経営だけじゃない。社長になって驚いた仕事の多さ
高橋:創業前に想像していた「社長」と、実際に社長になってみて、一番ギャップがあったことは?
沖盛:一番驚いたのは、会社を経営するって、想像以上に「事業以外の仕事」が多いんだということですね。
例えば、税金や社会保険料。会社員の頃はあまり意識していませんでしたが、実際に経営する側になると、給料以外にも会社として出ていくお金がたくさんあることを知りました。
それと、書類や事務手続きの多さにも驚きました。国や行政関係からいろいろな書類が届いて、そのたびに確認したり、対応したりする必要があります。
会社員の頃は意識していなかっただけで、こういう仕事を社内の誰かがやってくれていたんですよね。創業して初めて、「見えないところで、いろいろな人に支えられていたんだな」と実感しました。
もちろん税理士さんなど専門家にお願いできることもありますが、最終的に自分で確認したり、判断したりしなければいけないことも多い。
お客様や事業のことだけを考えていればいいわけではない。「これも社長の仕事なんだ」というのは、実際に会社をつくってみて初めて分かったことですね。
「良いサービス=売れる」ではなかった
高橋: 創業前は「良いサービスを作れば売れる」と思っていましたか?実際にやってみてどうでしたか?
沖盛:実際にやってみて、「良いサービスだからといって、簡単に売れるわけではない」ということを感じました。
僕たちが提供しているのは個人向けではなく企業向けのサービスで、特に大企業のお客様が多いんです。
大企業になると、サービスの導入に関わる人が想像以上に多く、社内の稟議フローやクラウドサービスを利用するための申請、セキュリティチェックなど、導入までに必要なプロセスがたくさんあります。
実際に使う方が「良いサービスだ」と思ってくれていても、それだけですぐに導入が決まるわけではない。
「良いものを作ること」と「実際に売れること」は別なんだというのは、創業してから実感したことですね。
創業して初めて見えた「会社のお金」のリアル
高橋:創業してから「こんなにお金がかかるの?」と驚いたことはありますか?逆に、意外とお金をかけなくてもなんとかなると思ったことはありますか?
沖盛:お金がかかると感じたものの一つは、展示会への出展ですね。
例えば、愛知県のポートメッセなごやや東京ビッグサイトのような大きな展示会に3日間出展しようとすると、出展料だけではなく、ブースの装飾や備品なども含めてマーケティング費用が想像以上にかかります。初めて出展したときは、「展示会ってこんなにお金がかかるんだ」と驚きました。
もう一つは、ISMSなどのセキュリティ認証です。第三者機関の認証を取得・維持するためにも、一定の費用がかかります。
逆に「思っていたより安いな」と感じたものもあります。
例えば、社員一人ひとりのパソコンに導入しているセキュリティソフトですね。脅威を検知するための重要な仕組みなので、もっと高額なものを想像していたんですが、実際には「これだけの機能があって、この金額なんだ」と驚きました。
会社を経営してみると、意外なところに大きなお金がかかる一方で、重要なものでも想像より安く導入できることがある。これは実際にやってみて分かったことですね。
創業して一番鍛えられたのは「ストレス耐性」
高橋:創業当初と比べて、「ここは鍛えられたな」「成長したな」と感じることはありますか?
沖盛:ストレス耐性ですかね。Wantedlyの診断をやってみたら、ストレス耐性に関する項目がすべてかなり高くて。自分でも「こんなに強くなったんだ」と思いました(笑)。
高橋:もともとストレスには強い方だったんですか?
沖盛:いや、昔はそうでもなかったですね。高校時代には、悩みすぎて10円ハゲができたこともありましたし、会社員時代にもストレスを感じることはありました。
でも、不思議と今はあまり感じなくなりましたね。
高橋:その変化の理由は、ご自身では何だと思いますか?
沖盛:「何かしら問題は起きるものだ」という前提で考えるようになったからじゃないですかね。
会社をやっていると、想定外のことやうまくいかないことはどうしても起きます。それを「起きてはいけないこと」と考えるのではなく、「起きるのが当たり前」と思えるようになった。創業していろいろな経験を重ねる中で、そういうマインドセットに変わったことが、結果的にストレス耐性につながっているのかもしれません。
会社をつくって初めて見えた、経営の仕事の多さや、お金のリアル、そして「良いサービスをつくるだけでは売れない」という難しさ。
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