はじめに
みなさんは普段、道路を使っていますか?多くの方は毎日道路の上を歩いたり、車に乗ったりして移動していると思います。また、インターネットで買ったものはトラックが道路を使って運んでくるでしょう。道路がなければ人も物も移動することができません。身近で当たり前に利用している道路は、人々の生活に欠かせないものです。
では、その道路はどうやって作られるのかご存じでしょうか?道路が新しくできるまでの過程は、あまり想像したことがない人も多いかもしれません。
重機で地面を固めて舗装して…その通り!ですが、工事をする前に設計図が必要です。どんなルートで、どのくらいの道幅で・・・など、どのような道路の構造を決めておかないと、工事もできません。そして、道路の設計図を作るためには、まずその道路にどのくらいのニーズがあるかを知らなければなりません。需要がなければ作るだけ無駄になってしまいます。
そこで、今回ご紹介する「交通量推計」の出番です!交通量推計を行うことで、道路ができた場合にどのくらいの利用が見込まれるか(→ニーズ)を把握します。また、交通量推計結果を使って、その道路が周辺環境にどのような影響・効果をもたらすかを検討することもできます。私はこの「道路を設計する前の段階」を業務で担当しています。
交通量推計の流れ
交通量推計を実際どのように行っているのか、簡単にご紹介します。ここでは、私が担当している自動車の交通量推計について取り上げます。
交通量推計は、現実の道路をコンピュータ上で仮想的に再現し、シミュレーション計算をすることで実施しています。流れとしてはこんな感じです。
(1) モデル化
現実の道路や空間をコンピュータで再現し、計算を行うために、モデル化します。
・道路
道路と交差点を線と点で表現します。この線に自動車を走らせます。それぞれの道路には延長、速度などの情報を持たせ、自動車が増えると速度が低下する(=渋滞発生)といった現象を再現します。
・地域
「東京都千代田区神田三崎町」のように、ある程度のまとまりを1つの地域として表現します。この地域どうしを出発地・目的地として、自動車に走ってもらいます。
・ルート選択のルール
みなさんはどこかへ行くときに、どんなルートで移動しますか?
早く目的地に着きたいとか、お金をかけずに移動したいとか、景色のいい道を通りたいとか、人それぞれあると思いますが、交通量推計ではルート選択のルールを決めて、全員同じルールで走ってもらいます。
(2) シミュレーション計算
モデル化したデータを用いて、実際に(コンピュータ上で)自動車を走らせて、シミュレーション計算を行います。計算結果から、こんなことがわかります。
・交通量
それぞれの道路に何台の自動車が走ったかわかります。
・移動ルート
どんなルートで出発地から目的地まで移動したかわかります。
・移動速度
どのくらいの速度で走行できたかわかります。
(3) 結果の分析
シミュレーション結果を使って、分析を行います。
・新しく道路ができるとどんないいことがあるのか?
・周りにどんな影響をもたらすのか?
といったことを考えていくのですが、長くなってしまうのでそれについては次回の更新にご期待ください!
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも道路に興味を持ってもらえたら幸いです。