日髙 雄介
プロフィール
学生時代:大学を1年休学し東南アジアでのエンジニア放浪生活、読書SNSサービス『Meetbooks』の開発・運営など、自分がやりたいことを後悔なくやるために大学の講義や研究はとにかく最小限にしていた。
1年目:『Airレジ』のプロダクトデザイナーとして商品機能の企画~設計~推進を一貫して担当。基礎を学びつつ顧客に向き合う。
2年目:小規模開発チームのプロダクトオーナーとして、アジャイル開発を推進。
現在:『Airレジ』新領域の顧客課題整理(7名チームのマネジメント)を担当。またカスタマーサクセスチームも兼務し問い合わせの削減やコールセンターのシステム改善を実現。下期からはSaaS新規事業領域にて企画検討、開発推進を担う。顧客の声と現場に誰よりも向き合うプロダクトづくりを追求
現在の仕事内容
ーープロダクトのつくり手として一貫したキャリアを歩む。
以前は『Airレジ』という無料のPOSレジアプリのプロダクトデザイナーとしてプロダクト設計の主担当を任され、いわゆるPdMのようなプロダクトの企画・設計から推進まで一貫したプロダクトづくりを行っていました。現在はその周辺の顧客管理に関わるサービスで同じようにプロダクトデザイナーを務めています。入社してから仕事の領域はずっとつくり手側にいて、今でもプレーヤーとして新サービスの要件定義や、顧客へのヒアリングなどを行っています。これまでにチームのメンバーを束ねて検証案件を回すような仕事も担当したのですが、自分自身はマネジメントというより、あくまでつくり手側として仕事に関わりたい想いの方が強いです。今思えばお遊びのようなものだったのですが、もともと学生時代から自分たちでサービスをつくっていました。基本的にプロダクトに関わることが好きなんです。
職種ならではのおもしろさ
ーー社会のインフラに携わっている実感。
様々なクライアントの店舗に足を運ぶ中で、シンプルに『Airレジ』をありがたいと感じていただいていることに気づきました。使いにくい点が無いか伺うと、本当にいろいろな意見をおっしゃっていただけます。中には、「何かあったら、個別に連絡してよ」と名刺をくださった方もいらっしゃいました。日々課題に向き合って改善を重ねていくのが私たちの仕事なのですが、ありがたいことに、お客様であるクライアントからも「良いものを一緒につくろう!」という想いを持っていただいていることを感じますね。
また、『Airレジ』を選んでいただいている理由を伺うと、「リクルートがやっているから」とおっしゃっていただけることがあります。無料というのはもちろん選んでいただく理由として大きいのですが、使いやすさについては実際に試していただかないと分からない。そうなると、無料であることとリクルートという名前の安心感を決め手に選んでいただいているようです。過去に障害があった際も、SNSの反応をチェックしていると非常に多くのクライアントからたくさんのお声をいただいていて…。社会的責任の大きさを感じましたし、毎日使っていただくものなので、クライアントが業務をする上で大切なインフラの役割を果たせているんだという実感はありますね。
今までに直面した「壁」(1)
ーー配属から半年間、開発に進めないジレンマ。
もともと私は『Airレジ』というサービスが「イケてる」と先入観で思い込んでいました。しかし実際担当してみると、使いづらい部分が多くあることに気づき、素直にその問題点を上司や周囲に伝えたのですが、組織としてもなかなか全てのことに手が回っていない状態でした。特に当時は軽減税率への対応などマストな案件が詰まっていましたし、「そういうものと比べたときに、優先度が高いものはどちらか?」という話になるんです。
そもそも『Airレジ』というサービスは非常に多くのクライアントにご利用いただいていて、その店舗の業態もとても幅広いんです。しかし、例えば飲食店と美容院では向き合っている課題が全然違う。つまり、業態の数だけ課題に違いがあるということになります。そこで、どの要望を解決していくことが一番クライアントにとって良いのかを模索するのですが、やはりROI※のようなことを考えるためにはマクロの視点というのが必要になってきます。しかし、そのことに気づくまでは、課題を社内に上げても、結果として半年間で1つも案件を通せないという状況でした。案件を通せないわけですから、当然開発にも進めません。この期間は大いに悩みました。
そこで、私が改めておこなったことは、まず利用されているクライアント層と、その中で使用されている機能の利用率を誰よりも詳しくなることです。参考になるデータをとにかくチェックし、それぞれの業態の現状を説明できるようにしました。一方、課題の現状把握のヒントを探っていくと、過去『Airレジ』に寄せられたクライアントのご要望が15万件ほど残っているという話を聞いたので、そのご要望に対して「何に困っているのか」というカテゴリー付けをおこなって1200件程度まで整理をして精査をして。それを社内に共有し続けました。そういう地道な作業を続けて、ようやく最終的に案件を通すことができました。
ROI(Return On Investment):投資した費用に対し、どのくらいの利益が出たのかを測るための指標
今までに直面した「壁」(2)
ーー上司のフィードバックが、壁を超えるヒントに。
案件を1つも通せず壁にぶち当たっていた時に前へ進めたのは、上司のサポートの存在が大きかったです。その方は以前にプロダクト責任者であるプロデューサーとして『Airレジ』を担当していたのですが、1週間に1時間、私の課題について壁打ちの時間をくれました。私の考えを伝えて、フィードバックを受けるという内容だったのですが、その過程を通じて「自分のやりたいことを周囲に説明するには、全体の課題感がわかっていないとダメだ」ということを理解することができました。そうしないと「今自分が考えている課題は、他の課題と比べて重要なのか」が分からないですし、提案の際に「その要望がどれくらい来ているか」「その機能はどれくらい使われているのか」「実際の業務フローの中でお客様はどのタイミングで使っているのか」と聞かれても答えられないですから。上司との話し合いでそのことに気づけたからこそ、とにかくクライアントのご要望のデータを整理して可視化することに取り組むことができました。
大事にしていること
「さまざまな業態の肌感を」を、プロダクトに活かす。
仕事をする上で大事にしていることは、実際にサービスを利用してくださるクライアント理解です。私は「クライアントの肌感」と呼んでいるんですが、これを敏感に感じ取るように気をつけています。開発という仕事の中でもマネジメント側になると、物理的に店舗や現場に足を運んでクライアントの生の声を聞ける機会は減っていきます。だからこそ私がきちんとクライアントの声をキャッチしないといけないと思っています。そもそも、クライアントの声を大事にするようになったのは、入社したての頃でした。私は少しだけエンジニアを経験してすぐにプロダクトデザイナーになったので、「どういう機能をつくるべきか」とか「どういう課題を解決すべきか」というのを提案できる状態ではありませんでした。
ただ『Airレジ』のチームには、現場を学ぶために、契約している飲食店で実際にアルバイトをさせてもらえる環境が整っていて。時給をいただくわけではないのですが、職業体験のようなことをさせていただけるので、そこで実際に『Airレジ』を使った業務を経験しました。また、配属直後に150店舗規模のショッピングセンターに『Airレジ』を導入する案件を担当した際に、店舗のバックオフィスに入って日報を書く業務などを観察させていただき、様々な業態の肌感を身につけてることができ、そこからヒアリングするステップに進んでいく、ということをおこないました。当たり前のことですが、そういう実際に業務してる現場に足を運ぶというのが一番発見が多いです。
今後のビジョン
「不を解決する」という醍醐味を仕事に。
もともと私は読書のSNSを自分でつくるといった、いわゆるポップカルチャー的なものに興味があり、それがきっかけで「ITに携わりたい」と思いリクルートに入社しました。しかし、この会社はどちらかというと、不の解決、つまり「不満・不安・不便」といった課題の解決を目指すプロダクトが多いんです。それをやっていくうちに、「実はこのほうが自分の介在価値が高いかもしれない」ということを理解して。今存在している不を代替してDX化したり、うまくいっていない課題をプロダクトを通じて解決したりするほうが、今の私はテンションが上がります。
現在はリクルートでフルタイム働きながら、他のベンチャー企業にも所属して仕事をしているのですが、こちらは完全に0→1なんです。そこで経験を積みながら、リクルートにも得たものを還元しつつ、いずれ独立したり小さなプロジェクトチームをつくったりして、何か面白いプロダクトをつくれたらいいなと思っています。
学生向けキャリアサイトのインタビューより引用 - https://www.recruit-jinji.jp/people/interview/hidaka/