学校入試への導入実績130校以上を誇るデジタル採点システム「YouMark」。
入試版YouMarkでは、スキャンした受験生の答案をブラウザ上で採点し、採点結果や平均点を一瞬で確認することができます。
学校の先生が深夜まで手採点をするのが当たり前だった採点現場に、デジタルの風を吹かせたのが、2021年に佑人社の代表取締役に就任した浜渦康文です。採点業務の統括、学校・企業へのYouMarkの導入、および入試作問業務の営業活動を一手に担ってきました。
2016年に初めてYouMarkが学校へ導入されて以降、佑人社は毎年のように増収増益を実現。現在は定期試験版の「YouMark Personal」もリリースし、有料版導入校数は300校以上となっています。
2020年は10人ほどだった社員数は、今では26人に増えました。代表に就任以降は、社員の柔軟な働き方に対応し、男性社員の育休取得を推奨するなど、働きやすい会社づくりにも力を入れています。
一見すると順風満帆な会社員生活を送り、順調に会社を成長させてきたかのようですが、YouMarkシリーズが誕生するまで、そして「社員第一の浜渦さん」が誕生するまでの道のりは、決して平坦ではなかったようです。
2024年に当時19人目の社員として入社した田中が、浜渦さんに佑人社の歴史と採用活動への想いを聞いてみました!(写真は元カメラマンで、営業部の菅さんが撮影してくれました!)
はまうず・やすふみ
1973年3月12日生まれ、大阪府寝屋川市出身。横浜国立大学教育学部卒。1997年に佑人社の前身となる中央教育図書販売に入社。最近おやつにおにぎりを食べるのをやめてダイエットに成功。
徹夜が当たり前 入試採点を変革
―2026年度も、入試版YouMarkをご利用いただいている学校の入試を大きなトラブルなく終えることができました。北海道から九州まで導入校が増えていますが、元々どのように広まったのですか?
「2016年に大阪府の中高一貫校に導入してもらったのが始まりです。元々は学習塾や模擬試験の主催企業、検定主催団体などの企業向けだったYouMarkが、私立中高の入試にも活用いただけると手応えをつかみ、学校への売り込みを始めました。当然ながら、最初は導入事例ゼロからのスタート。何度も学校を訪問して、先生方を説得するところから始まりました。」
「その後、大阪府の別の中高一貫校でもプレテストで導入いただきました。その学校の先生によると、当時は入試の採点といえば深夜までかかるのが当たり前。それが、YouMarkを導入したことで夕方には採点が終わるようになり、先生方の働き方改革にもつながったと喜ばれました。」
―入試日の学校って独特な雰囲気ですよね。
「大規模な私立学校の入試では、1万枚以上の答案を、1日で採点しなければなりません。佑人社自体がそもそも大規模模試の採点を請け負っている会社であり、膨大な量の答案用紙をミスなく採点を終えることの難しさがわかっていたので、PCの画面上で完結できるデジタル採点のニーズがあることは勘づいていました。その後、私立学校を中心に営業を行い、徐々に全国へと広げていくことができました。元々僕一人で営業をやっていましたが、2019年ごろから営業部員の採用を始め、今では営業部は5人になりました。若いメンバーを中心に、さらなるYouMarkシリーズの導入へ動いています。」
紙の答案100枚をめくって束にする日々「無駄すぎる」
―浜渦さんが若い頃はどんな社員でしたか?
「30代の頃はとにかく自信過剰。どんなプレゼンテーションでも緊張しないし、自社のサービスや教育業界の課題について、自分よりうまく答えられる人はいないと思っていたような。あと、20代前半の頃は短パンにビーチサンダルで会社に行っていた気もする。」
―元々教育業界を目指して就職活動していたのですか?
「学生時代はとっても不真面目で、教員採用試験に合格したのに、大学卒業に必要な中国語の単位を取り忘れて合格取り消し。結局中国語は4回履修する羽目になって。それなら人間力で勝負できそうな新聞記者を目指そうと思ったものの、こちらも最終面接で不合格。どうしたものかと思って、大学の図書館にあった新聞に求人広告が掲載されていた中央教育図書販売(佑人社の前身)に電話したところ、翌日試験に。やったこともないのに試験問題の校正をさせられて、あまり手ごたえはなかったものの合格。今に至ります。」
―浜渦さんが新聞記者になっていたら、今の佑人社は無かったわけですね……。入社後はどのような仕事をしていたのですか?
「最初の頃は、顧客から届いた答案用紙に、会場名や枚数などの情報を書き込んだ表紙をつけて束にして、1枚ずつめくってひたすら受験番号をチェックする日々。手作業である以上、ミスは必ず発生します。たった1、2件あるかないかの記入ミスを見つけるために、ひたすら答案用紙をめくるなんて『時間の無駄すぎる』と思っていました。当時は新入社員の意見など先輩に聞いてもらえず、しぶしぶ作業していました。でも、どうしても納得できず、具体的な運用の改善内容と起こりうるリスクを説明したところ、当時の上司に理解してもらい、この作業は無くなりました。現在、YouMarkのシステム内では答案を答案バッチ(束)として管理していますが、その仕組みはこの時の名残です。」
―浜渦さんは当時から営業もやっていたそうですね。
「入社数か月で、大手進学塾の営業担当にさせられてしまい……。問題制作の進捗が遅い、作問のクオリティが低い、採点ミスが多い、採点が遅いなど、とにかく怒られる。定例会議に出ると毎度怒られるのが嫌で『熱が出た』とか仮病を使っていたくらい。でも、一人しか営業がいないから、何度怒られても行くしかない。怒られた理由を考えつつ、お客さんが不満を感じている部分を突っ込んで聞き、それをもとに採点業務の現場を改善していく。そうしていくうちに、だんだんとお客さんの信頼を得られるような感覚が出てきました。」
―浜渦さんにも訪問が嫌な時代があったのですね。
「自分が直接担当していない業務で怒られるのは悔しすぎて。答案用紙をまだ採点スタッフが自宅に持ち帰って採点していた頃、採点者がまとまった数の答案用紙を紛失したこともありました。お客さんに『もう一回試験受けてください』なんて意味の分からない謝罪をするしかなかった。でも、そういう事故がきっかけで、答案用紙を持ち帰らずに済むように社内に採点ルームを作ったり、届いた答案はすぐにスキャンをとる体制を作ったりするようになったのも事実。自分の仕事に責任を持って、自分がやったことで怒られるなら仕方がないと思うようになったかな。」
大型案件受注もうまくいかず 挫折の日々
―Wantedlyのプロフィールに「40代で大きな挫折を経験」と書いてありましたが、何があったのでしょうか。
「2015年に、ある大規模テストの採点を受注しました。プレゼンもうまくできて、始まるまではうまくやってやると自信満々でした。それが、いざ始まったらまったくうまく回らない。YouMarkを導入しての初めての大規模採点だったので、僕が上手く指示を出せない以上、全然進まない。やるべき仕事が多すぎて、スタッフの面倒を見る余裕もない。マンスリーマンションまで借りて朝7時~夜中の2、3時まで作業をして、4か月間で休みは1日だけ。『ほんまに逃げたい、毎日明日が来なければいい』と思っていました。」
―それで、体力的にも精神的にも追い詰められたのですね。
「受注した事業そのものは何とか終わったけれども、良い仕事ができたとは言えませんでしたね。あと、この時あまりにも労働環境が過酷すぎて、社員が2人辞めてしまいました。佑人社は小さな会社なので、僕は創設2年目から役員の立場。社員を守れなかったという悔しさも大きかった。この事業が終わった後は、1年くらい抜け殻状態。本当に最低限の仕事しかできなかった。20、30代と自分に自信があったから、自信を失った状況に向き合えなかったかな。」
「入試でデジタル採点をしたい」との声が YouMarkに活路見出す
―燃え尽き状態から、どのように復活したのでしょうか。
「企業向けだったYouMarkを、入試でも使いたいという声がかかりました。これは可能性があるなと思い、お客様と何度も相談を繰り返し、関西のある学校で入学試験の採点業務用にYouMarkを導入してもらいました。これがうまくいき、他の学校でも導入いただけるのではないかと考えるようになりました。」
「それで、入試版YouMarkの営業活動を開始。とにかく1年は売り込もうと決意しました。他業務は他の中堅・ベテラン社員に任せて、営業活動に専念しました。その1年で導入の基盤を作ったおかげで、YouMarkは学校での導入が増えると同時に、企業での利用も増え、社員を増やせるようになりました。」
―YouMarkシリーズが軌道に乗った今、今後はどのようなことに注力したいですか。
「少子化の時代であり、学校数が減っている今、YouMarkの導入校数はどこかで頭打ちになる。その時に、いかに既存のお客さんの満足度を高く保ち続けられるかが肝になると思っています。」
「あとは、佑人社は長年テスト関連業務のプロとしてやってきたので、テストの在り方にも変革をもたらしたいです。日本はまだまだ偏差値至上主義ですが、これを脱偏差値の方向へ主導して、絶対評価の方向へもっていきたい。子供たちが何を理解できていないのかを棚卸してあげたり、先生方にテスト結果のフィードバックを提供したりするサービスもやりたいです。テスト結果の分析力を高めることが、ひいては佑人社の作問業務の質を高めることにもつながると考えています。」
自分の子育てを反省 社員のために体制強化
―直近1年ほどは、毎月新入社員が入ってくるような時期もありました。社員の増員には、どんな狙いがあるのでしょうか。
「今の社員数は26人ですが、できれば40~50人体制にしたいと思っています。人数が多ければ新しい事業を始めやすいということもありますが、人員体制にゆとりがほしいというのが一番の狙いです。昔は閑散期に合わせた社員数で、繁忙期には残業してもらってちょっと踏ん張るくらいがちょうど良いと思っていた時期もあったので、規模を大きくすることにはあまり興味がなかったです。でも、今はしっかり定時で帰れるくらい余裕のある体制の方が、新しいアイデアも生まれやすくなると思っています。」
「あと、僕は20代で子供が生まれたけれども、当時は男性が育休を取るような時代ではなくて。今思うと奥さんは育児でノイローゼになっていたと思う。今は社会的にも男性が育休を取ることが当たり前になっているので、人員に余裕のある規模にして、男性社員も育休を取得できる環境にしたいと考えています。」
―社員としてはとてもありがたい話です。
「もちろん休む人が出れば、周りの人が仕事を引き取ることになるので、そこへの配慮が必要です。僕は全社員の採用に関わっているので、せっかく入ってくれた仲間が辞めるようなことにはしたくない。そう思って採用活動を続けています。」
―具体的にはどのような人に入社してほしいですか?
「言語化するのは難しいけれど、あえて言うならよく考えることができて、賢くて、他者にリスペクトが持てる人に来てほしいと思っています。
テストの成績処理や採点業務の統括をする業務部は、顧客やパートナー企業、採点スタッフと丁寧にコミュニケーションをとって、チームのパフォーマンスを上げられるような人がほしい。あとは、大事な答案を1枚も無くさずに答案スキャンや成績処理を完遂するということを、手を抜かずにできる人。緻密な作業をミスなくやるための業務設計ができるかという能力も見ています。
YouMarkシリーズの導入をサポートする営業部は、総合力があって、お客さんにリスペクトを持って満足度を高める提案ができる人。基本的には相手との距離感をはかるのが上手な人が向いていると思うけれども、個人的には多少口下手なくらいであっても誠実な人に来てほしいと思っています。
入試や模試の作問・編集をする編集部は、言葉を大事にしながら問題の本質を理解できて、細かい仕事をコツコツできる人がほしい。一方で、お客さんや執筆者とコミュニケーションをとる機会も多いので、営業部でも活躍できそうなくらい対人能力が高い人を探しています。」
―浜渦さんは最近、選考希望者とのWantedlyを経由したカジュアル面談にも積極的ですね。
「僕の今の仕事の2割は人事と言えるくらい、採用活動に注力しています。小さい会社なので、まずは佑人社のファンを増やすことが必要だと思っています。まずはカジュアル面談に積極的に応募してもらえたらうれしいです。」
浜渦さん、長時間のインタビューをありがとうございました。
タフで豪快な浜渦さんの中にある、理性的で優しい人柄が伝わったでしょうか?
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