株式会社パートナープロップは、「パートナーが売れるを科学する」ことをミッションに、パートナーマーケティングを実現するPRMツール「PartnerProp」を提供するSaaS企業です。リリース1年でシリーズAに到達し、累計9億円の資金調達を実現するなど急成長中のスタートアップとして、パートナービジネスという未開拓市場で新たな価値創造に挑んでいます。
今回は、海外でのPM経験や日本での起業、大手外資系企業での事業開発、ベンチャー企業でのVPを経て、パートナープロップに新たな挑戦の場を求めた横堀さんにインタビュー。多様な経験を積んだ彼がなぜパートナープロップを選んだのか、その背景にある想いと、これから描く未来について語っていただきました。
横堀 康人 / パートナーマーケティング責任者
高校卒業後に単身渡米を決意し、アメリカの大学で都市計画を専攻。卒業後、現地でPMとしてキャリアをスタート。帰国後はデザイン会社を起業し、事業売却を経験。その後、アマゾンジャパンなどの大手外資系企業でPM、BizDevとして事業開発に携わる。直近ではSaaSベンチャーのVPとして経営にも参画し、M&Aを経験。2025年、パートナープロップにジョインし、パートナーマーケティング責任者として新たな市場創造に挑む。
渡米、起業、大手・スタートアップ。多様な経験を積み、世界を広げる
ーーまずは横堀さんのこれまでのご経歴について教えてください。
私の原点は、高校2年の時に短期留学でアメリカへ行ったことですね。それまで知らなかった世界、例えば、ホストファミリーが学校に通わず家庭で学ぶ「ホームスクール」を実践しているなど、見るもの聞くもの全てが新鮮で、「世の中はこんなにも広いのか」と強烈な刺激を受けました。
このままではいけない、もっと知らない世界を見なければという一種の危機感のようなものを感じ、日本の高校卒業後、すぐアメリカへ渡ることを決意しました。周囲の反対もありましたが、三者面談で「アメリカの大学へ行くので、進学の勉強も就職活動もしません」と宣言して(笑)。今思えば無謀でしたが、その時の両親と先生が後押ししてくれたことには本当に感謝しています。
ーー単身でアメリカに渡り、そこから大学進学というのは並大抵のことではなかったと思います。
そうですね。渡米当初は何も決まっていなかったので、まずは語学学校に通いながら、現地の大学を自分で探し、入学試験の準備を進めました。現地に頼れる身内や友人もいませんでしたから本当に全て一人でやらないといけない状態でしたね。
約1年ほどでなんとか大学に入学することができ、元々はインテリアデザインや建築に興味があったのですが、よりスケールの大きな、何十年単位で続くようなプロジェクトに関わりたいと考え、最終的には都市計画を専攻しました。
ーー大学卒業後は、現地でキャリアをスタートされたのですね。
はい、そのままアメリカで就職し、プロジェクトマネージャーとしてのキャリアを歩み始めました。日米企業の新規プロジェクト立ち上げなどを、伴走しながら支援する役割です。驚いたのは、オンボーディングといったものがほとんどなく、空いている席に案内されて「今日からここが君の席だ」と。あとは目の前の仕事を自分で見つけて進めていくというスタイルでした。まさにトライアンドエラーの連続で、仕事の輪郭を自分で模索しながら掴んでいく日々でしたね。
ーーその後、日本へ帰国されてからも精力的に活動されていますね。
日本でのキャリアを考え帰国し、まずは友人に誘われる形でデザイン会社を起業しました。私はデザイン業務以外の全てを担当していましたね。二人三脚で会社を運営し、約3年後に事業を売却。その後はいくつかの外資系企業でPMやBizDevとして経験を積みました。
ーー外資系企業の中の一社、アマゾンジャパンでの学びが大きかったとか。
ここで得たものは、今の私の仕事観にも大きな影響を与えています。特に印象的だったのは、徹底されたドキュメント文化ですね。パワーポイントは原則禁止で、全ての提案や報告はワード形式の文章でロジカルに記述する。これにより、思考を深く整理し、誰が読んでも理解できる形で伝えるスキルが格段に向上しました。
そしてもう一つ、アマゾンの根幹にある「カスタマーオブセッション(顧客第一主義)」という哲学です。それまでも漠然と「顧客のために」という意識は持っていましたが、それが明確な行動指針として言語化され、日々の業務のあらゆる判断基準となることを体感しましたね。
ーーその後、SaaSスタートアップでもご活躍されていますが、そこではどのような挑戦があったのでしょうか?
建築・土木業界向けのSaaSを提供している企業に参画し、BizDevにおけるVPとして、セールスからマーケティング、カスタマーサクセスといった事業サイド全体を統括。経営メンバーとして全社戦略にも深く関与しました。
リソースが限られたスタートアップ特有の環境下で、チーム全体の力をいかに引き出し、事業を成長軌道に乗せるかという点には日々知恵を絞りました。個人の力だけでは限界があるため、メンバーと真摯に向き合い、共に成果を生み出すことの難しさと、その重要性を改めて痛感する毎日でしたね。シードラウンドの状態からシリーズAレベルに匹敵するほどの収益規模へと事業を牽引し、最終的に上場企業へのM&Aを実施できたことは、私にとって非常に価値のある経験となっています。
パートナープロップに感じた、これまでにない“刺激”と“ワクワク感”
ーー輝かしいキャリアを積まれた後、パートナープロップへの入社を決められたのは、どのような経緯だったのでしょうか?
SaaSスタートアップのM&Aを実施した後は、いくつかの企業で業務委託として働きながら、少し休息期間を設けていたんです。正直なところ、ある程度ビジネスの型が見えてきて、少し「飽き」を感じていた部分もありました。売上をどう作り、どう伸ばしていくか、その再現性がある程度見えてしまうと、新しい刺激が欲しくなる性分でして(笑)。
そんな時、エージェントの方から「面白い企業がある」とパートナープロップを紹介されました。ただ、最初は「パートナービジネスを科学する」という事業内容が正直ピンときていなくて。代理店営業というものは知っていましたが、それをSaaSで効率化し、エコシステムを創るという発想は、私の中にはありませんでしたね。
ーーピンとこなかった状態から、入社を決意するに至った「決め手」は何だったのでしょうか?
代表の井上と話す中で、そして自分自身でもこの市場について調べるうちに、その「分からなさ」が「面白さ」に変わっていったんです。
CRMやMAといった領域は既に多くのツールがあり、ある程度科学されています。しかし、パートナービジネス、アライアンスといった領域は、こんなにも大きな市場なのに、まだ誰も体系化できていない「ごっそり穴が開いている」状態だと気づきました。これはまさに「最後のフロンティア」だと。 単にSaaSの売上を上げるという話であれば、正直、食指は動かなかったと思います。でも、パートナープロップがやろうとしているのは、「パートナーマーケティング」という新しい概念を市場に広め、世界観を創り、エコシステムを構築していくこと。この「まだ答えのない問いに挑む」という壮大なチャレンジに、心が躍りました。売上を作る以上に難しく、だからこそ面白い。飛び込まない理由がありませんでしたね。
新たな概念で市場を創る。パートナープロップでの挑戦と未来
ーー横堀さんはパートナープロップでどのような役割を担っていくのでしょうか?
セールスフォースがCRMという概念を創ったように、「パートナーマーケティング」そして「PRM」という概念を市場に確立し、パートナープロップを中心とした経済圏、エコシステムを構築していくことだと理解しています。非常に大きな目標ですが、何から手をつければいいのか、ワクワクしながら日々考えています。
ーーその「エコシステムを構築する」ために、具体的にどのようなアクションを考えていらっしゃいますか?
まず重要なのは、「共創」という考え方を発信していくことだと考えています。パートナービジネスは、メーカー、パートナー、そしてその先のユーザー、関わる全ての人にとってメリットがある「三方良し」のモデルであり、誰も損をしない仕組みです。この「全方位味方」という価値を正しく伝え、認知を変えていくことが第一歩。パートナープロップというツールは、そのプロセスを透明化し、最適化するためのものであり、決して怪しいマジックではありません。この点をしっかりと情報公開し、市場全体の理解を深めていく必要があると感じています。
ーーPRM市場の将来性や規模感については、どのようにお考えですか?
市場規模は約18兆円とポテンシャルは非常に大きいと感じています。私自身アンテナを張っているからかもしれませんが、日々、この領域への引き合いの強さを肌で感じています。特に現代は人手不足が深刻で、SaaS業界も例外ではありません。
直販部隊の採用・育成が難しくなる中で、どうやって事業をスケールさせていくか。その答えの一つが、パートナーとの連携強化によるエコシステムの力だと考えています。時代背景やビジネス環境の変化が、まさにPRMという市場を後押ししているのではないでしょうか。
企業の成長を牽引し、パートナーマーケティングの第一人者へ
ーーパートナープロップの代表や組織については、どのような印象をお持ちですか?
私が次に働くなら、CEOが誰よりもプロダクトと市場に詳しく、圧倒的な知見を持っている企業が良いと決めていました。
その点で、代表の井上は、パートナービジネス・アライアンスに関して群を抜いた経験と知識を持っています。彼の右に出る者は社内にいない、そう断言できるほどの専門性。これはスタートアップにとって非常に大きな強みですし、私がパートナープロップにジョインした大きな理由の一つです。彼のようなリーダーがいるからこそ、この大きな挑戦に安心してついていけると感じています。
ーー横堀さんの今後の目標、パートナープロップで成し遂げたいことを教えてください。
会社を成功させ、大きく成長させることが最大の目標であることは言うまでもありません。その上で、個人的な野望としては、「パートナーマーケティングといえば横堀」と、業界で最初に名前が挙がるような存在になりたいですね。
「ザ・モデルといえば福田さん」のように、この新しい領域の第一人者として認知される。それは、パートナープロップという会社が市場をリードしている証でもあると考えています。それくらいのインパクトを残せるよう、全力で取り組んでいきたいです!