今回取材をしたのは、市役所の会計年度任用職員として「ふるさと納税業務」に携わり、5億から10億へと寄付額を押し上げた経験を持つ大門 千津さん。
現在はLOCUS BRiDGEの伊豆営業所でマネージャーとして、地域の事業者さんと伴走する日々を送っています。
「ただお金を集めるだけじゃない、地域にどっぷり浸かるLOCUS BRiDGEの仕事ぶりに惹かれた」と語る言葉の背景には、彼女の強い責任感と、“悔しいからやってやる” というまっすぐな姿勢がありました。
LOCUS BRiDGEで数字と現場、両方に向き合うその仕事観を伺いました。
大門 千津(合同会社LOCUS BRiDGE マネージャー)大学卒業後、大手英会話スクールに勤務。その後結婚を機に静岡県伊豆に引越し、伊豆市役所で医療保険業務、ふるさと納税業務に従事。民間で培った営業スキルをもとに事業者への返礼品開発をアプローチしていくのが得意。2024年5月より現職。
英会話スクールからふるさと納税担当へ。5億円から10億円達成へ
最初のキャリアは英会話スクールだったという大門さん。生まれも育ちも北陸。そんな大門さんが静岡県伊豆市でふるさと納税の仕事をしていくまでにはどんなストーリーがあったのでしょうか。
「実は静岡や伊豆市に縁があったわけではなく、夫がたまたま伊豆市の職員だったんです。遠距離恋愛を経て、結婚を機に北陸から引っ越しをしました。伊豆市にきてからも英会話スクールで働いていたのですが、倒産をしてしまって。その後双子の出産子育てを経て、伊豆市の会計年度任用職員(非常勤職員の一種)として働き始めました。」
伊豆市で働きはじめて最初の担当は後期高齢者医療の保険業務。5年ほど、毎日のように75歳以上の方の保険申請を受け付けながら、「(葬祭費の申請が多かったこともあり)ぽっくり死ぬのがいいな」と思っていたと話します。
「そのあと、いきなり異動通知がでて、ふるさと納税の担当に部署異動をしました。ふるさと納税の部署といっても、職員さんはみんな他部署との兼任で、私一人だけが専任。しかも『寄付額を5億円から8億円へアップ』という目標が掲げられて、もうどうしたらいいのか、、という状態でしたね」
そんな時に出会ったのが、当時、ふるさとチョイスが新人職員向けに行っていたふるさと納税業務研修で講師を務めていたLOCUS BRiDGE共同代表の黒瀬さんでした。
「お金を稼ぐだけでなく、地域や事業者さんのことを大事にする黒瀬さんの考え方に共感し、とにかくひとつひとつ丁寧に教えてくれる黒瀬さんが私の道標になりました。『この人の考え方でとにかくやってみよう』と思えたんです」
黒瀬さんが講師を務める研修に参加しては、毎回必死にメモを取り、そのメモを頼りにがむしゃらに試行錯誤を続ける日々。その努力が成果を結び、なんと1年目で目標としていた5億から8億を、さらに翌年には10億を達成します。
「正直、最初からふるさと納税に可能性を感じていたわけではないんです。それでも『できなかった』とは言いたくなくて、最初はただの負けず嫌いで『やってやる!』の一心でした。今でも負けず嫌いの気持ちはありますね。
あとは目標達成に比例して、本当に比例して、事業者さんとの距離もすごく近くなって行ったんです。皆さんが私を信頼して、いろんな相談をしてくださるようになって。その気持ちに応えたいけど専門的な話も多いから、たくさん調べて調べて。ここも試行錯誤でした。これが地域貢献というのかもしれませんが、私はとにかく目の前の事業者さんが少しでも良くなるように、なんとかできないかと。それだけなんです」
民間企業だからこそできる「行動力」「決断力」が強みに
右も左もわからないながらも、持ち前の「負けず嫌い」さと、目の前の事業者さんの「力になりたい」という気持ちから、努力を続けていた大門さん。そんな時、新しい転機が目の前に訪れます。
「株式会社デイリー・インフォメーションの江田さんからのご紹介で、伊豆市のふるさと納税支援のサポート業務をLOCUS BRiDGEとデイリー・インフォメーションにお願いすることになったんです。事業者さん周りにも一緒に行ってもらいました。そこで、共同代表の黒瀬さん・林さんの『ただお金を集めるだけじゃない』『地域にどっぷり浸かる』姿勢に強く惹かれていったんです」
その後、LOCUS BRiDGEが本格的にふるさと納税の支援業務を請け負うことになり、伊豆営業所を立ち上げたタイミングで、大門さんがLOCUS BRiDGEへと転職。大門さんの他に、アシスタントマネージャー1名、デザイナー2名を採用し、民間企業ならではの立場で、新しい挑戦を始動させていきます。
「LOCUS BRiDGEに入ってからは、より自由度高く事業者さんと関われるようになりました。市役所は公正公平な立場という性質上、サポートのバランスを考えなくてはいけなくて。あまり深く踏み込んだ支援ができなかったんです。あとは、私が会計年度任用職員だったこともあり、相談を受けても上司に伝えることしかできなかったのですが、今は『こうしてみるのはどうだろうか?』と直接提案することができます。
事業者さんに『相談したいから今から来てよ』って言われたら、すぐに社用車で向かうこともできる。市役所だと行こうと思った時に公用車が全部埋まっていたら『すみません、今すぐは行けません』って断っていたことも多かったので。今は事業者さんから『もう来たの?』『呼んだらすぐ来るね』とよく言われます」
身体はもちろん、心のフットワークも軽くなり、猪突猛進している大門さん。そんな大門さんの個性を、他のメンバーがしっかりサポートすることで、LOCUS BRiDGE 伊豆営業所はチームで成果を生み出し続けています。
「働いている4人の得意分野が全く違っていて。例えばアシスタントマネージャーは、データ分析が得意で、アクセス数とかをみながら、的確なアドバイスをくれます。伊豆営業所が開設した1年前にほぼ同時に採用され、初めましてからスタートしたメンバーですが、信頼のもとに役割分担ができていて、本当に働きやすい環境です」
地域の事業者の変化と、その支援の実感
「ふるさと納税をはじめたばかりのときは、寄付が全然入らなくて、『事業者さんにどう思われているだろう…』『すごく期待させていたら本当に申し訳ない…』と思いながら、どうしたら事業者さんにスポットライトが当たるのか、寄付が増えるのかを考えながら手探りでやっていました。
実は今も変わらずに試行錯誤の日々で、年々目標達成が難しくなってきてますが、それでも『去年より上に行きたい』って気持ちは変わらずあります。LOCUS BRiDGEメンバーがみんな優秀なので、特に昨年の寄付金額はすごくて。コロナの影響もあって、以前までは涙ながらに『生きていけるかな?』『もうお店を閉めなきゃいけないな』と話していた事業者さんたちが、今は『こんなにたくさん、すぐにはお礼の品送れないぞ』とうれしい悲鳴をあげている。本当にやってきて良かったと思っています」
「もし目標達成できなかったら、懺悔の気持ちで辞めちゃうかもしれない……(笑)」そう、笑いながらも、それだけの覚悟で事業者さんや仕事に向き合い続けている大門さんだからこそ、メンバーと共に、信頼獲得や目標達成を続けているのでしょう。そんな大門さんは、これからもまだまだ新しい挑戦を計画しています。
「今は、寄付者ツアーやファンミーティングの企画など、初めての業務も多いんです。また手探りでプレゼン資料をつくっています。最初から黒瀬さんや林さんに頼るのは簡単なんですが、全部聞くのはダメかなと思い、まずは自分で考えて流れをつくってから相談するようにしていて。
本音では今すぐにでも『わかりません、教えてください』って言いたいんですが、悩みながらも自分なりに進めていきたいと思っています」
大門さんが紡いできたのは、「負けず嫌い」と「地域へのまっすぐな想い」が交差した挑戦の軌跡でした。
市役所時代にふるさと納税を5億円から10億円へ伸ばした実績も、その裏にあったのは “目の前の事業者をなんとかしたい” という一心。いまLOCUS BRiDGEで彼女が発揮しているのは、数字を伸ばす力だけでなく、相談ひとつに即応できる行動力と、仲間と支え合うチームワークです。
地域に深く入り込み、成果を届けたい――。その意欲さえあれば、私たちのフィールドは無限に広がっています。あなたも次の「挑戦」を、ともに描きませんか。