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【代表インタビュー】M&Aバザール 代表取締役・西村淳の人生の軌跡と想い

人生最大の挫折を味わった学生時代

滋賀県大津市出身。琵琶湖まで2分という街で、地元のガキ大将として育ちました。小学校3年生から野球ひとすじ。野球ってチームスポーツのように見えて、実は局面ごとに個人が輝くスポーツで、個人の頑張りや努力が成果につながるのがすごく楽しくてハマり、中学校ではキャプテンを経験しました。

高校は県立膳所高校に入学。最大の思い出は高校最後の夏の大会。近江高校という甲子園で準優勝するような強豪校と対戦して負けたのですが、そのときの近江高校の4番バッター(後に福岡ソフトバンクホークスに入団)のスイングがとんでもなくて。キャッチャーだった僕の前でボールがピンポン玉みたいにビューンと飛んでいくのを目の当たりにして「もう、どんだけ頑張っても、こいつには勝てへんわ」と悟り、そこでプロ野球選手になるという夢はスパッと諦め(笑)、受験勉強に打ち込みました。どうせなら高い山を目指したいと京大法学部を受験。浪人もしましたが、翌年も3点足りずに落ちてしまい、関西学院大学へ進学しました。

が、ここで人生最大の挫折を味わいます。大学からアメフトを始めたのですが、関学は何度も全国優勝する大学アメフトの超強豪校で、全日本メンバーに選ばれるようなスター選手がたくさんいました。未経験からでも3年生、4年生で花開く人もいる!と4年間頑張ったものの、どうしてもレギュラーに手が届きません。注目を浴びて華やかに活躍するスター選手を横目で見ながら、「自分は何なんだろう、情けない」と悔しくてたまりませんでした。

「社会人になったら今度こそ、負けたくない」そう思っていたところ、野村のリクルーターの方から、「うち来いよ。がんばったらがんばっただけ報われるよ。」と言われて野村證券に入社。入社後はどうしても結果を出したかった、負けたくなかったので、同級生が卒業旅行やら遊びやらに浮かれている中で、一人勉強し、アメフト部引退後から入社までの3ヶ月で簿記2級とFPを取得しました。

学生時代に一番影響を受けたのは父親ですね。父も母も3歳年上の兄も兄嫁もじいちゃんも、みな学校の先生で、おまけに実家は寺子屋の跡地(笑)という教師一家に生まれました。父親は中学校の「生徒指導の先生」。地元にはヤンチャな生徒もいっぱいいましたが、彼らみんなが恐れる有名な怖い先生でした。そして、曲がったことが大嫌い。こうあるべきという自分なりの善悪の判断基準を持った正義感の強い人です。こうあるべきという信念で話す父親と、理詰めで話す僕とで喧嘩したことも度々ありますが、「正しいことをなす」という姿勢は、共通しているんだと思います。

野村證券へ入社、「お客様のためになる」ことだけをひたすら考えてトップセールスに

野村證券時代は、数字が好きで、凝り性な自分の性格を大いに生かしました。なんだかんだ「仕事量」もこなせる体力もありますし。あと、変化することが大好きなので、株式相場の上げ下げも性に合っていました。

営業部門に配属された後、毎週100件お客様に手書きの手紙「巻紙」を深夜まで書き続け、ときには25km先のお客様先へ片道2時間かけて自転車で通い、考えうるあらゆる努力をしました。その結果、1年目の営業成績は同期600人の中でダントツのトップに。ただ、入社時点では「1位になれたら、さぞかし嬉しいだろう」と思っていましたが、いざ達成してみたら「なんだ、こんなもんか」と感じました。周りから「よくやった、すごい」と言われても満足感がなく、すっかり目標を見失ってしまった僕は2年目から成績がどんどん落ちていき、とうとう4年目の成績はビリに。その頃の部長からは「もう辞めて弁当屋になれ」「体がデカいんだから引越屋になれ」と毎日言われていました(笑)

転機を迎えたのは、本店ウェルスマネジメント部に異動になったときです。本店ウェルスマネジメント部は超富裕顧客を対象としたプライベートバンキング業務を担当する部署です。野村の中でも「最強の営業マン」が集結していました。もちろん数字への意識は国内最高峰でしたが、そこで先輩方が口を揃えて言っていたのが「お客さんのためになる仕事をしろ。信頼されるアドバイザーになれ」ということ。それまで考えてもみなかったことを言われて、ハッとしました。自分はお客様のためどころか、知識も経験も少なくて、お客様の話についていくことすらできていない。アドバイザー失格だと。このままではダメだと思い、猛勉強を開始。朝は 6時に出社して仲間と勉強会、終業後はほぼ毎日飲みに行き、よく新宿二丁目の「ジェンダーフリー」な飲み屋さんに連れていかれましたが、家に帰って夜中に資格の勉強をし、宅地建物取引士と日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)を取得。TOEICも280点から870点までスコアUPさせ、英語のニュースや投資レポートが読めるようになりました。

そして、1年経ち、2年経つうちに、徐々にアドバイザーとしての知識が身についていきました。日本で最高峰の超富裕層顧客に対して有意義かつ具体的な提案ができるようになりました。結果、営業成績も上がっていきました。このころから、こちらからガツガツセールスしなくても、お客様が自分のアドバイスを信頼し、みずから進んで商品を購入してくださるようになってきました。

お客様があるべき姿になるために、必要なことをアドバイスし実行のサポートをする。すると、お客様の目の色がガラッと変わって、喜んでいただけるのです。結果、勝手に営業成績が上がるという循環です。当時の上司が言っていた「ホワイトボードに自分が数字を書くのではなく、お客さんに数字を書いてもらいなさい」という言葉が腑に落ちた瞬間です(野村では毎月の営業実績をホワイトボードに書いて管理していました)。

そして、最後は2期連続で社長賞を受賞し、いわゆる「野村のトップセールス」になりました。そして、このときようやく思ったんです「ああ、これが僕が本当に望んでいたものだ」と。入社1年目に同期の1位になったときには得られなかった満足感と高揚感がありました。

もっとお客さんの役に立つアドバイザーになりたい、そのためにレベルアップしたい。そう考えて30歳超えてから公認会計士資格を目指すことに。家族の支えもあり2年半がかりで資格を取りました。こうなると、あらゆる専門家とも、事業・金融・会計・ファイナンス・企業法・税務・不動産といった分野では同じ知識レベルで会話ができるようになり、お客様からの信頼度がさらに上がりました。多くの超富裕層顧客から「野村辞めてうちに来てよ」とよく言われました。

M&A業務に本格的に携わるようになったのは、この公認会計士資格を取ってからです。それまでもお客様の求めに応じて、M&Aのマッチングなんかはやっていたのですが、FA業務をやるのはここからです。公認会計士になるには、日本公認会計士協会への名簿登録が必要で、登録要件として2年の業務補助経験を積まなくてはなりません。この要件を満たす業務が社内では企業情報部のM&Aの株価算定業務でした。野村の企業情報部は、国内最大のM&Aアドバイザリーチームです。行きたくてもなかなか行けない花形部署ですが、「リテールのトップセールスが仕事しながら会計士資格を取るなんて聞いたこともない。やりたいようにやってください」と人事に太鼓判を押され、異動が叶いました。

業界で主流のM&A形式に疑問を抱き、アドバイザーのあるべき姿に戻るべく起業を決意

M&A業務に携わるようになって、再び転機が訪れます。ここで、当たり前だと思われてきたM&Aのやり方に大きな疑問を抱き、起業を決意することになったのです。

中小企業M&Aのやり方には、『仲介形式』と『FA形式』の2種類があります。『仲介形式』は、M&A仲介会社が売主・買主に両方と契約してM&Aを成立させる方法です。不動産業者がマンション購入者とマンション売却者を仲介する不動産契約をイメージするとわかりやすいと思います。一方、『FA形式』は、ファイナンシャルアドバイザー(FA)が売主とのみ契約してM&Aの成立に向け助言する方法です。イメージとしては弁護士業務やメジャーリーガーの交渉代理人といったイメージです。野村證券は『FA形式』を採用していますが、中小企業M&Aの領域では『仲介形式』が主流です。仲介形式を採用する専業のM&Aブティックも多く、上場している会社も複数あります。

その『仲介形式』の問題点は、”利益相反”にあります。少し難しい話をしますが、M&Aでは「できるだけ高く売りたい」という売主と「できるだけ安く買いたい」という買主が交渉するため、お互いの利益が一致しません。これを利益相反と言います。

利益相反自体はごく当たり前なのですが、「仲介形式」を採用するアドバイザーは、この相反する2当事者の両方と契約し手数料をもらうことから、結果、売り手・買い手のどちらの味方にもなれません。売り手経営者は「高く売りたい」のに、高く売るサポートができない仲介形式を採用しているのです。

私が企業情報部時代に気づいた社会課題は、この『仲介形式』のデメリットを知らずに契約してしまう売主さんが多いこと。その結果、本来の評価額よりも安い金額で自社を売却してしまう売主が多いことです。

顧客のためにベストを尽くす。それが野村證券時代に尊敬する諸先輩方から叩き込まれ、自らも体現してきた「アドバイザーのあるべき姿」です。仲介形式は”お客様のための仕事”と100%言い切れるのか? 生来の正義感がむくむくと湧き起こって、どうしても抑えきれなくなりました。

『FA形式』を採用している野村證券として何かできないか、社内の各方面に相談しましたが、答えは「難しい」。ならば、自分でやるしかない。そうして、12年半勤め、自分を大きく成長させてくれた野村證券を退職し、2023年1月に株式会社M&Aバザールを設立したのです。

大胆な発想の転換で誕生した、完全無料のマッチングサービス『M&A検診』

M&Aバザールが提供する『M&A検診』は、これまでにない、まったく新しいM&Aの仕組みです。社内データベース上で売却希望者と買収希望者をマッチングする新型のM&Aマッチングサービスです。売り手も買い手も”完全無料”で利用でき、売り手は買い手候補を実名で複数紹介してもらえるというのが2大特長です。

ここには、従来型のM&Aサービスとは大きな「発想の転換」があります。そもそもM&A前の売主の最大の関心は、「当社を買ってくれる企業を教えてほしい」ということ。これに対し、M&A業者は「当社と契約してくれれば、こちらで買手候補を探して教えてあげますよー」というやり方です。つまり、先に契約して、そのあと売主と買主をマッチングさせるという流れになります。契約後でないと買手の企業名は教えてくれません。

『M&A検診』はこの逆で、アドバイザーと契約する前に、弊社データベースでマッチング行い、売主には買主候補の企業を実名でお伝えします。その後、価格交渉等でサポートが必要な場合、当社が紹介するファイナンシャルアドバイザーとアドバイザリー契約(これは有料)を結びます。そして、当社は紹介したアドバイザーから紹介手数料をキックバックいただくというビジネスモデルです。

やっていることは何か?それは従来の「契約→買い手候補紹介」から、「買い手候補紹介→契約」へと順番を入れ替えていることです。たったこれだけで、『仲介形式』における利益相反の問題が解消できます。

マッチングが完了している売り手は、「買い手候補を紹介してほしい」というニーズがありません。あるのは、「自分にとってベストな条件を獲得してくれるような交渉のサポートをしてくれる業者に相談したい」というニーズのみです。結果、仲介形式の特徴である「売り手・買い手両方の顔を立てるブローカー」を選択する理由が無いのです。とてもシンプルですが、これまでこのような発想は世の中にありませんでした。当社は、この発想で「自然」と「お客様が勝手に」利益相反を回避する仕組みを作るものです。買手の立場からしても、「マッチングしているのに何でマッチング業者である仲介会社と契約するの?」となるので、買い手の方も利益相反に巻き込まれることはありません。なお、紹介だけしてもらい、後は自力で交渉するという売主も利用OKです。それはそれで買い手が喜びますので。

マッチングに関しては、当社担当者が売り手の「匿名情報シート」を作成し、買い手データベース登録企業に対して、1件1件直接買収意向を確認しに行きます。そして「関心ある」と回答した買い手企業候補の「実名」を売り手に紹介いたします。が、売り手も買い手も完全無料。着手金・中間金はもちろんのこと成功報酬すら一切かかりません。「アドバイザリーという本来あるべき姿でお金をいただく。そのためマッチングは無料。」というのが私たちの考えです。現在、当社のコンセプトに賛同し、買主データベースに登録いただく買い手企業が「とてつもないスピード」で増加しております。買い手からすると無料で案件紹介してもらい、その後M&A成立したとしても費用無料というのはメリットしか存在しません。当社はマッチングの中立性を担保するためにも、買い手企業から「びた一文」たりともお金はもらいません。

よく言われるので補足しますが、私は仲介会社が悪いと言っているのでは決してありません。仲介会社でご活躍の方はみな、売り手経営者の心の機微をご理解されており、非常に満足度の高い顧客サービスを提供されていらっしゃいます。問題はあくまで『仲介形式』だと考えております。当社のようなサービスが今まで存在しなかったから、良質なマッチングを提供するために仲介形式でやらざるを得なかっただけです。『M&A検診』を利用すれば自然と『FA形式』を選択することになるため、『M&A検診』が広まれば仲介会社も『FA形式』へシフトするでしょう。仲介ができてFAはできない、という業者さんは本質的に皆無だと考えております。その意味で、現在『仲介形式』で仕事をしている仲介会社も大切な仲間だと考えています。

5年後は『FA形式』がメジャーになって、M&Aを考える売主にいつでもたくさんの選択肢が与えられているような社会を目指したい。そうすれば、現在30%と言われているM&Aの成約率を50%、60%に上げることができ、アドバイザーの業務効率を高められます。成約率が倍になるのであれば、報酬が「片手取り」になっても良いはずです。弊社はマッチング機会の少なさがM&A件数の少なさにつながっていると考えておりますので、M&A検診によって事業承継問題の解消やベンチャー企業のEXIT方法の充実につながるはずです。

10年後には『M&A検診』の海外展開を進めます。さらに20年後には私たちは投資銀行を目指します。私が投資銀行出身だからなのかもしれませんが、現在の投資銀行業務も非常に「不都合」が多いと理解しております。これらを解決し、新しい投資銀行像を作っていきたいと思っています。

この事業は、誰でもなく私こそが先頭に立ってやらなければならないと考えております。野村證券でリテールのトップセールスになり、M&Aの部署でファイナンシャルアドバイザー業務を体得し、公認会計士資格を取ったというキャリアを持つ自分だからこそ「不都合」に気づけた事業だからです。

大事なのは誠実であること。心に曇りなく顧客に尽くすことができる人と共に働きたい

当社では、今後の企業成長に向けて、さまざまな職種の方を採用する予定です。

採用で重視するのは、誠実であること。お客様が満足すれば利益は後からついてくるという考えの会社ですから、目の前のお客様のために真摯に仕事ができる人を求めます。

M&A業界によくある「営業インセンティブ」を採用する気はありません。私自身、野村の営業で鍛えぬいた「最強クラスの営業マン」です。営業のことは熟知しているつもりですが、人間鍛えれば誰でも営業成績というのは出せます。なんでも売れます。だからこそ、売る側は「何を売るべきか」という点について真摯にならなければいけません。お客様にとって真に必要なサービスを提供するという「売る側のプライド」が大事なのです。仲介事業は「M&Aの成立」が至上命題であるため、「M&A成立の手数料」が営業マンの貢献度としてインセンティブの評価基準になるのが是認されると思います。一方、当社はアドバイザーの会社です。お客様にとってのベストを実現するというのがアドバイザーの責務です。この責務に対して「売る側のプライド」の観点を当てはめると、「売り手にとってベスト=手数料収入」でないため、そういったインセンティブを採用しないのです。

ぜひ当社で、お客さんのために働いてください。心に曇りなく顧客に尽くしてください。当社のお客様は企業経営者であることから、ちゃんと仕事すればちゃんと報酬をくれます。その報酬をチーム全体が享受できるよう報酬設計をするつもりです。

社是は『顧客とともに栄える』『仕事を通じて誠をなす』の2つ。今までなかった試みでM&A領域に新しい世界観を作ろうとしている会社なので、ベンチャースピリットは必要ですが、高い倫理観で仕事をし、お客様と共に栄える仕事をしてほしいと考えます。

正しさの基準は人それぞれですが、当社の考える正しさというのは、お客様のベストなM&Aを実現すること。この思いに賛同してくれている企業、アドバイザーの輪が確実に大きくなっています。

また、誰もやったことがない事業ですから、当社で仕事をすれば確実に「何か」の第一人者になれます。日々多くの売主・買主と接して課題をヒアリングし、『M&A検診』に反映させて、より良いプロダクトに進化させていく。大変だけれどワクワクするような過程を一緒に一緒に楽しんでくれる人と働きたいですね。

M&A業界にいて従来のやり方に違和感をおぼえている人、これまで金融業界で働いていて仕事のあり方に疑問を感じた人、士業の資格を取ったけれどやりたい仕事ができていないと感じている人。それぞれ当社で活躍の場があります。ぜひ一緒に業界に新風を吹かす事業にチャレンジしてください。

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