ゴーレムには、「総合研究所」「サステナビリティコンサルタント」という聞き慣れない名前の部署やポジションがあります。建設×サステナビリティの領域で、コンサルティングから計算ロジックの策定、研究発表まで横断的に担っているらしいのですが、、。今回はその謎に包まれた仕事内容について、ゴーレム総合研究所所長の野口さんにお話を伺ってきました。
金融リスクからサステナビリティへ──時代の流れに乗ったキャリア
── ゴーレムに入る前は、どんなことをされていたんですか?
基本的には、金融機関向けのリスク管理や規制対応のコンサルティングですね。金融機関には、信用リスク・マーケットリスク・オペレーションリスクといった複数のリスクを規制に従って管理する義務があって、そういったリスクの規制対応や内部でのリスク計算手法のコンサルをしていました。
あとは証券会社向けの仕事もしていました。株に連動した商品には日々の価格が存在しないものもあって、売るためにはいくらかを計算しなきゃいけないので、そのモデルを作ったりもしていましたね。
── かなり幅広い場所を経験されていますよね。
大手会計系ファームを出たり入ったりしながら、10年ほどやっていました。規制対応のコンサルをする中で規制当局の実務にも関わりたくなり、金融庁で働いた時期もありましたし、証券会社での経験もあります。コンサル・規制当局・金融機関と、様々な立場からこの領域を見てきた感じですね。
── その後、なぜサステナビリティの領域に移ったんですか?
いくつか理由が重なっています。リーマンショック以降、金融機関のリスク管理のコンサルのニーズが落ちていて、それで色々な種類のコンサルをやるようになっていたんです。あるコンサルファームで新規事業の開発コンサルをしていた時に、銀行向けにサステナビリティ関連のアプリケーションを売る案件があって、そこで初めてサステナビリティのソリューションをちゃんと見たのが一つのきっかけです。
もう一つは業界的な流れとして、金融機関のリスク管理をしてきた人たちがサステナビリティの方に移っていきました。金融機関って昔からリスクを管理していて、その考え方が気候変動リスクといったサステナビリティの指標を図る考え方とかなり近いんです。親和性があるので自然に移りやすかったし、自分もそういう流れの中にいたという感じですね。
業務委託から始まった、今までの延長線上の仕事
── ゴーレムとはどんな経緯で出会ったんですか?
フリーランスとして独立していた時期に、コンサル系のエージェントに紹介してもらいました。サステナビリティの上流コンサルって、業務委託の案件が世の中にほとんどありません。そういう案件として紹介してもらったのがゴーレムで、まず業務委託という形で関わり始めました。
── 業務委託として入ってみて、どうでしたか?
あまり違和感はなかったですね。今まで大きい会社を相手にコンサルをしてきたので、ゴーレムのお客さんであるゼネコンやデベロッパーも、今までのお客さんとそこまで変わらないと感じていました。今までの延長線上で仕事ができているという感覚でしたね。
── その後、社員になったのはどういう経緯だったんですか?
代表の野村さんに誘ってもらったことがきっかけです。仕事の内容にも面白みを感じていました。建設業界のサステナビリティという新しい領域の第一任者的な立場で、大企業と一緒に最前線のテーマに取り組むことができるというのは、やりがいを感じるところでもありましたね。
建設業界とサステナビリティ──なぜ今なのか
── そもそも、なぜ建設業界がサステナビリティに取り組む必要があるんですか?
建設って実はかなりCO2を出す業界なんです。日本として削減目標をコミットしている以上、それが企業への規制という形で落ちてきます。計算の義務化が迫っていて、そうなると計算は相当大変なのでアプリケーションへのニーズが高まります。規制が入ると誰もがやらざるを得なくなるので、一気に需要が広がるんですよね。
── 具体的にはどういう流れで需要が広がっているんですか?
ゴーレムが最初に取り組んだのは、マンションやビルのCO2計算でした。でもゼネコンって道路やトンネルといった公共工事も大量に手がけているので、そちらにも同じ問いが生まれるわけです。計算方法が整ってきたら今度は「どうやって削減するか」というフェーズに移り、さらに企業の外部開示まで求められる流れも出てきました。テーマが次々と広がり続けているんです。
「総合研究所所長」という仕事
── 「総合研究所所長」という肩書き、実際にはどんな仕事をされているんですか?
総合研究所というのは、ゴーレムの中でサステナビリティ領域を横断的に担う部署で、仕事は大きく3つあります。
1つ目が、新しいアプリを作る時の計算ロジックの策定です。例えばゴーレムって最初は建物のCO2を計算するところから始まったんですが、ゼネコンって建物だけじゃなくて道路やトンネルといった公共工事も手がけています。そこのCO2をどうやって測るかって、業界的なルールがまだカチッと整備されていなかったんです。だから海外の事例や研究論文を見て、こうやって計算したらいいんじゃないかという方法を議論して決めて、アプリに落とし込んでいく仕事ですね。最初の一つを作るところまでで、横展開はまた別のチームがやります。
2つ目がサステナビリティ関連の純粋なコンサルティングです。CO2の可視化はある程度整ってきたので、今度はそれをどう削減するかという段階に入っています。最近だとサーキュラーエコノミーといって、今まで一直線に作って捨てるだけだったものをリサイクルして循環させようという考え方だったり、生物多様性や自然資本をどう守るかというテーマも出てきていて、次々と新しい課題が生まれてきます。企業がそういったことを外部に開示しなければいけないという流れも生まれているので、その対応の支援もしています。
3つ目が研究と学会発表です。ゴーレム自体はデータを持っていないので、コンサルをした会社と一緒に論文を書いています。顧客のデータを使って計算して、その結果を共同で発表するという形です。会社の名前を学会で売っていくような役割ですね。
── 1人でそれを全部やっているんですか?
そうですね。テーマがどんどん広がっているのですが、今は1人でこなしている状況です。だからこそ、一緒にやれる人が増えてほしいと思っています。
正解のない世界で、自信を持って言い切る
── 仕事の難しいところはどこですか?
ルールやリファレンスがない中で「この計算が一番正しい」と言い切って、お客さんと要件を詰めていかないといけないところですね。完全な答えがない状態でも仮説を立てて自信を持って提示できるかどうか──そこが腕の見せどころでもあります。曖昧さの中でも前に踏み出せる判断力がある人には、むしろやりがいを感じられる仕事だと思いますね。
── テーマが次々と広がる中で、追い続けるのは大変ではないですか?
私はそこまで辛くないんですけど、サステナビリティって新しいテーマがずっと出てくるんですよね。規制の動向も含めて、情報を追い続けることが求められます。ただ、常に新しいテーマが生まれ続けるからこそ、早く踏み込んだ人が最前線に立てるというのがこの領域の妙だと思います。
── エンジニアとの連携もされるんですか?
そうです。計算ロジックを考えた後、それをシステムに落とすためにエンジニアに伝えなきゃいけないですね。自分とは違う専門性を持つ人に渡していくので、いかに正確に言語化して伝えられるかが一番の腕の見せどころだと思っています。要件定義まで担当しています。
また、上流を担うからこそ、設計の良し悪しがそのままアウトプットに出ます。最初の要件定義の精度が、そのまま成果物の質につながります。だからこそ設計そのものに深く集中しなくてはなりませんし、上流での一つひとつの判断が、そのまま最終的な品質に直結しますね。
── 仕事の面白さはどこにありますか?
建設業界×サステナビリティという掛け算でやるとプレイヤーがまだほとんどいないので、自分たちで作った計算フローが、そのまま業界のスタンダードになっていくかもしれないんですよね。それって普通の仕事ではなかなかない経験です。大企業と最先端のテーマを一緒に作っていける立ち位置にいますし、実績が広まるにつれてお声がけいただく機会も増えてきています。
また、新しい規制が出ると英語で数百ページのペーパーが出てきたりするんですが、今はAIを活用することでキャッチアップのスピードが格段に上がりました。その分、情報を読み解いてどう計算ロジックに落とすか、という本質的な思考に集中できています。この領域に早く深く入り込んでいくことが、そのまま自分たちの強みになっていきます。
こんな人と一緒に働きたい
── 一緒に働きたいのはどんな人ですか?
地頭がよくてキャッチアップが早い人には、向いている環境だと思います。正解もリファレンスもない中で仮説を立てて進めていくのがこの仕事の日常なので、そういうプロセスが好きな人には面白いはずです。海外の論文を読んで計算ロジックを立てて、エンジニアに伝えるという流れを一緒にやっていける人が来てくれると嬉しいですね。
あとは、サステナビリティで先進的なことをやりたいという気持ちがある人。今はまだほとんど誰もいない領域ですが、規制が本格化すればプレイヤーが一気に増えます。その前に入ってきた人が先駆者になれるタイミングなので、そこに乗り込んでくる感覚で来てほしいと思っています。
── 経験や背景で重視することはありますか?
上流の要件定義や規制対応の経験がある人ですね。要件を詰めるところまで担当しているので、そういったプロセスを経験してきた人の方がミスマッチは少ないです。
あとはサステナビリティの開示対応をしてきた人も向いていると思います。企業サイドだとサステナビリティ推進室や、小さい会社だと経営企画でやっていた人。コンサルサイドだとその支援をしてきた人、システム会社で要件提供をしてきた人もいいですね。
── 最後に、入社を検討している方へメッセージをお願いします。
誰もいない場所に、タイミングよく入れる機会ってそう多くないと思います。自分たちが作った計算フローが業界のスタンダードになるかもしれないし、規制が本格化する前の今が、先駆者として入り込める絶好のタイミングだと思っています。そういう場所で一緒に作っていきたいという人にぜひ来てほしいですね。
「自分たちで作った計算フローが、そのまま業界のスタンダードになるかもしれない」──野口さんの言葉は、この領域に早く入ることの意味を端的に表していました。建設×サステナビリティという、まだ誰も地図を描いていない場所で、計算ロジックを一から作り、論文を書き、エンジニアへの要件を詰める。先駆者として一緒にその場所を切り拓いていきたいという方は、ぜひ一度話を聞きに来てください。