子どもに、自分の仕事を誇らしく話したい──。
そんな想いから、15年間勤めた市役所を離れ、LOCUS BRiDGEに転職した増田悟さんを取材。
新しい環境での戸惑いと葛藤、それでもなお続く「誰かの力になりたい」という想い。インタビューでは、地域へのまなざしとご自身の変化、そしてこれからの挑戦について、静かに、力強く語ってくれました。
増田 悟(合同会社LOCUS BRiDGE ふるさと納税 マネージャー)2008年埼玉県羽生市役所へ入庁。約15年間の職員時代の中で、広報担当として8年在籍。在籍中には広報紙作成を内製化・全面リニューアルし、埼玉県広報コンクール広報紙部門で特選等を数度受賞。2023年12月より現職。
5年間の公務員生活を経て、転職を決意した理由
新卒で埼玉県羽生市に入庁し、そこから15年半公務員として仕事をしてきた増田さん。2人のお子さんを育てるお父さんでもあります。
「入庁して最初の2年は福祉課、そのあと8年間が広報課、次の3年が税務課で、最後の1年半が子育て支援課でした。広報課の時にLOCUS BRiDGEの共同代表を務める黒瀬さん(*1)、林さん(*2)と接点がありましたが、部署移動してからはなかなかお会いする機会もない状態だったんです」
15年の公務員人生の中でも、色濃く増田さんの心に残っていたのはまさに “広報課” 時代。
「正直、広報課を離れてからは燃えるような気持ちが持てず、ただただ忙殺されている感覚がありました。広報課の時の、市役所の外に出て地域の人たちと出会い、それを表現する仕事が楽しくて。『やっぱりああいう仕事がしたい』そう思っていた時に、偶然、黒瀬さん、林さんと再会しました」
それは本当に偶然で、別の仕事で羽生市役所を訪れていた黒瀬さんと林さんをたまたま見かけて、追いかけて、声をかけて。たった数分間の会話でしたが、イキイキと働く2人の姿に市役所での働き方に悩んでいた増田さんは心が動かされていきます。
「とはいえ、転職するのは本当に大きな決断でした。子どもが2人いて、公務員という立場を離れるのは苦しかった。最初は家族の理解も得られませんでした。でも『後悔しない生き方をしたい』と思った時に、自分は『LOCUS BRiDGEで挑戦したい』と確信したんですよね」
転職後は “悔しさ” を感じてばかり。努力できるのはメンバーと研修の存在
「子どもたちに『パパはこういう仕事をしているんだよ』と、胸を張って言える仕事をしたかったんです」そう話す増田さんの大きな決断。決して楽な道ではないことは、当時の葛藤にも、今の葛藤にも、誠実に向き合う増田さんだからこそ、その姿勢や表情から滲み出ます。
「LOCUS BRiDGEに入ってからも試行錯誤、学ぶことばかりです。他のメンバーは事業者さんとの向き合い方が本当にうまくて。自分の至らなさを毎日感じて、悔しさもあります」
公務員として活躍してきた増田さんですが、ふるさと納税業務は初挑戦の領域。ふるさと納税は膨大な知識量に加え、写真や文章のスキル、自治体の担当者さんや地域の事業者さんとのコミュニケーションなど、多方面での能力が求められる仕事だからこそ、何度も壁にぶつかりながら今なお進んでいると増田さんはいいます。
「LOCUS BRiDGEには年齢関係なく、熱意もスキルもあるメンバーが本当に多くて、見習うところばかりです。自分なりには必死になってやってきたつもりですが、自分よりも汗をかいて事業者さんたちに向き合っているメンバーがいることを知って、自分ももっともっと事業者さんたちと向き合おうと思っています」
中でも、定期的に外部講師をお呼びしてLOCUS BRiDGE内で行われる社内研修で、増田さんには大きな発見と、新たな目標ができたのだとか。
「最近の研修で『地域を安売りしない』という話がありました。黒瀬さんもよく話してくれますが、事業者さんの思いや社会への貢献をどう表現していくかが大事だと。
ふるさと納税を通じて出会う事業者さんの中には『もっと評価されてもいいのに』と感じる方が多くいます。素材が良くても、パッケージや伝え方が惜しいと感じる機会が何度もあって。そういう事業者さんたちに対して、自分たちの知識やスキルを活かしながらも、見せかけのデザインでなく、意味のある表現・伝え方をしていきたいと思っています」
変わりゆく組織、変わらない“根っこ” は地域への真摯さ
事業者さんとの信頼関係を大事に、地域に根ざして活動しているLOCUS BRiDGEだからこそ、地域を安売りせず、時間をかけてでも事業者さんの思いを汲み取った発信をしていきたいと話す増田さん。そんな地域や事業者さんへの熱き思いは、LOCUS BRiDGE全体に浸透している文化だといえます。
「自分が入った1年半前よりも会社が大きくなってきて、いろんな挑戦ができるようになったり、多種多様なバックグラウンドの人を受け入れる余地が生まれてきたりしているなと感じます。
元公務員が多い会社ですが、民間企業出身者の視点や新しい知識が掛け算されていくことで、他の企業にない強みになると思っていて。これからさらにいろいろな人と出会い、一緒に切磋琢磨できることが楽しみですね」
悩んでも、しんどくても、それを糧に前向きに進んでいきたいんです」
増田さんの言葉からは、地域に対する真摯なまなざしと、仲間を信頼し、自らも学び続ける姿勢が伝わってきます。
LOCUS BRiDGEには、それぞれの想いを持った多様なメンバーが集い、それぞれの言葉で “地域と向き合う” 日々を積み重ねています。あなたの言葉で、あなたらしい働き方を、この場所で見つけてみませんか?
(*1) 黒瀬 啓介合同会社LOCUS BRiDGE 代表社員/CEO/2000年長崎県平戸市役所に入庁。教育委員会、広報、税務、企画、ふるさと納税などを担当。広報時代には長崎県広報コンクール広報紙の部5年連続最優秀賞受賞、2008年全国広報コンクールの広報紙の部(市部)で入選。ふるさと納税担当時代には、2014年寄附金額日本一を達成。その後、ふるさとチョイスを運営する株式会社トラストバンクへ民間出向し、ふるさと納税エバンジェリストとして自治体や事業者の支援を行う。2019年に独立。2022年、株式会社UIの代表取締役にも就任し鹿児島県徳之島町で高級ヴィラ「YUUNA-結那-」の運営を行う。
(*2) 林博司さん合同会社LOCUS BRiDGE 代表社員/COO/共同代表慶應義塾大学在籍時に元総務大臣片山善博氏の研究会1期生として地方自治を専攻。2010年埼玉県北本市役所に入庁。情報・広報・財政を経て、シティプロモーション・ふるさと納税担当へ。シティプロモーションでは、まちへの3つの意欲(推奨・参加・感謝)を高める取組み「&green」で、全国広報コンクール内閣総理大臣賞を受賞。ふるさと納税では、市民提案型ふるさと納税クラウドファンディングの創設、寄附の使い道にシティプロモーションを設定するなど、寄附を地域に活かす仕組みづくりを実施。その他、2022年パブリシンク株式会社設立。