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はじめに
クライアントワーク中心のWeb制作ではデザイナーとエンジニア間のコミュニケーションギャップが、プロジェクトの速度や品質を左右します。
- デザインカンプの色・余白が実装とズレる
- Figma と CSS の命名規則が違う
- ブレイクポイントやスペーシングの認識違い
- 案件ごとにゼロから設計し直す非効率さ
- AI実装(MCPなど)を試しても、元のデザインデータが整っていないと上手くいかない
こうした背景から、 デザイナーとエンジニアが“同じ言語”で開発できる環境をつくるために生まれたのが、CSSフレームワーク FlonCSS です。
FlonCSSとは?
FlonCSSは、ITCSSベースの堅実なCSS設計 × utility-first のスピードを両立した、ハイブリッドCSSフレームワークです。
インストール
npm install floncssFlonCSSの特徴
- ITCSS構造(Settings → Generic → Base → Objects → Components)
- “全部 utility”にしない、ちょうど良い設計
- モバイルファースト(@sm / @md / @lg / @xl)
- デザインシステムと1対1で対応するCSS変数管理
デザインシステムとCSSフレームワークは、もっと仲良くできる
FlonCSSの核となる思想は、 FigmaとCSSを“同じ言語”にすること。
変数名の1対1対応
Figma Variables → FlonCSS CSS Variables(値の例)
color-primary
↳ --color-primary (#08435E)
color-900
↳ --color-900 (#000000)
color-100
↳ --color-100 (#F5F5F5)
gutter/base
↳ --gutter-base (32px)
font-size/2xl
↳ --font-size-2xl (64px)例1:カラー設定(Figma → CSS)
:root {
--color-primary: #08435E;
--color-primary-light: #DFEEF4;
--color-900: #000000;
--color-700: #333333;
--color-500: #808080;
--color-100: #F5F5F5;
}Figma Variables
FlonCSS CSS Variables
例2:スペーシング設定(Gutters)
:root {
--gutter-base: 32px;
--gutter-2xl: 80px;
--gutter-xl: 64px;
--gutter-lg: 48px;
--gutter-md: 16px;
--gutter-sm: 8px;
--gutter-xs: 4px;
}Figma Variables
FlonCSS CSS Variables
この仕組みがもたらすメリット
- Single Source of Truth を維持できる。
- デザイナー「`--color-primary`でお願いします!」
→ エンジニア:そのまま使える。 - ブランドカラー変更は **1箇所** 修正するだけ。
- 新規案件は **FlonCSSを複製して変数を調整するだけ**。
- Figma上で「どの変数を使っているか」が明確(下図参照)。
FlonCSS MCP による“AI支援開発”
👉 https://www.npmjs.com/package/floncss-mcp
FlonCSSには、ClaudeなどのAIエージェントとつながるMCP(Model Context Protocol)サーバーも用意しています。
FlonCSS MCPが提供する機能
- FlonCSSの設計思想・設定値・ユーティリティ一覧をAIに提供
- `/floncss-setting` → settings.cssの生成
- `/floncss-coding` → FlonCSS準拠のコーディング
- `/floncss-refactor` → CSS/HTMLを自動リファクタリング
Figma MCP × FlonCSS MCP
1. Figma MCP → デザイン変数を抽出
2. FlonCSS MCP → settings.css を自動生成
3. 実装時もAIが最適なクラス構造を提案 新規案件のセットアップが一気に数分単位で完了します。
実践ワークフロー:コーポレートサイトの場合
1. デザインフェーズ
- Figmaでデザインシステムを構築
- 変数名はFlonCSSと同じにしておくと最高にスムーズ
2. 設計フェーズ
npm install floncss- settings/ 配下の変数をFigmaの値に置き換えるだけ
3. 実装フェーズ(Objects × Utility)
<section class="mt mt:lg@xl">
<h2 class="font:xl font:2xl@xl mb:md">サービス紹介</h2>
<p class="font:base color:700">
クライアントのビジネス課題を解決するWebソリューションを提供しています。
</p>
<a href="#" class="o-button:primary mt:md">詳しく見る</a>
</section>クラスの意味
mt
→ margin-top: var(--gutter-base)
mt:lg@xl
→ 画面幅 1280px 以上では margin-top: var(--gutter-lg)
font:xl
→ font-size: var(--font-size-xl)
font:2xl@xl
→ 画面幅 1280px 以上では font-size: var(--font-size-2xl)
color:700
→ color: var(--color-700)4. 運用フェーズ
- カラー変更も変数1つ
- デザイナーもCSS変数名で会話できる
- 実装ブレがほぼゼロになる
おわりに
AI時代のフロントエンド開発では、
デザインデータの正確さ × CSS設計の整合性 × AI活用
この3つの組み合わせが、制作スピードと品質を大きく変えます。
FlonCSSは、私たち自身がクライアントワークやプロダクト開発を進める中で「もっとデザインと実装をつなげたい」「もっと良い制作体験をつくりたい」という想いから生まれました。
もし、こうした取り組みに興味を持っていただけた方がいれば、
私たちのチームでデザイナーやエンジニアとして一緒に働くことを検討していただけると嬉しいです。
参考リンク
- FlonCSS 公式サイト:https://floncss.dsflon.net/
- FlonCSS npm:https://www.npmjs.com/package/floncss
- FlonCSS MCP npm:https://www.npmjs.com/package/floncss-mcp