毎年12月から翌3月は退職される方が多いそうで、中途採用の求人数も2月がピークらしいです。弊社受託部門でも、離職票作成や社会保険喪失の手続き件数が増える傾向があります。今回は「退職」についてお話しします。
「退職願いは30日以上前に提出」という就業規則は、一般的によく知られていますが「なぜ30日以上前に?」と思ったことはありませんか。「業務引継ぎのため」は勿論ですが、「退職の諸手続きと給与計算」という手続き上の都合もあるのです。
法律(民法第627条)によると「雇用期間の定めがない従業員は、2週間前の告知で退職可」です。しかし、月末退職の2週間前である15,16日頃は「もう、今月25日支給の給与は確定済みです。」という企業さんもいらっしゃいます。この時点で退職の連絡を受けると、「データを銀行へ送信する、給与支給日の3営業日前までに、ミスなく、超特急で修正!!!」という業務が発生します。退職月は、「社会保険料を2か月分徴収(月末日に退職の場合)」と「5月分までの住民税を一括徴収(1月~4月に退職の場合)」する必要があるためです。
「わざわざ修正しなくても、退職の翌月給与から控除できるのでは?」という意見もありますが、支給給与額より控除する社会保険料等が高額の場合、従業員さんから企業へ差額を支払う必要があり、「従業員さんにかかる負担」や企業側の「万が一、徴収できなかったら…」という不安と「支払い督促の連絡業務」を考慮すると、退職月に急ぎ修正して給与を支給する方が、双方にとって最善なのです。
社労士でもある代表の前野によると「企業が就業規則に『30日以上前』と明示する理由は、従業員からの一方的な契約解除ではなく、企業側も、業務引き継ぎや欠員の採用活動、また退職関連の諸手続き等の業務が円滑に進むよう期間を設け、双方合意の上で契約解除することを望んでいるためです。就業規則の相談を受ければ、『30日以上前』をお勧めしている。」とのこと。示された期間に意味があることを再確認し、就業規則にさらに興味を持ちました。
エムザスは給与計算や社会保険手続きを受託するお客様の、労務相談顧問もオプションで承っています。