはこれからになるため、身が引き締まる思いです。
また、今回の“自治体支援サービス“では、「インターネットサービスを普及させたい」という思いではなく、「空き家問題を解決したい」という根本課題の解決に拘ってやっているため、「専門家に依頼する」「自治体窓口で自分でやってみる」という選択肢についても、サポートできるようなサービス設計にしております。
弊社が提供するサービスも”すべての相続手続き”に対応できるかというと、全くそうではありません。相続手続きのなかには、一定複雑な案件も多く存在しており、そういった場合は専門家の方々にご相談いただくのが最も良い選択だと我々も考えており、その際の導線補助になるようなサービスを提供しております。
今回の弊社の取り組みが、日本全体の課題解決の一助となるよう、今後も精進して参ります。
ー事業開発 伊藤さん
当社にとって官民連携は本事業が初の挑戦になります。
空き家問題と相続に関連性があることから、相続手続きの負を解消することが効果を発揮するはず、と私たちなりに仮説をもって事業化に臨みました。
まずは空き家対策の前線にいる自治体様がどの様に捉えていらっしゃるか、深掘りするためヒアリングからスタートしました。
実際に全国の役所に足を運びお話しを伺うと、程度の差はあるものの「相続には課題感を持っている」と空き家対策の担当課の皆様は口を揃えて仰います。反響が想定以上であったことに驚くと同時に、当社のモデル事業が空き家問題の課題解決に寄与できるものになりうると確信しました。
相続がスムーズに進まない不動産は、管理者が不明確な状態が長期化しがちです。その結果、空き家化につながってしまうケースが、多くの自治体で発生しています。
相続が円滑にいかない理由は様々ですが「相続手続き」そのものがネックになることは少なくありません。当社が開始した本事業は、不動産を相続した方に対して、前述のとおり、相続手続きの「情報の非対称性」の解消を目指して提供するものになります。
地域住民の皆様の”わからない”を解消できる公共性の高い情報を提供することは、あらゆる地域課題に取り組む自治体様にとってもメリットが大きいとお声を頂戴しています。
空き家対策を担う課では、それだけを専門で行っているわけではなく、幅広い業務に比較的少人数で対応されています(もちろん自治体毎に体制は異なりますが、お伺いした担当課の皆様は、多岐にわたる業務でとてもお忙しい印象です)。
さらに相続登記の義務化を控えたこのタイミングから、情報を整理して自治体様から積極的に発信していくことで、地域住民の皆様が主体的にネクストアクションをとることができるようになります。
また、WEBというチャネルを活用していくことで、すでに地域を離れた相続人に対しても多くの情報を届けることが可能になります。特に空き家率が高いエリアでは、相続人が遠方にお住まいの場合も増えていますので、より有効と考えています。
本事業は約半年前から提供を開始したばかりで、成果はこれから見ていくことになります。空き家問題には、これさえやれば解決!と言える様な画期的な解決策はなく、一つ一つの不動産に対して、根気強く原因を解消していくしかありません。空き家問題・所有者不明土地問題を少しでも効率的に解決していくために、自治体様と一緒に試行錯誤しながら挑戦していくことが、私たちの使命だと考えています。
伊藤さんの入社インタビュー記事はこちら。
【入社インタビュー】大企業からスタートアップへ、8ヶ月の副業期間を経て挑戦を決意した理由
最後に、今後の展望について教えてください!
背景に記載した通り、情報の非対称性を無くすために、必要な人に必要な情報を届けることは今後もずっと続けていきたいと考えております。そうした時に、まだ提携している自治体様が少ないため、もっともっと提携先を増やしていきたいと考えております。
同時に提携するだけではダメで、しっかりとその先の住民様に情報を届け、行動してもらうまでを考えた施策の取り組みも同時並行で続けていく所存です。
特に行動してもらうまでを考えた時には、当社単独ですべての解決はできないため、地場の司法書士事務所様との連携はもちろん、不動産を取り扱う各事業者とのパートナーシップは必要不可欠だと考えておりますので、アライアンスを深めていきたいと考えています。
この領域は高齢社会の数ある課題の中でも、医療等に比べるとどうしても闘っているプレイヤーが少ないのが実態です。だからこそ我々のようなテクノロジーの可能性を信じているスタートアップが課題に取り組む意義があると思いますし、何より課題が解決できた時の社会に与えるインパクトは相当だと考えております。
ありがたいことに、こうした思いに共感いただく方も増えチームは急拡大中ですが、目指す頂から逆算しすると取り組みたいプロジェクトはまだまだ無数に転がっているので、絶賛メンバー募集中です。
少しでもご興味を持っていただいた方は是非お話をさせてください!
岡本さん、塩原さん、伊藤さんありがとうございました!
大手事業会社や自治体との提携や各プログラムの採択実績など、急成長、急拡大中のBusiness事業部のお話でしたが、改めて本当に多岐に亘る業務に取り組んでいることが理解できました。
今回の話を聞いて少しでも面白そうと思っていただいた方は、カジュアルな情報交換からでも構いませんので、ぜひ当社までご連絡ください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。