「成果物そのもの」だけでなく、"誰が、どんな想いで、どんなチームでつくったのか"まで届けたい。シリーズ「pump work」第3回をお届けします。
今回は、国民的アイドルグループ・櫻坂46の四期生メンバーを追ったドキュメンタリー映像作品、「櫻坂46 四期生物語 ーいま、わたしたちに、できることー」。
全8話・合計約3時間に及ぶ本作の舞台裏を、監督・三本菅悠に聞きました。
「前回の評判が良かったのかな」2度目の、静かな喜び
プロジェクトの第一印象について、三本菅はこう答えました。
三本菅「実はこの企画自体は2回目で、約3年前に櫻坂三期生でも同様のドキュメンタリーを監督しました。ですので、再びお話をいただいたときは、『前回の評判が良かったのかな』と思い、非常に嬉しかったです。」
過去の仕事が次の仕事を呼ぶ——
それは、単純に嬉しいという話ではありません。前作への評価が、今作への信頼として返ってきたということ。
その重みを受け取りながら、三本菅は再びカメラを手にしました。
この案件を一言で言うと?
三本菅「櫻坂四期生という新しいメンバーの魅力を伝えるドキュメンタリー、です。」
ただし「伝える」という言葉は、そう単純ではありません。
単なる紹介映像なら、別の形式でいい。
この作品が目指したのは、紹介映像では映らない——メンバーひとりひとりの人間性でした。
プロジェクト概要
- Client:株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
- 案件名:櫻坂46 四期生物語 ーいま、わたしたちに、できることー
- Role:企画・演出(pump)
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コンセプトは「いま、できること」という問い
この作品のタイトルには、そのままチームが問い続けたテーマが刻まれています。
「いま、わたしたちに、できること」——。
長い歴史を持ち、客観的に見れば完成されているように映る櫻坂46というグループ。
そこに四期生が加入して、何ができるのか。それは単なるコンテンツの命題ではなく、メンバー自身が切実に向き合っていた問いでもありました。
三本菅「終始、本質的な問いを繰り返し議論していたように思います。
『いま、四期生に何ができるのか』ということを、メンバー自身も考えていたし、我々も最後まで議論し続けていました。」
その答えは、撮影をする中で、探し続けることとなりました。
「場」をつくって、カメラを回し続ける
では、そのような映像はどうすれば撮れるのか。
三本菅「合宿や発表会といった『場』はセッティングします。でも、そこで何が起こるのか、メンバーがどう反応するのかは、撮ってみないとわからない部分が大半です。これはドキュメンタリー全般に言えることで、だからこそ一瞬一瞬を見逃さないよう、粘り強くカメラを回し続けることに尽きると考えています。」
仕掛けは用意する。でも、答えは演じさせない。その姿勢が、この作品の核にあります。
泣くかもしれない。笑うかもしれない。ぶつかり合うかもしれない。
そのどれもが、この作品の「素材」であり、「真実」でした。
テレビでも広告でもない、独自のバランスを意識して
作品の表現方針について、三本菅にはひとつの確信がありました。
三本菅「テレビ番組でもなく、広告でもない、独自のバランス感を意識しました。映像としての美しさと、番組のような見やすさ。その2つを良い配分で両立させたドキュメンタリーです。」
テレビなら「わかりやすさ」が優先される。広告なら「印象」が優先される。
どちらでもない場所に、この作品は立っています。
映像の質と、見続けられる構成——
そのふたつを手放さずに両立させることが、三本菅が追求した表現の形でした。
3時間・8話「どうすれば魅力的に映るのか」をギリギリまで
全8話、合計約3時間。それは、同時に「膨大な編集の戦い」でもありました。
三本菅「オフライン編集に割ける時間は決して多くなく、『どうすれば彼女たちが魅力的に映るのか』『もっと伝わりやすい構成はないか』を、いつもギリギリまで考え続けていました。配信の数日前にようやくオフラインが上がる、ということも珍しくありませんでした。」
20分近い長尺エピソードを、毎話丁寧に仕上げていく作業。完璧よりも、誠実に。それが編集の指針でした。
「トラブルはもはや通常運行」——備えの哲学
長期にわたるドキュメンタリー制作では、想定外は必ず起きる。
場数を踏んできたディレクターならではの備え方があります。
三本菅「トラブルに関して言えば、もはや起こるのが通常運行です(笑)。大切なのは、トラブルがあっても問題ない運用をいかに組み立てるか。マルチカメラを当番制にする、データのバックアップ体制をきちんと構築する、編集を見据えた収録体制を作る——事前に備えられることは備えておく、という考え方です。」
「想定外が起きないようにする」のではなく、「起きても大丈夫なようにしておく」。その発想の転換が、現場を強くします。
手応えを感じた瞬間——ドキュメンタリーが、ライブへと地続きになっていく
このプロジェクトで三本菅が最も手応えを感じた瞬間は、数字ではありませんでした。
三本菅「第7話の終わりから、四期生のお披露目ライブへと繋がる導線をチームで考えました。ドキュメンタリーがリアルイベントへと地続きになっていく——その現場の熱を実際に肌で感じられたことは、本当に良い経験でしたし、メンバーへの期待の高さを実感できて嬉しく思いました。」
画面の中の物語が、スクリーンを越えて現実の会場へとつながっていく。
それは、コンテンツとライブが分断されがちな今の時代において、ひとつの答えのような瞬間でした。
成果
第1話〜第8話の合計で、約330万回再生。
20分近い長尺コンテンツとしては、非常に高い数字です。
クライアントからも非常に好評で、四期生メンバーの認知度向上にも寄与できたのではないかと、三本菅は振り返ります。
そして、数字以上に印象的だったのは、あるシンプルな事実でした。
長尺の映像を、多くの人が最後まで観てくれた——それが、この作品の一番の答えだったかもしれません。
メンバー
- Director:三本菅 悠
おわりに
「いま、わたしたちに、できること」——
その答えは、最後の最後まで出ませんでした。
合宿での笑いや涙、ぶつかり合い。そしてその後に積み重なっていく出来事のひとつひとつを追い続けた先に、ようやく現れた言葉でした。
3年前に三期生のドキュメンタリーを撮った監督が、再び、カメラを手に取った。
その信頼の連鎖が、8話・約3時間という長い旅を支えていました。
pumpはこれからも、「誰が、どのようにつくったのか」まで含めて伝えるコンテンツを発信していきます。
こんな熱量で一緒に作りたい人、募集中です!