仕事上、フィルムカメラをお買取りさせていただいたり、お客様のカメラの点検を頼まれることが多々あります。
機体の種類によって点検項目ですとか注意してみなければならない部分は違うのですが、どのようなカメラやレンズでも点検する項目として「光学系の状態」があげられるかと思います。
「光学系」とは、ざっくりいうとカメラやレンズの部品のうち、ガラスで作られているものを指します。
レンズならば言うまでもなくそのレンズ部分。
カメラ本体では主にファインダーに関連する部分となります。
これらの光学系は複数枚のガラスの組み合わせでできており、光の屈折を作り出すことによって像を結んで撮影が可能になるのです。
カメラが湿気に弱いといわれる所以の一つがこの光学系にあり、湿気によってガラス部分にカビが生えてしまうことが多々あります。
またカビだけではなく、ガラス自体の劣化によるクモリ、ガラスの貼り合わせ面に使用されている接着剤が溶け出してしまうバルサム切れ、空洞部分へのほこり、チリの混入、内部の塗装コバ落ちなど、光学系だけでもこれだけの項目があります。
これらの現象は性質上どうしても防げないものもありますが、カビやほこりの混入などは保管専用の防湿庫や、ドライボックスなどに密閉して乾燥剤を使用するなど、保管や手入れをきちんとすることによって防げるものです。
そういった不具合が写真描写へどの程度の影響があるかはおおむね経験則で分かりますが、例えばインターネットに出品する場合には事実をありのままに記載することを心がけています。