「この人に会ってみたい」と思うスキルシートは、何が違うのか。創業1年目の経営者の視点
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先日、転職を考えているエンジニアの方とカジュアルに話していて、こんなことを聞かれました。「スキルシートって、ちゃんと読まれているんですか」。
正直な質問だと思いました。何枚も書き直して、案件を並べて、スキルに丸をつけて。それでも反応がないと、誰も読んでいないんじゃないかと疑いたくなる。気持ちはよく分かります。
私はいま採用する側にいて、いろいろな方のスキルシートに目を通します。その立場から言えるのは、読まれてはいる、ということです。ただ、書いた人が思っているほど隅々まで、丁寧には読まれていない。最初に目が止まる場所と、すっと流される場所が、はっきり分かれています。
今日は、採用する側がスキルシートのどこを見ているのかを、できるだけ正直に書いてみます。テクニックの話というより、書き方を少し変えるだけで伝わり方が変わる、という話です。
先に言っておくと、私は人事の専門家ではありません。エンジニアとして現場で働き、いまは小さな会社で採用も自分でやっている、という立場です。だからここに書くのは、洗練された採用理論ではなく、実際に何枚も読んできた一人の感想に近い。ただ、書類で止まってしまう人と、会いたくなる人のあいだには、思っているより小さくて、はっきりした差があります。その差を、できる範囲で言葉にしてみます。
経歴は、思っているほど時間をかけて読まれない
まず前提から。一通のスキルシートにかける最初の時間は、そんなに長くありません。私の場合、最初のひと目で全体を眺めて、気になったところを読み込む、という二段構えになっています。
これは雑に扱っているという意味ではありません。届く数が多いと、一枚あたりに無限の時間はかけられない。だから、最初の数十秒で「もっと読みたい」と思わせてくれるかどうかが、実は大きい。
ここで損をしている人が多いと感じます。書いてある情報は十分なのに、どこを見ればその人の強みが分かるのかが、ぱっと掴めない。経歴の密度は高いのに、印象に残らないまま終わってしまう。読み手の最初のひと目を意識するだけで、ここはかなり変わります。
具体的に言うと、上のほうに直近の経験が、ひと目で分かる形で置いてあるシートは読みやすい。逆に、古い案件から時系列でびっしり並んでいて、いまの自分が何をしている人なのかを最後まで読まないと分からないシートは、もったいない。読み手は上から下へ流すので、いちばん見てほしいものを上に持ってくる。それだけで印象がずいぶん変わります。
最初に見るのは「何をしたか」より「どう関わったか」
案件名や使った技術は、もちろん見ます。でも、そこで止まりません。私が本当に知りたいのは、その案件にあなたがどう関わったか、です。
たとえば「ECサイトの開発」と書いてあるとします。これだけだと、何も分からないに等しい。要件を決める段階から入っていたのか、設計を任されていたのか、決まった仕様を実装していたのか。テストだけだったのか。同じ「開発」でも、関わり方によって見えてくるものがまるで違います。
ここを「担当:実装」とだけ書く人と、「在庫管理まわりの設計から実装まで担当。仕様の抜けを早めに見つけて、手戻りを減らす動きをした」と書く人とでは、伝わる像がまったく違う。後者は、技術以外の動き方まで見えてきます。
役割を盛る必要はありません。むしろ等身大でいい。実装中心だったなら、そう書けばいい。大事なのは、自分がその現場で何をして、何に気を配っていたかが、読んだ人に伝わるかどうかです。
もうひとつ言うと、うまくいったことばかり書く必要もありません。困った場面で自分がどう動いたか、というのは、実はよく見られています。障害が起きたときに何をしたか、仕様が二転三転したときにどう対応したか。順調だった話より、つまずいた話のほうが、その人の地力が見えることが多い。きれいな経歴より、現場の手触りがある経歴のほうが、読んでいて信頼できます。
技術の羅列より、選んだ理由が知りたい
スキルの欄に言語やフレームワークが並んでいる。これも見ますが、数の多さで評価が上がるわけではありません。
私が気になるのは、その技術を「なぜ使ったのか」です。案件で指定されていたから使った、なのか。自分で提案して入れた、なのか。あるいは、別の選択肢と迷った末にこれにした、なのか。
理由が一行添えてあるだけで、その人の考え方の癖が見えてきます。技術は手段なので、手段を選んだ判断のほうに、その人らしさが出る。「Javaで書いた」より「保守する人のことを考えてJavaにした」のほうが、ずっと多くを語っています。
全部に理由を書く必要はありません。これは自分で選んだ、と言える場面が一つでもあれば、そこを書いてほしい。指示されたことをこなしてきただけの人と、自分で考えてきた人の差は、こういう小さな一行に出ます。
資格や数字の扱いも、同じ考え方です
資格や、関わった案件の規模といった数字を、どう書くか迷う人もいると思います。これも、あれば書けばいいけれど、それ自体が決め手になることは少ない、というのが私の感覚です。
資格は、勉強した事実は伝わりますが、現場で動けるかどうかは別の話です。だから、資格を持っていることより、その勉強を実際の仕事でどう使ったかが書いてあるほうが、ずっと響きます。取っただけで使っていないなら、無理に前面に出さなくてもいい。
規模の数字も同じです。大きな案件に関わっていたこと自体は、その人が大きな仕事をしたことを必ずしも意味しません。大人数のなかの一人だったのか、小さくても自分の判断で動ける範囲が広かったのか。読む側が知りたいのは、規模そのものより、そのなかでのあなたの立ち位置です。数字は、自分の関わりを伝えるための材料として使うと効いてきます。
自分の「強み」は、自分では見えにくい
もうひとつ伝えたいことがあります。スキルシートを書いていて、自分には書くことがない、と感じる人がいます。地味な仕事ばかりしてきた、特別なことは何もしていない、と。
でも、外から見ると、そういう人ほど書けることを持っていたりします。当たり前にやってきたことが、本人のなかで当たり前すぎて、強みだと気づいていない。納期前に必ず周りに声をかけていた、とか。引き継ぎの資料を毎回ていねいに残していた、とか。本人は普通だと思っていることが、採用する側からすると、いちばん信頼できる部分だったりします。
だから、書く前に一度、誰かに自分の仕事ぶりを話してみるのをすすめます。話しているうちに、自分では気づいていなかった強みが出てくる。スキルシートは一人で完成させるものだと思いがちですが、人に読んでもらうと、自分の見え方がよく分かります。
「盛る」と「伝える」は、まるで違う
ここは少し踏み込んで書きます。スキルシートで経歴を実際より大きく見せること、いわゆる「盛る」ことについてです。
気持ちは分かります。通過しないと次に進めない。だから少し背伸びして書く。でも、採用する側は何枚も読んでいるので、書いてあることと面談で話すことのズレには、わりと早く気づきます。そしてズレが見えた瞬間、それ以外の本当に書いてあることまで、疑って読むようになってしまう。これがいちばんもったいない。
私が信頼するのは、できることとできないことの線が、はっきり書いてある人です。「ここは経験あります、ここはこれからです」と分けて書いてある。そういうシートは、面談でも話が早いし、入った後の現場でも食い違いが起きにくい。
伝えることは、盛ることとは違います。同じ経験でも、相手に分かるように整理して、自分が何をしたかを過不足なく書く。これは背伸びではなく、技術です。そして、後から自分を守ってくれるのも、こちらの書き方のほうです。
書いていない時間にも、意外と目がいく
案件と案件のあいだに空きがある。担当範囲が狭い時期がある。誰にでもあることです。そして、そういう部分を隠したくなる気持ちも分かります。
ただ、読む側からすると、空白そのものはマイナスではありません。気になるのは、それをどう書いているか、です。
たとえば現場が一度切れた時期があったとして、その間に何をしていたか。手を動かして何かを作っていたのか、勉強していたのか、あるいは少し休んでいたのか。どれであっても、正直に短く書いてあれば、こちらは納得します。むしろ、説明のない不自然な空白のほうが、あれこれ想像させてしまう。
経歴は、きれいに一直線である必要はありません。回り道や停滞も含めて、その人がどう過ごしてきたかが見えるほうが、人として信頼できる。完璧な経歴より、筋の通った経歴のほうが、ずっと強いと感じます。
私自身、エンジニアとして働いていた頃、自分のキャリアがまっすぐ伸びている実感なんて、ほとんどありませんでした。やってみて合わなかった現場もあったし、思うように評価されない時期もあった。でも、いま振り返ると、その回り道で身についたものが、経営者になってから効いている。だから、空白や寄り道を引け目に感じている人には、それは弱点ではなく、あなたの一部だと伝えたいです。
スキルシートは、面談の入口でしかない
ここまで書いておいて何ですが、スキルシートだけで採否が決まることは、私の場合ありません。あれは、会って話すかどうかを決めるための入口です。
だから、スキルシートの役割は「自分のすべてを伝えきること」ではない。「この人ともう少し話してみたい」と思ってもらうことです。そう考えると、肩の力が少し抜けるんじゃないでしょうか。全部を完璧に書き込もうとしなくていい。読んだ人が、続きを聞きたくなる。それで十分に役目を果たしています。
私が「会ってみたい」と思うシートには、共通点があります。背伸びしていない。自分がやってきたことを、自分の言葉で書いている。技術の裏にある判断が、少しだけ見える。派手さはなくても、こういうシートは静かに信頼できる。
そして、こういうシートを書く人は、面談で会っても印象が変わりません。書いてあることと、話す内容と、その人の雰囲気が、まっすぐにつながっている。採用する側がいちばん安心するのは、この一貫性です。逆に、シートだけ立派で、会うと別人のようだと、その後の現場でも何かズレが出るんじゃないかと身構えてしまう。書面と人柄が地続きであること。これは小手先では作れない強みです。
逆に言えば、書き方を少し変えるだけで、印象は確実に変わります。案件名のあとに関わり方を一行。技術のあとに選んだ理由を一言。できることとできないことを正直に。たったこれだけで、読まれ方は変わります。
最後に。転職活動は、自分を商品のように見せる作業だと感じて、しんどくなる人もいると思います。でも本当は、自分がやってきたことを正直に整理して、合う相手を探すための作業です。盛らずに、過不足なく伝える。それができる人は、結局どこに行っても信頼されます。
私たちCodenceは、SESと、これから立ち上げる受託開発を一緒に作っていく仲間を探しています。経歴を盛らなくていい、等身大で向き合える現場を作りたいと思っています。もし、自分の経験をちゃんと見てくれる場所で働きたいと感じているなら、こちらの募集も一度のぞいてみてください。話すだけでも歓迎です。