当社が提供しているのは、保管と配送だけではありません。物流業務全体を一つのプロセスとして捉え直し、誰が作業しても同じ品質で運用できる仕組みを設計・構築することも、当社の事業領域です。
あるメーカー様の製品をお預かりしている倉庫での取り組みをご紹介します。
■ 事例概要
取扱品目:約560品目 / パレット数:約1200枚
1日の出荷量:最大約50行・約1,500ケース / 倉庫作業人員:5名~7名
■ 現場の状況
お客様の自社物流を人手不足を理由に当社が引継ぎ、この規模の運用を紙の帳簿と作業者の経験に依存した状態で行っていました。
■ 4つの課題
①記録の遅延による在庫差異
入出庫を紙の帳簿に記録し、事務所に戻ってからまとめて入力する運用のため、システム上の在庫数と実在庫にずれが生じやすい状態でした。
②先入れ先出しの確認が目視のみ
食品は製造日の古い順に出荷する必要がありますが、確認は作業者の目視のみ。繁忙時間帯ほど取り違えのリスクが高まります。
③荷主様システムへの二重入力
実績報告を荷主様のWMSへ手入力していたため、工数の増大と入力ミスが発生していました。
④属人化した引当作業
出荷指示書(PDF)を見て、どのパレットから出庫するかを作業者が経験で判断。ベテランに依存する構造となっており、応援スタッフへの委譲が困難でした。
■ 課題を構造で捉える
これらの課題は、個々の作業ミスではありません。
「記録が遅れる」「確認が目視に頼る」「入力が二重になる」「判断が属人化する」
いずれも業務設計そのものに起因する構造的な問題です。
したがって、作業者への注意喚起や教育の強化では解決しません。業務の流れそのものを再設計する必要がありました。
私たちが目指したのは、単に紙をデジタルに置き換えることではありません。
入庫、保管、在庫管理、引当、ピッキング、出庫、実績報告まで、物流業務全体を一つの流れとして捉え直し、「誰が作業しても、同じ判断・同じ品質で運用できる仕組み」へ再設計することでした。
■ 構築した仕組み
①入出庫記録のリアルタイム化
パレット単位で識別札を付与し、スマートフォンでの読み取りによって入庫・出庫・ロケーション移動を記録。作業と同時に在庫と履歴が更新される運用に変更しました。
②先入れ先出しの自動制御
古い製造日の在庫が残存している場合、新しい製造日のパレットは出庫できない仕組みとしました。作業者の注意力ではなく、システムによる制御で品質を担保します。
得意先から製造日指定がある場合のみ、責任者の承認により出庫を許可します。
③出荷指示の自動引当
荷主様から届く出荷指示を取り込み、製造日順・移動効率を考慮して在庫を自動引当。ピッキングリストを出力します。引当結果は確定前に管理者が確認します。
④出荷進捗の可視化
その日の出荷指示の進捗をリアルタイムで表示。締め時刻を超過した未完了分は警告表示され、欠品・通過品も区別して管理します。
⑤荷主様WMSとのデータ連携
入出庫実績を荷主様WMSの取込形式で出力。手入力による実績報告が不要になりました。
■ 導入プロセス
現場稼働を止めずに、段階的に移行しました。
第1段階として、在庫登録と識別札による入出庫記録から開始。現場からの意見をもとに、表示内容や操作手順を日次で改善しました。
第2段階で出荷指示の取り込みと自動引当、ピッキングリスト出力を接続。
第3段階として荷主様WMSとのデータ連携を確認し、入庫・出庫双方の実績連携が可能であることを検証しました。
■ 導入後の変化
記録が作業と同時に完了するため、帳簿からの転記作業が消滅しました。
先入れ先出しはシステムによる制御となり、作業者の目視確認に依存していた取り違えリスクを大幅に低減しました。
出庫対象と数量が画面に表示されるため、経験の浅いスタッフでも同一品質での作業が可能になりました。
実績報告はデータ連携により完結し、手入力工数がゼロになりました。
■ 当社の考え方
私たちは、物流会社の役割を「荷物を保管すること」「荷物を運ぶこと」だけだとは考えていません。
入庫、保管、在庫管理、ピッキング、出庫、配送、実績報告まで、物流全体を一つのプロセスとして捉え、より正確に、より効率的に、そして誰でも同じ品質で運用できる仕組みをつくることも物流会社の重要な役割だと考えています。
そのために、現場のオペレーションを深く理解し、課題を構造化し、業務フローを再設計する。必要であれば、その業務を支えるシステムまで自社で構築する。
保管・荷役・配送という「物流の実行」と、業務設計・システム構築という「物流の仕組み」を一気通貫で提供できることが、当社の強みです。
■ お問い合わせ
在庫精度、作業品質のばらつき、報告業務の工数など、物流に関する課題がございましたらお気軽にご相談ください。